トランプ大統領は国連総会で演説し、「アメリカと同盟国を守らなければならないとき、北朝鮮を完全に壊滅するほか選択肢はない」と語りましたが、この手の過激表現はトランプ大統領のいつもの通りです。
それよりも安倍首相の演説にびっくりです。
北朝鮮制裁、全加盟国が行動を 安倍首相国連演説<要旨>
安倍首相は北朝鮮のことを「史上最も確信的な破壊者」と呼び、「対話による問題解決の試みは一再ならず、無に帰した」「必要なのは対話ではなく圧力だ」と軍事力行使をにおわせました。
それにしても、演説内容がでたらめです。「我々が営々続けてきた軍縮の努力を、北朝鮮は一笑に付そうとしている」と言っていますが、安倍政権は軍縮どころか軍拡を営々と続けてきて、核兵器禁止条約も無視しています。
正しい表現は「我々が営々続けてきた軍縮させる努力」です。自分は軍拡して、向こうは軍縮させようというのですから、うまくいくわけありません。
安倍首相は演説の最後にこう言っています。
北朝鮮はアジア・太平洋の成長圏に隣接し、立地条件に恵まれている。勤勉な労働力、地下資源を活用するなら、経済を飛躍的に伸ばし、民生を改善する道があり得る。そこにこそ、北朝鮮の明るい未来はある。
まるで北朝鮮のことを思いやっているようですが、北朝鮮がいちばん求めている安全保障のことを無視しています。これで北朝鮮が核放棄するわけがありません。
安倍首相はまた、「すべての加盟国による行動」や「国際社会の連帯」を訴えていますが、肝心の韓国との連帯ができていません。
韓国の文在寅大統領はやはり国連総会の演説で、「突発的な軍事衝突で平和が破壊されないよう、『安定した方法』で対処する必要がある」と訴え、「北朝鮮の崩壊を望まない」とも言いました。
安倍首相はまず文在寅大統領と会って意思統一をはかるべきですが、なにもやっていません。
北朝鮮の核問題の最大の当事者は北朝鮮であり、その次は韓国です。
安倍首相はこの二国の意向をまったく無視して北朝鮮の核問題を語っているのです。
やはりここには、慰安婦問題を見てもわかるように、安倍首相に限らず日本の保守派がおしなべて持っている韓国人・朝鮮人に対する差別意識があると思います。
安倍首相は、朝鮮半島で戦争が起こって人々が悲惨な状況になることをまったく気にしていないのです。
一方、安倍首相はアメリカのことは過度に気にして、トランプ大統領の意向を忖度してふるまっています。
いや、言葉は過激でも腰の定まっていないトランプ大統領を安倍首相が戦争へと引っ張っているような気もします。
メルケル首相やマクロン大統領が外交交渉による解決を訴えているのと比べても、安倍首相の態度は異様です。
日本はノドンの射程内にあり、北朝鮮は核兵器を小型化してノドンに搭載可能にしたとされています。
安倍首相は、アメリカに頼ってさえいれば日本は攻撃されないと信じているのでしょうか。