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3度目の緊急事態宣言が4月25日に発令されましたが、その効果に関係なく、5月11日に解除すると決まっています。
IOCのバッハ会長が17日に来日するのに合わせたのだと言われています。
バッハ会長に「コロナに打ち勝った日本」を見せたいのでしょうか。

バッハ会長が「東京五輪は中止だ」と言うとすべてが終わってしまいます。
そうでなくても、バッハ会長の来日は世界に報道されるので、日本が緊急事態宣言を解除していないと、それが世界に知られて、選手団の派遣を中止する国が次々と出てくるかもしれません。
そうならないように、菅義偉首相としても必死なのでしょう。

吉本新喜劇の定番ストーリーで、偉い人が視察にきたとき、不都合な事実を隠すためにみんなで口裏合わせをしたものの、それがうまくいかずにドタバタ劇が起こるというのがありますが、それを思い出します。


東京五輪の開催か中止かの判断は、最終的に誰がするのでしょうか。
菅首相は23日の記者会見における質疑応答の中で、3度にわたってIOCに決定権があるようなことを言いました。

 オリパラに向けては、足元の感染拡大を静めることに、まずは全力で取り組みます。IOC(国際オリンピック委員会)は東京大会を開催することを、これは既に決定しています。IOCとして。そのことは各国のオリンピック委員会とも確認しております。政府としては東京都、組織委員会、IOC、しっかり連携を取って、安全安心の大会にすることができるように対策をしっかり講じてまいりたいと思います。

   *

まず、東京オリンピックですけれども、これの開催はIOCが権限を持っております。IOCが東京大会を開催することを、既に世界のそれぞれのIOCの中で決めています。そして、安全安心の大会にするために、東京都、組織委員会、そして政府の中で、感染拡大を防ぐ中でオリンピック開催という形の中で、今、様々な対応を採らせていただいています。

   *

(記者)
 今のに関連してお伺いいたします。フリーランスの江川紹子と申します。よろしくお願いします。
 今、総理は、オリンピックについてはIOCが権限を持っているとおっしゃいました。しかし、IOCは日本国民の命や健康に責任を持っているものではありません。そういう観点で、しかも、さっき総理はスピーチで事態は全く予断を許さないとおっしゃいました。尾身会長からもリバウンドは必ず来るというようなお話もありました。そういう中で、何とかやりたいというのはすごく分かるのですけれども、もしかしたら、どのような状況になったら中止もやむを得ないというような判断基準のようなものは総理の中にあるのでしょうか。あるとすれば、それは何でしょうか。(中略)
(菅総理)
 まず、IOC、オリンピックですけれども、IOCがそれぞれの国のオリンピック委員会と協議した上で決定しています。当然、日本が誘致していましたから、それは日本も当然、東京都、組織委員会、その中に入るわけですけれども、そういう中で、開催する方向で今、動いています。それで、開催する中で、IOCと東京都、組織委員会、そして日本政府、そういう中で会合をして、例えば先ほど申し上げましたけれども、外国人の、いわゆる応援される観光客の方には遠慮してもらうことをまずは決めています。それぞれ選手団の中で何人とかそうしたことも一つ一つ、日本に入国する人数も精査しながら行っているということを承知しています。(後略)
https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/statement/2021/0423kaiken.html

菅首相はまったく同じことを3度も繰り返しています。
要するにIOCが決めたことだから、自分には責任がないと言いたいのです。
歴代首相を振り返っても、これほど露骨に責任逃れをする首相は見たことがありません。


5月11日に緊急事態宣言を解除すれば、宣言の期間は17日間ということになり、これでは大した効果は見込めません。
解除後は宣言前と同じ状態になるわけですから、また感染は拡大します(変異ウイルスのために拡大のスピードは上がるかもしれません)。

菅政権にこういう認識はないようです。これまでもつねに甘い見通しを持って、宣言を早めに解除したり、GoToキャンペーンをやったりして、感染拡大を招いてきました。

ともかく、宣言を解除してから7月23日の東京五輪開会に向けて、感染者が増加していくのは確実です。
世界においても、一時は減少傾向でしたが、変異ウイルスのせいか、このところまた増加傾向にあります。


現在、コロナ下においても東京五輪は開催される予定ですが、これを運動会にたとえると、「少雨決行」ということです。
せっかく運動会の準備をしてきたのですし、運動会を見るのを楽しみにしている人もたくさんいるので、国民も「少雨決行」はしかたがないと思っています。
しかし、大雨になれば話は別です。
大雨になれば、責任者が運動会の当日の朝、できれば前日に中止の決定をして、関係者全員に連絡をしなければなりません。

ただ、この判断がむずかしい。
中止にすれば、「この程度の雨ならできたじゃないか」と言われることがありますし、決行すれば、「なんで中止にしなかったんだ」と言われることもあります。

東京五輪の「コロナ下決行」を判断するのは、運動会の「雨天決行」を判断するよりもはるかにむずかしく、しかも責任が重大です。

この判断をするのは当然菅首相と思われますが、菅首相は記者会見の言葉からもわかるように、徹底的に責任逃れをしています。
中止の判断をするべき状況になってもなにもしない可能性があります。

ポジション的には橋本聖子五輪組織委会長が判断してもよさそうですが、そんな責任を負える人間とは思えません。

小池百合子都知事は、スタンドプレーの好きな人ですから、大胆に中止を言い出す可能性があります。
しかし、都知事のしがらみも大きいでしょうから、あまり期待はできません。

二階俊博自民党幹事長は、東京五輪について「これ以上とても無理だということだったらスパッとやめなきゃいけない」と発言して注目を集めましたが、なにを考えているのかわかりません。

結局、誰もなにも判断できないまま、土砂降りの中、五輪開催へ向けて突き進んでいくということも考えられます。

太平洋戦争末期、なかなかポツダム宣言受諾の判断ができず、本土決戦へ向かって突き進んでいった状況とそっくりです。


中止の決断をするのは、外国選手団が日本に到着する前でければならないでしょう。
そのときまでに誰が最終判断をすると決めておかなければなりません。

東京五輪の1年延期を決めたのは安倍首相(当時)でした。
去年の3月、安倍首相はバッハ会長に電話して、五輪開催を1年程度延期することを提案して同意をとりつけ、記者に発表し、その後、組織委とIOCが共同声明を発表するという手順でした。
五輪開催か否かという重要問題を判断するのはやはり首相です。

野党、マスコミ、国民は、五輪開催の責任は首相にあるのだということを菅首相に認識させなければなりません。