「戦争」発言の丸山穂高衆院議員は、その後の対応を見ていると、まったく愚かとしかいいようがありません。
しかし、丸山議員は東大卒、元経産省の高級官僚という経歴ですから、頭はいいはずです。
おそらく頭のよさを、もっぱら自分をよく見せかけるために使ってきたのでしょう。そのため、見かけだけよくて、中身はまるでだめという人間になったのかと思います。
トランプ大統領などもそのタイプです。
丸山議員は「戦争」発言で辞職勧告決議案が出されそうになったとき、ツイッターで「言論府が自らの首を絞める行為」「このままではこの国の言論の自由が危ぶまれる」などと主張しました。
「言論の自由」のたいせつさは誰もが認めるので、それを盾にすれば身を守れると思ったのでしょう。
しかし、「言論の責任」が問われている場面で「言論の自由」にすりかえるという作戦は通用しませんでした。
丸山議員はまた、辞職勧告決議案が提出されれば「こちらも相応の反論や弁明を行います」と反撃を予告、維新の会幹部が駐日ロシア大使に謝罪すると、「ロシアへの『おわび』は完全に意味不明な対応。おかしなことにはおかしいと申し述べる」と言っていました。
このあたりは“屈しない自分”をアピールして、体面を保っていました。
しかし、週刊文春などが、丸山議員は「おっぱい! おっぱい! オレは女の胸をもみたいんだ」「オレは女を買いたいんだ」などと大声で騒ぎ、禁止されている外出をしようとしたとの記事を書き、テレビのワイドショーもさらに詳しく丸山議員の起こした騒動を報道しました。そのとたんに丸山議員は沈黙し、衆院議院運営委員会が求めた事情聴取を体調不良を理由にして欠席しました。
その豹変ぶりにもびっくりです。
丸山議員の「体調不良」にはちゃんと診断書があって、それには「適応障害」のため「今後2か月間の休養が必要」とあるそうです。
2か月たてば国会が終わるので、逃げ切れるという計算だと言われています。
「適応障害」は雅子皇后の病名と同じです。そのため批判しにくくなっています。
やはり頭はいいようです。
「戦争」発言と「おっぱい」発言は、もちろん関連しています。
戦時下というのは「男性総活躍」の時代ですから、性差別もやりたい放題になります。
ですから、性差別主義者はつねに好戦的です。
ただ、最近は日本にとって“戦争のネタ”が少なくなりました。
中国とは経済的に深いつながりがありますし、北朝鮮とも対話を模索する方向になっています。
自衛隊は尖閣諸島を想定した「離島奪還」演習をして、みずからの存在感をアピールしています。
丸山議員はそれから「北方領土奪還」を連想して、「戦争」発言をしたのでしょう。
丸山議員においては、「おっぱい! おっぱい!」も「戦争! 戦争!」も同じように思慮のない発言ですが、国会議員が北方領土に行って「戦争で取り戻す」と言ったら、大きな反響があるのは当然です。
好戦的で差別的な点ではミニ・トランプといった感じの丸山議員ですが、大きな違いもありました。
「おっぱい! おっぱい! オレは女の胸をもみたいんだ」といった発言が報じられたとき、もしトランプ大統領なら、そんな報道は無視して平気な顔をしているか、「フェイクニュース!」と言って、証言した訪問団の人たちやメディアを罵倒しているでしょう。
女性蔑視は犯罪ではないので、開き直ってしまえばいいというのがトランプ大統領のやり方です。
しかし、丸山議員はトランプ大統領ほど厚顔無恥にはなれないので、「適応障害」になってしまいました。
考えてみれば、どんなスキャンダルも乗り切ってしまうトランプ大統領の厚顔無恥ぶりは人並み外れています。
そのトランプ大統領に公然とこびへつらう安倍首相の厚顔無恥ぶりもかなりのものです。