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新型コロナウイルスは、新種であると同時に、中国以外の国にとっては外来種です。
人間は外の世界からきたものに本能的な警戒心や恐怖心を抱きます。この本能は生存に有利なものですが、合理的とは限りません。
とくに人間は国境の内と外にこだわりすぎる傾向があります。

1995年、セアカゴケグモが大阪府で発見され、それから各地に広がっていきました。当時、セアカゴケグモには毒があって、ときには死亡することもあるとして、マスコミは恐怖心をあおり立てる報道をしましたが、結局たいした被害もなく、現在はセアカゴケグモのことはほとんど忘れられています。

最近はヒアリが港湾周辺に発見されることが多く、駆除が行われています。ヒアリは、刺されると強い痛みがあって、アナフィラキシーショックで死亡することもあり、殺人アリと呼ばれるということで、やはりマスコミは恐怖心をあおる報道をしました。しかし、そういう報道はいつまでも続きません。どうやらヒアリは日本に定着しつつあるようです。

もともと日本に毒のある虫はいっぱいいて、かまれたり刺されたりすると痛くなったりかゆくなったりする虫は数えきれません。
いちばん危険なのはスズメバチです。スズメバチを中心とするハチによる死者は年間20人前後ですが、それほど恐れられていません。

新型コロナウイルスは外来種なので、今は恐れられていますが、時間がたてば外来種という意識はなくなり、そんなに恐れられなくなるでしょう。

新型コロナウイルス対策は水際作戦に失敗し、現在は世界中に広がっているので、もはやなくすことはできません。
これからは排除ではなく受容を考えるべきです。


イギリスでは3月12日、ジョンソン首相とパトリック・ヴァランス政府首席科学顧問が記者会見を行い、新しい対策を発表しました。

パトリック・ヴァランス政府首席科学顧問は「イギリスの実際の感染者は他国の検査数と陽性率を見ると5000人から1万人いるとみられます」と分析。もはや感染を止めるのは不可能なのでゆっくり感染して集団免疫を獲得すると明言しました。 
免疫を持つ人が一定割合まで増え、感染を防ぐようになることを「集団免疫を獲得する」と言います。数理モデルをつくる英インペリアル・カレッジ・ロンドンのニール・ファーガソン教授のこれまでの発言を聞く限り、イギリスの集団免疫レベルの基本シナリオは60%とみられます。 
来シーズンにはワクチンが開発されている可能性があるため、感染して自分で免疫を獲得した人とワクチン接種を受けた人の割合をコントロールしながら60%に持っていく戦略と筆者はみています。 
https://news.yahoo.co.jp/byline/kimuramasato/20200313-00167569/

イギリス国民が「集団免疫」を獲得するには、相当多数の死者が出ることになり、この方針は激しく批判されているので、今後軌道修正されるかもしれませんが、新型コロナウイルスが排除できない以上、共存するしかないということを示しています。

ドイツのロベルト・コッホ研究所も「集団免疫」への道を示しました。

新型コロナ、免疫獲得に2年の公算 致死率は不明=独研究所
[ベルリン 17日 ロイター] - ドイツのロベルト・コッホ研究所のウィーラー所長は17日、世界人口の60─70%が新型コロナウイルスに感染し、いずれ回復、免疫を得るのに2年間の時間がかかるとの認識を示した。 

ウィーラー所長はこうした経過のペースを見極めることは不可能と指摘。同時にワクチンの開発や配備のタイミング次第とした上で、こうした経過が「約2年間になるというのがわれわれの仮説だ」と述べた。 
「最終的な致死率がどの程度に達するかは分からない」とも述べた。 
(後略)
https://jp.reuters.com/article/health-coronavirus-germany-millions-idJPKBN21444C

別に国民の60%が感染しなくてもワクチンが開発されれば「集団免疫」ができるわけです。


日本ではもともと肺炎によって2018年には年間9万5000人近い死者が出ています(誤嚥性肺炎は除く)。
肺炎の原因でもっとも多いのは肺炎球菌で、肺炎球菌による死者数は1万7800人ほどです。肺炎球菌にはワクチンがあるのにこれだけの数字です。
しかし、肺炎球菌は“在来種”なので、それほど恐れられていません。
新型コロナウイルスによる肺炎も、いずれそれと同じになるものと思われます。


イベント自粛をいつ解除するかということがこれから問題になります。
新規感染者がゼロにならなければ解除しないということでは、いつまでたっても解除できません。
これからは、ある程度感染を抑えた状態で、新型コロナウイルスと共存していくことにならざるをえません。

そのとき問題になるのが、差別主義者や排外主義者の動きです。
日本では新型コロナウイルスのことを「武漢ウイルス」と呼び、さらに「武漢肺炎」とか「武漢熱」という言い方をする人がいます。
麻生太郎財務相も国会答弁で「武漢ウイルス」という言葉を使っています。
ポンペオ国務長官も「武漢ウイルス」という言葉を使いましたし、トランプ大統領は「中国ウイルス」という言葉も使いました。

WHOは差別と結びつくのを避けるために病名などに地名を使わない方針で、新型コロナウイルスは「COVID-19」と命名されています。

ウイルスの出自がどこかということはどうでもいいことです。
外国人が外国の文化を身につけているということはありますが、ウイルスが中国文化や共産主義思想を身につけるということはありません。
差別主義者や排外主義者はウイルスの脅威を利用して外国への敵意を高めようという作戦ですが、それをするとウイルスがいつまでも“外来種”という認識になり、正しい対策の妨げになります。

「愛に国境はない」と言いますが、ウイルスにも国境はありません。