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吉本興業は宮迫博之氏との契約解消撤回を再検討――一読しただけでは意味がよくわかりません。
要するに吉本興業は、宮迫氏をクビにするのはやめたと発表しましたが、やっぱりクビにするかもしれないと態度を変えたのです。
吉本興業は巻き返しに動き出したようです。

テレビを見ていると、吉本興業を巡る問題がどんどんわけがわからなくなっていきます。
吉本は2009年に上場廃止をし、そのときに市中の株を買い取って、その株をテレビ局などが持ちました。今は株主の上位にずらりとテレビ局が並びます。

吉本興業の株主
https://maonline.jp/articles/yoshimotokogyo_20190726?page=2


吉本興業とテレビ局は利益共同体ですから、テレビ局は吉本の不利益になるようなことはしません。ニュース番組やワイドショーなどのコメントはみな吉本寄りです。

たとえば、宮迫氏らが詐欺グループの忘年会に出たときにギャラをもらっていないと嘘をついたことが問題の発端で、吉本はむしろだまされた被害者だというのが、今のテレビの論調です。
その論調に乗って、吉本も宮迫氏をクビにする方向に動いたようです。

しかし、ノーギャラで宮迫氏らが忘年会に出て、あんなに歌を熱唱したりするとは、芸能界にうとい一般人でも信じられません。吉本の人間がだまされるわけがなく、嘘とわかって発表したはずです。
ところが、「宮迫さんの嘘を吉本はほんとに信じたんでしょうか」と問う人をテレビで見たことがありません。


吉本の岡本昭彦社長は記者会見で、「吉本はファミリーだ」ということを繰り返しました。
それに対して「ファミリーと思ったことはない」という芸人の声が上がれば、「ファミリーと思っている」という声も上がりました。
また、岡本社長は「ギャラの配分は5対5か4対6ぐらい」と言い、それに対して「そんなわけがない」という芸人の声も多数上がりました。
ほかにもいろいろな意見を言う芸人がいます。

「バイキング」で坂上忍氏はこうした動きを「派閥争い」と表現しました。
また、あるニュース番組では女性コメンテーターが「男気あらそい」と表現しました。加藤浩次氏のことを念頭に置いているのかと思いますが、男たちが男気のあるところを見せ合っているのだというわけです。
芸人たちが愚かな争いをしていると印象づけることで、吉本を相対的に持ち上げています。

しかし、芸人たち同士で争っているわけではなく、立場によって意見が違うだけです。
立場というのは、吉本で上のほうにいる芸人は“吉本ファミリー”の恩恵を受けて、下のほうにいる芸人は恩恵がなく、ギャラが安いという不満があります。
要するに格差問題が意見の違いとなっているのです。
こうした格差をつくりだしているのも吉本の問題です。


とはいえ、芸人の格差は実力の問題ということもできます。
真の問題は、芸人が吉本をクビになると食べていけないということです。
吉本とテレビ局は一体ですから、吉本の意に反して辞めた芸人は、ほかの芸能事務所に移っても、テレビの仕事はできなくなります。
サラリーマンを「社畜」と言ったりしますが、社畜でも会社をクビになれば、ほかの会社に移って生きていくことはできます。しかし、吉本所属の芸人は吉本をクビになると生きていけないので、社畜以下です。

明石家さんま氏はそうしたことを踏まえて、宮迫氏を“明石家興業”で預かるということを表明しています。さんま氏は吉本興業所属ですが、その実力からそうしたことが可能なのでしょう。

ただ、ここで疑問なのは、加藤浩次氏は「今の会長、社長の体制が続くなら、僕は吉本を辞めます」と言っていますが、加藤氏は吉本を辞めてもテレビに出続けることができるのかということです。
さんま氏は加藤氏について一言、「俺、わからへん」とだけ言いました。
芸能界に詳しい人がこのへんを解説してくれるといいのですが、誰もなにも言いません。
そもそも「吉本を辞めた芸人はテレビに出ることができない」ということすらテレビでは誰も言いません。

吉本の芸人が会社に隷属しているかと思うと、それだけでテレビが楽しくなくなります。