pink-rose-on-empty-swing-3656894_1920

政府が発表した「自殺対策白書」によると、自殺者総数はへりましたが、未成年の自殺はふえました。
幼児虐待が相次ぐ世の中では当然の結果でしょう。

未成年の自殺死亡率最悪…親子関係や進路に悩み
 政府は16日午前、2019年版「自殺対策白書」を閣議決定した。
 18年の自殺者数は2万840人で、9年連続減少した。前年から481人減り、37年ぶりに2万1000人を下回った。人口10万人当たりの自殺者数を示す自殺死亡率は、1978年に統計を取り始めて以来、最も低い16・5だった。ただ、19歳以下の未成年の自殺者数は前年より32人増えて599人となり、自殺死亡率は2・8と、78年の統計開始以来最悪だった。
 白書では、若者の自殺が深刻な問題となっていることから、過去10年の統計によって、原因を分析した。小中学生の自殺の原因は「親子関係の不和」「家族からのしつけ・叱責」などの家庭問題が多かった。中学生以降、高校生や大学生になると、「学業不振」や「進路に関する悩み」「うつ病」などが目立った。
 厚生労働省は、若年者に対する自殺対策として、昨年からSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)での相談事業を始め、昨年度は延べ2万2725件の相談があった。相談者は19歳以下の未成年(43・9%)が最も多く、女性が92・1%を占めた。相談内容は「メンタル不調」「自殺念慮」「家族」などが多かった。
 白書は「若者の状況を把握するとともに、対策の効果検証を行い、見直しを行っていくことが必要である」と指摘している。
https://news.livedoor.com/article/detail/16780227/

小中学生の自殺原因の「親子関係の不和」「家族からのしつけ・叱責」というのは、要するに親による虐待でしょう。

虐待で子どもが死んだり、大けがをして親が逮捕されたりする事件はあくまで氷山の一角で、目に見えない虐待は広範に存在しています。
虐待に耐えかねて自殺する子どもがいても当然です。ただ、自殺は事件ではないので、メディアに取り上げられません。親に虐待され、精神的に追い詰められて自殺した場合、親に殺されたも同然だと思うのですが。


高校生以降は、家庭よりも学校関係の自殺原因が多くなりますが、学校関係の内訳はこのようになっています。
自殺原因
「毎日新聞」2019年7月16日 夕刊より

「学業不振」とありますが、単なる学業不振では自殺しないでしょう。親から相当なプレッシャーをかけられていたに違いありません。
「進路の悩み」というのも、自分だけの問題ならなんとか対処できるはずです。自分の希望と違う進路を親から強要されるというようなケースが多いのではないでしょうか。
自殺原因というのは、周りの人間に都合よく解釈されるものです。

「教育虐待」と「しつけ虐待」が子どもの自殺の大きな原因と思われます。

それから、「いじめ」による自殺が2件しかないのが目を引きます。
「いじめ自殺」はつねにマスコミで騒がれますが、意外な少なさです。
いや、学校や教委が隠蔽するケースがあるので、実際は2件よりももっとありそうですが、それでも子どもの自殺総数からすれば少数です。

なぜマスコミが「いじめ自殺」について騒ぐのかというと、いじめっ子を悪者にして、親は悪くないことにできるからです。
新聞の購読者は子どもでなくて親ですから、どうしても親に都合のいい報道になります。

「自殺対策白書」は若年層の自殺について「第 3 節 若年層の自殺をめぐる状況」において分析していますが、「親の虐待が原因」というような指摘はありません。
これもマスコミと同じで、親に都合よく分析しているのです。

「親に虐待されて殺された子ども」のことは最近大きく報道され、人々は親を非難し、子どもに同情するようになりました。
「親に虐待されて自殺した子ども」についても同じであっていいはずです。