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幼児虐待の原因のひとつに、家庭が密室化していることが挙げられます。
大家族や地域社会の中で子どもが見守られていれば、虐待はそんなに起こりません。
ですから、各人が近所の子どもの様子を気にかけて、声かけしたりするのもたいせつです。

しかし、「子育ては親の専権事項」とでもいうのか、外部の口出しを嫌う親も多いようです。
確かに無責任な口出しは困りますが、口出しを拒否する親も問題です。

次はたまたま見かけた記事で、子育てへの他人の口出しを親が拒否するのですが、親の理屈がそうとうへんです。にもかかわらず、親に賛同する声が多いというので首をかしげてしまいます。


スーパーで「お菓子欲しい」とごねる息子すると知らないオジさんから『衝撃の言葉が』ネット民「素晴らしい考えと返し」
Twitterでこんなツイートが話題です。

「スーパーでお菓子欲しいとごねる3歳息子をたしなめてたら、知らんおっちゃんから「お菓子の一つくらい買ったらすぐ終わるだろうに」と言われ、買った方が楽なことくらい百も承知じゃクソが!!の代わりに「約束の練習中なんです、うるさくしてすみません」と笑顔で返したので5億ほしい。」

すんなりと子どもの言うことを聞けば静かになるとはわかっていても、甘やかしてばかりでは子どものためになりませんよね。なかなか難しい場面です。投稿者さんは「約束の練習中なんです、うるさくしてすみません」と笑顔で返したそうです。


他のユーザーからは↓
・素晴らしい考えと返しと子育てですね
・働いてる側はわかってますよ。お母さん達、頑張ってる!
・約束の練習!良い響き!頂きます。

世のお母さん達は頑張っています、見かけた場合は優しく見守りましょう!
いまトピが伝えています。


「いまトピ」のもっと詳しい記事はこちらで読めます。

母親の事情もわからないのに口出ししてくるおっちゃんも問題ですが、母親が「約束の練習中なんです」と返した言葉は、明らかに嘘でしょう。嘘を言ってはいけません。

しかも、「約束の練習中」という言葉もへんです。
「約束」は国語辞典によると「当事者間で取り決めること」などとなっています。基本的に対等の関係でなされるものでしょう。
子どもと親の間の約束があるとすれば、「今お菓子をがまんすれば、あとでオモチャを買ってあげるね」といったものです。
しかし、現実には親が子どもより優位の関係にあるので、親が一方的に子どもに約束をさせていることが多いでしょう。こういうのは命令と同じです。
この母親が言う「約束の練習中」は、「親の命令に従う練習中」という意味です。

この母親は自分なりのルールをつくっているのでしょう。
しかし、子どもが守るルールを親がつくると一方的になり、ブラック校則ならぬ“ブラック家則”になりがちです(「家則」という言葉はないようです。「家法」ならあります)。

ちゃんとしたルールがあるなら、嘘をつく必要はなく、たとえば「さっきからお菓子を食べすぎていて、ご飯が食べられなくなりますから」とか「この子はアレルギーなので」とか言えるはずです。

ともかく、世の中にはこういう母親もいるとして、問題はツイッター上で、「そんな嘘をつくのはよくない」という意見はほとんどなくて、「うまい言い方ですね。真似します」みたいな意見ばかりだったことです。
こんな親が多くては、「地域で子育て」などとうていむりですし、家庭の密室化が進んで、幼児虐待がますます増加しそうです。



こうした問題が生じるのは、子育てのあり方が過渡期にあるせいかもしれません。
これまでは、子どもを甘やかすのはよくない、きびしく育てるべきだという考え方が主流でした。
しかし最近は、体罰がいけないのはもちろん、叱るよりもほめることが推奨され、子どもが幼いうちは十分に親に甘えさせるべきだという考え方が強まっています。

この母親は、子どもは甘やかすべきではないという古い考えですが、自分の考えに自信が持てなくなって、「約束の練習中」などという言葉でごまかしたのかもしれません(反対に、子どもを叱らない子育てをしている親が世間の目の前に肩身の狭い思いをしている場合もあるでしょう)。

子どもにはきびしくするべきだという考え方は、「子どもを甘やかすと子どもは限りなくわがままになって、最終的にわがままなモンスターになる」という考え方に基づいています。
しかし、この考え方は間違いです。それは動物の子育ての様子を見ればわかります。
動物の親は、子どもに食べさせることと子どもの安全に気を配るだけで、あとはすべて子どもの自由にさせています。それでも子どもはモンスターにならず、普通に育ちます。人間も同じはずです。

親が自分の子どもを信じられないというのは人間特有の不幸です。
そういう親は、動物の子育ての映像などを見て学ぶのがいいと思います。

子どもを自由にさせていると、スーパーなどで子どもが周りの人に迷惑をかけて、文句を言われることもあるでしょう。
そんなときは子どもを守るのが親の役割です。
子どものすることはすべて子どもの発達に必要なことです。

親と子がよい関係である社会は、平和で健全な社会です。

なぜ子育て中の親が肩身の狭い思いをして嘘をついたりしなければいけないのか、考え直してみてはどうでしょうか。