自衛隊の隊員募集ポスターに出てくる女性のアニメキャラが超ミニスカートで、下着が見えているということで、「セクハラではないか」と騒ぎになりました。
問題のポスターは、自衛隊滋賀地方協力本部が作成し、「ストライクウィッチーズ」というアニメのキャラを使ったものです。同本部は、「指摘の着衣は、下着ではなくズボンだという設定で、適切な範囲だと考えている」と説明していましたが、苦情を受けてホームページからポスターの画像を削除しました。
京都新聞のサイトから
下着でもズボンでも見た目には同じですから、セクハラといえばそうかもしれません。
しかし、私にはセクハラか否かより、自衛隊員募集のポスターにこういうかわいいキャラを使うことのほうが問題に思えます。
つまり、かわいい女の子のキャラに引かれて応募してきたような人間は、いざというとき戦力になるのかということです。
実は自衛隊のポスターでこのようなかわいいアニメキャラを使うことはむしろ普通のことです。
「自衛隊のポスター」で画像検索してみると、ほとんどにアニメキャラが使われていることに驚きます。
「自衛隊のポスター」の画像検索結果
自衛隊員の募集というと、安倍首相が先月の自民党大会で「新規隊員募集に対して、都道府県の6割以上が協力を拒否しているという悲しい実態があります」と言って、それを改憲理由に挙げたことが問題になりました。
安倍首相はまた、「自衛隊員が目に涙を浮かべた子どもから『お父さんは違憲なの?』と言われた」という話をして、それも改憲理由にしています。
まともな改憲理由がなくなって、でたらめな理由をつくっていると思われます。
しかし、改憲以前に、ああいうポスターで人を集めていて、自衛隊はまともに戦争ができるのか心配になります。
いや、そもそも自衛隊は戦争ということを真面目に考えているのでしょうか。
安倍首相は安保法制を成立させるとき、「現状では邦人が乗った米艦が攻撃されても自衛隊は米艦を防護できない」という例を挙げました。
しかし、こういうケースはほとんど想像できません。
最近、自衛隊は「離島奪還」のための上陸演習をよくやっています。離島というと尖閣諸島のことと思われますが、尖閣諸島が中国軍に占領されたからといって命がけで奪還するということもあまり想像できません。
政府は北朝鮮の核兵器と中国の軍拡を日本にとっての脅威に挙げますが、その脅威は具体的な戦争のイメージに結びつきません。
アメリカ軍に従って中東のどこかで戦争するということはあるかもしれませんが、行先も決まっていないのでは、やはり想像できません。
私が思う軍隊の本来の役割というのは、他国に占領されて隷属状態にならないために、侵略軍を撃退するか、撃退できないまでも十分な損害を与える能力を備えて侵略が割りに合わないと他国にわからせることです。
しかし、最近は日本が他国に侵略されることも想像できなくなりました。
戦争のない時代に合わせて、自衛隊はかわいい女の子のポスターをつくり、国民もそれを認めているのではないかと思います。
わかっていないのは、安倍首相ら改憲勢力と、憲法九条を守れという護憲勢力だけではないでしょうか。
改憲勢力も護憲勢力も敗戦の記憶にとらわれすぎて、時代の変化が見えていないのです。