渡部健
「文春オンライン」の記事より

文春砲が報じたお笑いコンビ・アンジャッシュの渡部建氏の不倫問題が大きな騒ぎになっていますが、そもそもこの不倫のどこがいけないのでしょうか。

「あんなきれいな奥さん(佐々木希)がいるのに不倫するのは許せない」という人がいますが、その理屈だと、ブサイクな奥さんがいる男は不倫してもある程度許されるのかということになります。

アンジャッシュの相方の児嶋一哉氏は、渡部氏の代役でラジオ出演した際、「相方から見ても気持ち悪い不倫」と言い、「直撃LIVEグッディ!」の安藤優子キャスターも「気持ち悪い」という言葉を使いました。
しかし、「気持ち悪い」というような主観的な言葉で人が批判できるなら、「年寄りはシワだらけで気持ち悪い」ということも言えてしまいます。

「多目的トイレを使った」
「そのつど1万円を渡された」
「ことが終わるとシャワーも浴びさせてもらえず帰された」

こうしたことが伝えられていますが、「バイキング」司会の坂上忍氏は「テレビでは紹介できないこともある」と言っていました。

詳しく知らずに論じることはできないので、いちばんの元である週刊文春の記事を読んでみました。

佐々木希、逆上 アンジャッシュ渡部建「テイクアウト不倫」――相手女性が告白【先出し全文】

記事によると、渡部氏は希さんとつきあっているときから複数の女性とつきあいがあり、結婚後もそれは変わらなかったということです。
そうなると、希さんはそのことを知っているのではないかという気もします。
もし妻公認の不倫であるなら、渡部氏は責められません。

いずれにしても、不倫は夫婦間の問題であり、世間からバッシングされることではありません。

ただ、不倫のやり方というか、渡部氏の女性の扱いには問題がありそうです。
そうした個所を記事から引用します。

「たしかに、私と渡部さんは、多いときには週2回ほどエッチをする関係でした。トータルで30回以上は関係を持ったかもしれません。当時、渡部さんは『ここは友達の家なんだよ』と言っていましたが、玄関には若い女性が履くようなヒールの靴が置いてあった。とにかく殺風景な空間で、玄関右手の寝室に入ると、いつでも彼はすぐに体を求めてきました。でも、行為が終わった途端に私を帰したがるのです。私の脱いだ服を渡してきて『はい、これ』って。シャワーすら浴びさせてもらえなかった。いつも15分ほどで追い出され、帰り際には『またね』って必ず1万円札1枚を渡してきました」(B子さん)

 その後、渡部がB子さんとの密会場所として指定してきたのは、東京都港区に聳える六本木ヒルズだった。

「彼は『地下駐車場の多目的トイレに来い』と言うのです。エレベーターの前で落ち合って、トイレの鍵を閉めた瞬間、すぐにプレイが始まりました。『俺と会いたかった?』と聞いてきて、下半身をガバッと出し、舐めるよう命令する。ことが終わると彼はマスクをして帽子を被り、『LINEの文面を全部消して!  早く携帯見せて』と。キスから別れるまで、3~5分という物凄い早さです。その後も彼はヒルズのトイレばかりを指定し、会える時刻を伝えると、地下2~4階にあるトイレを徘徊し、誰もいない階を確認した上で『地下0階ね。すぐ来て』と指示を出してくるようになったのです」(同前)


これが“多目的トイレ不倫”の実際です。

多目的トイレを性行為のために使用しては、本来の使い方をしたい人が使えなくなりますから、これはいけません。
ただ、ほかのことについてはどうでしょうか。

帰り際に1万円を渡したというのは、安すぎる気がしましたが、この金額は2人の関係で決まるものですから、外部の人間がとやかく言うことではありません。
行為が終わった途端に女性を帰したがるというのも、ひどい気がしましたが、これも女性が受け入れて、つきあいを続けているわけです。

女性の扱いについてはこのような記述もあります。

改めてB子さんに取材を申し込むと、彼女は重い口を開いた。

「彼は私のことを“性のはけ口”くらいにしか思っていなかったんでしょうね。せめて一人の女性として扱って欲しかったと思います」


「(略)行為が終わると態度が一変し、『明日仕事だよね。気をつけて帰ってね』と、すぐ帰るよう促されました。滞在時間は約1時間。デリヘル扱いされたことが本当に悔しかった」(同前)


これを読んで、女性を“性のはけ口”として扱ったりデリヘル扱いしたりするのはけしからんと言う人がいますが、女性のほうはそれを受け入れているわけですから、無関係な人間が口を出すことではありません。


「不倫」というと、恋愛感情のからむドロドロした三角関係を想像しますが、ここにある不倫は、恋愛感情のない、セックスだけの関係です。
要するに渡部氏には複数のセックスフレンドがいたというだけのことなのです。

離婚をちらつかせて女性を口説いたというのなら悪質ですが、そういうものではありません。
若い女性タレントに「テレビに出させてやるよ」と言って口説いたのでもないし、人気芸能人の権力を使ってセックスを強要したのでもありません。

女性は“性のはけ口”として扱われて満足していたのかという疑問はありますが、おそらく「人気芸能人とつきあっている私」ということに満足を見いだしていたのでしょう。

ブラックマヨネーズの吉田敬氏が「バイキング」でこの不倫問題について、「多目的トイレをトイレ以外で使ったこと以外、僕はなんとも思わないです」と言っていましたが、確かに相手の女性を傷つけたわけではなく、奥さんは傷つけたかもしれませんが、それは夫婦の問題なので、世の中の人から非難されることはありません。


ただ、問題をややこしくしたのは、文春砲がやりすぎたことです。
記事には、LINE電話のカメラをオンにして「お互いの自慰行為を見せ合う“相互鑑賞プレイ”」をしたとか、「大人の玩具」を使ったなどということも書かれています。
安藤優子キャスターらが「気持ち悪い」と言ったのは、このことを指しているのでしょう。

しかし、このように性行為のあり方を具体的に書くのは、それが事実であっても名誉棄損になります。文春は、人気稼業の芸能人は訴えてこないだろうと甘く見て、書きすぎたのです。
ですから安藤キャスターは、渡部氏に対して「気持ち悪い」と言うのではなく、文春に対して「そんな気持ち悪いことを書くな」と言うべきでした。


渡部氏が説明もなしに芸能活動自粛を発表したので、記者会見して説明するべきだという声があります。
しかし、記事が事実だとしたら、それ以上に説明することはありません。
希さんを傷つけたのではないかという問題はありますが、それは2人の問題なので、記者会見で説明することではありません。


ただし、「結婚しているのに複数のセックスフレンドがいる」というのはイメージが悪いので、タレントとして評価が下がるのはしかたありません。
渡部氏をCMに起用していた企業から巨額の損害賠償請求がされるという話もあります。

この手の騒動があると、必ず芸能人が損害賠償の責任を問われますが、考えてみれば不当な話です。その芸能人をCMに起用した企業にも責任があるからです。
渡部氏のそれまでのイメージからして、このような女性関係があるのはぜんぜん不思議ではありません。佐々木希さんと結婚したことを見ても、美人が好きで、しかも口説く能力を持っていることがわかります。
渡部氏の責任と、渡部氏をCMに起用した企業の責任とを相殺すれば、そんな巨額の賠償金額になるはずがありません。

テレビ局も、これまで渡部氏をさんざん持ち上げて人気者にして、今度は一転して人気者をたたいているわけで、この手のひら返しのほうが渡部氏の不倫よりも問題です。


最近、世の中もちょっと冷静になって、渡部氏に非難されることはそれほどないことに気づいてきたようです。
その代わり、週刊誌に売ったということで相手の女性を非難する動きが出てきています。
しかし、取材協力費を積まれれば、売りたくなるのは合理的判断です。買って書いたほうにより問題があるというべきでしょう。


文春砲は、黒川弘務検事長の賭け麻雀問題のように急所を一撃することもありますが、今回のように、どうでもいいことに大きな砲弾を撃ち込んで、世の中を混乱させるだけのこともあります。