夏場の停電はなんとしても避けたいですね。大規模停電はもちろん計画停電であっても、クーラーが止まってのお年寄りの熱中症死や、冷蔵庫が止まっての食中毒など悲惨な事態が起こりかねません。
節電計画において、会社や工場を休みにし、デパートなどの休日をふやすというのは確実な方法です。いくら節電できるか計算ができますし、それを足し算していけばいいわけです。
問題は、一般家庭で使う電力です。いくら節電を呼びかけても、どれだけ節電してくれるか計算が立ちません。猛暑日が続いてクーラー使用がふえると、大規模停電になりかねません。
そこで、私なりのアイデアを提起したいと思います。
 
まずは、関東圏の会社は社員に長期のバカンスを与えてもらいます。普通の夏季休暇は一週間ぐらいでしょうが、思いきって一カ月ぐらいのバカンスにしてもらわないといけません。全部の会社でなくても、二割、三割ぐらいの会社が実行してくれればいいでしょう。
会社を休みにしても社員が東京ですごしていたら、家庭の電力使用量は変わりませんから、社員に関東圏から出ていってもらおうという狙いです。
一家で東京を出て、どこかの行楽地ですごしてもらえば、一世帯の電力消費がゼロ近くになります(冷蔵庫なんかは動いていますが)。一方、客がへって困っている行楽地、観光地がうるおうという一石二鳥の作戦です。
もっとも、一カ月のバカンスをもらっても、行楽地ですごすのは金がかかっていやだという人も多いでしょう。そのために行楽地では格安のバカンスパックを用意してもらいます。豪華な料理を出すのが売りの旅館も普通の食事にして、サービスもほどほどにしてもらいます。長期滞在客で部屋が埋まれば、安くしてもそれなりの利益は出るのではないでしょうか。
バカンスパックの申し込み状況を把握すれば、どれだけ節電できるか計算ができます。
 
もうひとつの提案は、クーラーの使用をへらすために東京で大規模な打ち水をやるということです。
私は京都の生まれですが、昔はどの家も夏の夕方になると家の前の道路に打ち水をしたものです。まだ舗装道路ではなかったのですが、打ち水の効果はてきめんで、たちまち涼しくなりました。
最近は東京でも実験的に打ち水が行われて、効果が確認されています。
昔はみんなクーラーなどなしに生活していたわけですが、今の東京はヒートアイランド現象でクーラーなしの生活はほとんど考えられません。クーラーの使用を控えようとしたら、なんとかして気温を下げなければいけません。となると、物理的に打ち水が唯一の方法となります。
暑い日は、日中何度も打ち水をします。今の地面はほとんどアスファルトとコンクリートですから、何度もする必要があります。家の屋根や壁にホースで水をかけるのもいいでしょう。
 
また、散水車で道路に水をまくというのも効率的だと思います。
私は去年の九月にベトナムのハノイに旅行したとき、暑いのに閉口しましたが、街の中を散水車が走って水をまいているのを見ました。一時間もすれば乾いてしまうのですが、やはりそこは少し涼しくなります。
今の日本には散水車はあまりないかもしれません。そしたらタンクローリーを改造するという手もあるはずです。また、消防車に出動してもらうのもいいでしょう。
 
現在、政府や経済界で練られている節電計画でいちばん不確実な要素が家庭でのクーラー使用だと思うので、そこに焦点を絞った案を提起してみました。
もっとも、「クーラーをやめて扇風機にしよう」なんていう呼びかけがいちばん効果的だったりするかもしれませんが。