最近、コーヒーがよく飲まれています。
セブンイレブンのセブンカフェは2013年に年間4億5000万杯を売り上げ、コンビニコーヒー全体では年間7億杯だったそうです。そして、日本経済新聞によると、大手5社による2014年度のコンビニコーヒーの販売計画は、昨年の約2倍にあたる13億杯に達するということです。
また、全日本コーヒー協会によると、19902012年にはコーヒー豆消費量が50%増え256930トンに達し、これは同期間の緑茶消費量の3倍弱に相当するということです。
 
私も最近、よくコーヒーを飲んでいます。というのは、コーヒーが健康にいいという情報を最近よく耳にするからです。
コーヒーの消費がふえている背景には、そのこともあるのではないでしょうか。
 
コーヒーが健康にいいということはこちらのサイトにいろいろ書いてあります。
 
コーヒーと健康| 全日本コーヒー協会
 
知って得するコーヒーの健康効果 - NAVER まとめ
 
しかし、次の情報を目にしたとき、疑問が生じました。
 
糖尿病の予防にコーヒーが役立つかもしれないという論文が発表された。九州大学大学院医学研究院の古野純典教授による研究である。
(中略)
古野氏らが自衛官のデータを使って耐糖能とコーヒーの関係を調べていたところ、2002年にオランダの学者がコホート研究(大規模追跡調査の解析)を発表した。それは「コーヒーを17杯以上飲んでいる人は、2杯程度の人に比べて糖尿病になる危険が半分になる」というものだった。
オランダの学者のあとに発表された古野氏らのデータも、コーヒーが耐糖能の悪化を予防することをうかがわせる結果となった。
(中略)
古野氏らの介入研究は、インスタントコーヒーを1日に5杯ずつ、16週間にわたって飲みつづけることで、糖の代謝が改善するのかどうかを検証するものだ。
(中略)
 メカニズムはわからない。けれど、コーヒーが糖尿病に対して効能があることははっきりした。「ただし……」と古野氏は釘を刺す。
「糖尿病を予防するために効果が大きいのは食事と運動です。それがもっとも重要であることは変わりません。ですので『コーヒーには軽度の効果はある』というくらいに考えてください。コーヒーは1日に34杯飲むことをお勧めします」
 
「コーヒーを1日7杯以上飲んでいる人」とか「インスタントコーヒーを1日に5杯ずつ」とか、常識的には考えられないような数字が出てきます。「コーヒーは1日に34杯飲むことをお勧めします」という結論も、常識からは多すぎる気がします。
こういう研究結果はコーヒー業界の陰謀ではないかということをまず考えました。
コーヒー業界としては、1日1杯といわず、もっと飲んでほしいわけです。
 
コーヒーはたくさん飲んだほうが健康にいいという研究結果はほかにもいろいろあります。
 
女性の皮膚癌リスクを下げる
ブリガム・アンド・ウィメンズ病院とハーバード大学医学部で、20年間に渡る調査結果により明らかになったのは、コーヒーを13杯以上飲む女性は、そうでない人よりもはりかに皮膚癌にかかる率が少ないということです。112,897人の男女を研究対象に、この研究は今日も進行しています。
 
コーヒー134杯で耳鳴り症状が改善
突発的に、あるいは慢性的に耳鳴り症状を抱えている人は少なくない。100人に1人が慢性的な症状を抱えているというデータもある。耳鳴りの原因は内耳の神経へのダメージとされているが、感染や風邪、大音量の音楽などがきっかけとなる。最近では大音量の音楽をイヤホンで聞くことが多い若者に、耳鳴り症状を抱える人が増えているという。
その耳鳴り症状を1日に34杯のコーヒーで改善できるとの研究結果がこのほど発表された。カナダ・ウェスタンオンタリオ大学と米ハーバード大学医学部の研究者らが女性約65000人を対象に18年間追跡調査したところ、1日に34杯のコーヒーを飲む習慣がある人では耳鳴り症状を15%減ることがわかった。4杯以上だと20%減となるが、カフェインレスのコーヒーでは効果がないという。
 
肝機能が良好になる?
九州大学大学院医学研究院予防医学分野の古野純典教授らの研究によると、「ビールを毎日1本ほど飲む人について、コーヒーを毎日3~4杯飲む人とほとんど飲まない人を比較したところ、コーヒーを飲む人のほうが、γ-GTPが平均で10以上も低いことが分かりました。ちなみにγ-GTPの値が低いほど、肝機能は良好といえます」とのこと。飲酒者における高血圧の改善にも一役買うことがわかっている。
 
コーヒーにがん予防効果
コーヒーに含まれるクロロゲン酸や、クロロゲン酸が分解してできるカフェ酸は、がんの発生や増殖、転移を抑えるとされ、最近ではがん予防効果について研究が進んでいる。例えば11杯以上飲む人は、肝臓がんによる死亡リスクがまったく飲まない人の半分に、3杯以上なら胃がん発生率が半分になるという結果も。
 
コーヒーでうつ病リスク軽減
ハーバード大学では、うつとコーヒーの関係を知るために、10年間に51000人の女性を調査しました。コーヒーのほかに、お茶、チョコレート、アルコールの摂取量、そして運動の頻度も調べ、それぞれの場合のうつ病になるリスクを比較したところ、意外なことがわかりました。
なんと、コーヒーによる効果が一番高く、1日に4杯以上のコーヒーを飲む女性は、うつになる確率が20パーセント少ないのだそうです。
一方で、ディカフェ(カフェインが入っていないコーヒー)は全く効果がなかったため、カフェインが抗うつ剤のような役割をするのではないかと専門家は考えています。
 
中年は毎日3杯のコーヒーを飲むと長生きできる!?:米研究
新たな研究で中年が毎日3杯のコーヒーを飲むと早死にするリスクが1015%下がるということが明らかとなった。
調査はアメリカ国立がん研究所によって行われ、50歳から71歳の被験者を対象に12年間追跡し、分析した結果だ。研究を率いたDr. Neal Freedmanによるとコーヒーを4杯以上飲んだ被験者には特に有益な効果は得られなかったという。
 
「コーヒーには自殺予防の効果もアリ」との調査結果
米ハーバード公衆衛生大学院が、過去に実施された3つの調査結果を分析したところ、1日に24杯コーヒーを飲んでいる人は、カフェイン抜きのコーヒーを飲んでいたり、コーヒーを全く飲まない人と比べて自殺するリスクが1/2であることがわかったそう。
今回の研究では、医療従事者の男性43599人と、女性看護師73820人、同じく女性看護師91005人を対象に長期間に及びおこなわれた3つの調査で集まったデータをもとに、カフェイン入りのコーヒーの摂取量と自殺率についてを分析。その結果、それぞれの調査期間中に自殺をした人は277人おり、これらの人々は日頃からコーヒーをあまり摂取していない傾向があったという。
 
コーヒーがこんなにいろいろな病気に効くのは不思議です。
それに、栄養というのはバランスがだいじで、同じものを大量に摂取してもあまり効果はないはずです。
ということを考えると、コーヒー業界が裏でなにかやっているのではないかとかんぐりたくなるのですが、科学的な調査結果まではなかなか操作できないでしょう。
 
そこでひらめいたのが、「コーヒーの効果」ではなく(もちろんそれもあるでしょうが)、「コーヒーブレイクの効果」ではないかということです。
 
コーヒーブレイクという言葉があるように、コーヒーを飲むときは休憩してくつろぐのが一般的です。
1日7杯コーヒーを飲む人というのは、勤務中に何度も休憩を取っている人ということではないでしょうか。糖尿病の発症にはストレスも関係しますから、よく休憩を取る人が糖尿病になりにくいのは当然です。
 
私は働きすぎの会社人間を何人か知っていますが、こういう人は家庭をおろそかにするのはもちろん、自分の健康に無頓着で、飲酒、喫煙、肥満、運動不足などを改善しようという気がなく、むしろどんどん悪化させていきます。
適度にコーヒーブレイクを取る人というのは、こういう働きすぎの害からも自由なのではないでしょうか。
 
「仕事中に何度も休憩するのは健康にいい」ということは医学者や生理学者が言ってくれるといいのですが、彼らは産業社会と摩擦を起こしたくないので、そういうことはあまり言いません。
ですから、自分の健康は自分で守らなければなりません。
コーヒーを飲む飲まないに関わらず、勤務中でも適度に息抜きをしたいものです(もっとも息抜きの名目もほしいところですが)。
 
ところで、最近オフィスは全面禁煙というところが多くて、ビルの外の喫煙コーナーに人がたむろしているのをよく見かけます。「一服する」という言葉があるくらいで、あれも適度に休憩を取っていることになり、きっと健康にいいでしょう。
ですから、「タバコをたくさん吸う人ほど健康になる」という調査結果を持ち出してくる人がいるかもしれませんが、そのへんはちゃんと見きわめないといけません。