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Rudy and Peter SkitteriansによるPixabayからの画像 

悲惨な幼児虐待事件が起こると、「児童相談所や学校や警察はなにをしていたのか」という怒りの声が上がります。
確かに多くの幼児虐待事件では、子どもの体にアザがあるとか、家から叫び声がするとか、学校に出てこないとかの徴候があるもので、関係機関が連絡を密にして対応していれば防げたのにと感じられることが多いものです。
しかし、人間はいざ幼児虐待のような悲惨なことに直面すると、現実を認めたくないという心理に陥りがちです。というか、人類の歴史において、人間はずっとそうして否認してきました。
ですから私は、「児童相談所や学校や警察はなにをしていたのか」と怒る人もいざ自分がそうした場に直面するとうまく対応できないのではないかと疑っています。

次の記事を読んだとき、改めて私の疑いは間違っていなかったと思いました。

懲りない坂口杏里…何がしたいのか? “母親エピソード”で大炎上
 元カレのホストの自宅マンション内に侵入したとして、住居侵入容疑で逮捕(不起訴処分)された元タレントの坂口杏里(28)。現在はYouTubeで赤裸々告白の投稿を続けているが、ネット上で批判が絶えないのだ。
 今月に入って、YouTubeに「坂口杏里チャンネル」を開設した杏里。7日には2013年に死去した母、坂口良子さんの思い出を語ったのだが「あまりの内容に、“お母さんがかわいそう”などの批判の書き込みが相次ぎました」と芸能サイト編集者。
 幼いころ、机の中に隠していた0点のテストが良子さんに見つかり、こっぴどく叱られたというエピソードを明かした杏里。本来なら、そこからお母さんの優しさに触れるはずが、「柔軟剤をボトルごと、頭にブワーってかけられて」「頭ギトギトのまま、学校に一緒に行って謝罪をした」と一転“ホラー”な話題となったのだ。
 さすがにこれには「ただの悪口」「坂口良子さんのこと悪く言うな」「お母様の名前を出すのはやめましょう」などと書き込みが相次ぐことに。その後も遺産の話などを投稿したが、批判は後を絶たず。チャンネルを閉鎖し、新たに「ANRIちゃんねる」を立ち上げた。
 「ユーチューバーへの転身を宣言しましたが、芸能界復帰への足がかりにしようと思っているならマイナス効果しかない」と先の芸能サイト編集者。
https://www.zakzak.co.jp/ent/news/190914/enn1909140009-n1.html?ownedref=not%20set_main_newsTop

柔軟剤を頭からかけられたというのは、十分に虐待といえます。
これは嘘ではないでしょう。嘘を書く理由がありません。
非難する人も嘘だとして非難しているのではありません。

では、なにを非難しているかというと、事実そのもの、あるいは事実を表現したことを非難しているのです。
つまり幼児虐待の否認です。

この記事を書いた人も、「本来なら、そこからお母さんの優しさに触れるはずが」と、自分自身の虐待否認の考えを杏里さんに押しつけています。

こういう心理があるので、児童相談所の職員などでも幼児虐待に適切に対応できなかったりします。
これは職員を一方的に非難しても解決できるものではありません。



私は、この記事を読んで杏里さんの人生が迷走する理由がわかった気がしました。

坂口杏里さんは母親の坂口良子さんといっしょにテレビのバラエティ番組に出るなどして人気になりましたが、良子さんは2013年に死去。杏里さんは2016年ごろに芸能活動をほとんどやめて、キャバクラ嬢になり、AV出演やヘアヌード写真集を出し、デリヘル嬢にもなりました。ホストクラブ通いでできた借金を返すためだと言われていますが、本人は借金のことは否定しています。

ウィキペディアの「坂口杏里」の項目によると、2017年4月に知人のホスト男性から現金3万円を脅しとろうとしたとして恐喝未遂容疑で逮捕され(不起訴)、今年8月には同じ男性の自宅マンション内に侵入したとして逮捕されました。

もともと人気あるタレントだったのに、キャバ嬢、AV嬢、風俗嬢、二度の逮捕とみずから“転落”していったのが不可解でしたが、母親から虐待されていたとすれば納得がいきます。
AV嬢には親から虐待されていた女性が多いとされます。自己評価が低いために社会的評価の低い職業に抵抗がないことと、親のいやがることをして親に復讐する心理があるからです。
AV嬢からタレントになった飯島愛さんは「プラトニック・セックス」という自伝で父親から虐待されて家出したことを書いています。
スノーボード選手としてトリノ・オリンピックに出た今井メロ(成田夢露)さんも「泣いて、病んで、でも笑って」という本で、父親から虐待といえる壮絶なスパルタ教育を受けたことを書いていますが、キャバ嬢、風俗嬢、AV嬢になっています(私はこのブログで今井メロさんのことを「スパルタ教育を受ける不幸」という記事で書いたことがあります)。

杏里さんがテレビタレントをやめたのも、それは母親が敷いたレールだったからかもしれません。

母親の坂口良子さんはすばらしい女優でしたが、そのことと母親としてのあり方とはまったく別です。

ほとんどの人は迷走する杏里さんに批判的ですが、そういう人は同時に虐待の事実も否認します(引用した記事もそのスタンスで書かれています)。
虐待の事実を受け入れれば、迷走する杏里さんが理解でき、同情心もわいてくるはずです。