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「Amazon Echo」のテレビCMで「肉じゃがが母さんの味にならないよ」と言う男が気持ち悪いと話題になっています。
きっかけは、きゃりーぱみゅぱみゅさんがツイッターで「アレクサのCMの息子みたいな男苦手だな~」とつぶやくと、多数の「いいね」がついたことだったようです。





一人で肉じゃがをつくっている男が「肉じゃがが母さんの味にならないよ」と困って、母親にテレビ電話で相談すると、母親はカレールーを投入するように指示、ケチャップとすりおろしショウガも加えると、おいしいカレーになります。母親が「今度はどんな子なの?」と聞くと、男は「アレクサ、通話を切って」と言い、そこに「ピンポーン」と来訪者があり、男は「アレクサ、デートのプレイリストかけて」と言って、玄関に来訪者を迎えにいくというものです。

「彼女に手料理をふるまう男」が今の時代には受けるだろうという計算でつくったCMでしょう。
しかし、気になることがいくつもあります。

肉じゃがをカレーに変身させるという母親の大胆な発想にひとつのおもしろさがあるのですが、すでに味付けされた肉じゃがにカレールーを投入すると、塩辛くなりすぎるのではないかという心配があります。

そして、いちばんの問題は、男が彼女に食べさせるものを「母さんの味」にしようとすることでしょう。
「母さんの味」つまり「お袋の味」が価値あるのは自分自身にとってであって、他人にはとくに価値あるものではありません。
この男は、単なるマザコンにとどまらず、「自分にとって価値あるものは他人にとっても価値がある」と思い込んでいる自己中な男ということになります。
それがこのCMの評判が悪い理由でしょう。


この男は、「母さんの味」ではなくて、「彼女の好きな味」か「自分の得意な味」を目指すべきです。
男が「肉じゃががおいしい味にならないよ」と言って母親に相談していれば、このCMはなんの問題もなかったでしょう。


そもそも料理をする男が「お袋の味」をつくろうとするとは思えません。
料理をするときは「本格的な味」とか「レシピ通りの味」とかを目指します。
「お袋の味」を求めるのは、たいていは自分で料理をしない男でしょう。記憶の中で理想化された味を妻に求めるので、ろくなことにはなりません。

このCM制作者は、「お袋の味を求める男」を「家族思いの男」と勘違いしたのかもしれません。


あと、母親が彼女のことを聞こうとしているのに、男が一方的に電話を切ってしまうのは失礼だという意見もあります。
しかし、母親と彼女のことを話し合ったりすれば、それこそマザコンっぽくなってしまうので、そこは問題ないでしょう。

ただ、母親に対していつもあんな口の利き方をしているとすれば問題です。
この男は一人暮らしで、いつもAIスピーカー相手に会話していて、一方的に命令や要求をすることに慣れてしまって、母親に対してもAIスピーカーに対するのと同じ口の利き方をするようになったのかもしれません。とすると、彼女に対しても同じような口の利き方をするかもしれません。

このCMは、AIスピーカーの便利さを表現するものですが、その便利さに慣れてしまうことの危うさも表現している気がします。