
安倍晋三元首相暗殺事件の衝撃が意外な形で日本を揺るがしています。
当初は、安倍元首相を撃った山上徹也容疑者の「統一教会のトップを狙いたかったがむりなので、代わりに安倍元首相を狙った」という犯行動機がいかにも無理筋に思えました。
しかし、統一教会と自民党との癒着は日本の大きな病巣ですから、山上容疑者はまぐれでも意外と急所を撃ったのです(安倍元首相を撃ったことを肯定しているわけではないので、誤解しないように)。
政治家は票を得るためにいろいろな宗教団体とつながりを持つのは当然だという意見がありますが、統一教会(世界平和統一家庭連合)は、かつては霊感商法や合同結婚式で世間を騒がせ、今も信者に多額の献金を強要して自己破産させる危険なカルト教団ですから、ほかの宗教団体とは違います。
統一教会の創始者文鮮明は1950年代から岸信介とつながりがあり、統一教会の政治組織である国際勝共連合を自民党は利用してきたので、統一教会と自民党はずっと密接な関係にありました。自民党議員は統一教会から選挙運動員を派遣してもらうことが多く、さらには秘書を派遣してもらうケースもあるといいます。
しかし、統一教会の霊感商法や合同結婚式が問題にされたときも、なぜかこうした統一教会と自民党のつながりはほとんど追及されませんでした。
それが今回の銃撃事件でようやくマスコミも統一教会と自民党の関係について報道するようになったわけです。
もっとも、カルト教団と癒着したからといって犯罪になるわけではないので、それほど大きな問題ではないと考える人もいるでしょう。
確かに一般の人にとってはそうかもしれません。
しかし、安倍元首相や自民党を支持してきた保守派にとってはそうではないはずです。
というのは、統一教会は韓国人の教祖をいただく、韓国に本部のある、韓国系の宗教だからです。
韓国系の宗教だからいけないという理屈はありませんが、保守派はみな韓国が嫌いです。
安倍元首相も慰安婦問題、徴用工問題、自衛隊機レーダー照射問題などでつねに韓国にきびしい態度をとってきて、それで保守派の人気を博していました。
その安倍元首相が韓国系の宗教とつながっていたというのは、保守派にとっては許せないことのはずです。
それに、自民党議員の秘書に統一教会の信者が潜り込んでいるとなると、日本の政界の秘密が韓国に流出することになりかねず、こうしたことは保守派がいちばん神経を尖らせるところです。
さらにいうと、統一教会の教義も保守派は絶対認められないはずです。
ウィキペディアの「世界平和統一家庭連合」の項目には次のように書かれています。
エバ国家日本はアダム国家韓国に貢ぐことを義務づけられている[40]。韓国がアダム国家である理由は、神に選ばれた民族の国であり、世界に真理を発信したメシアの国であるから[40]。日本がエバ国家である理由は、朝鮮を植民地にして多くの人民を苦しめてきた事実などによる[40]。戦後、日本が経済大国になったのはメシア(文鮮明)が神に日本の罪をとりなし、エバ国家として神に認めさせたからだ[40]。
金と人物の両面で韓国と全世界の統一協会を支えることがエバ国家である日本の責任である[40]。日本人に多く伝道して信者として、その信者を全世界に送り出していくこと、日本で莫大な資金を調達してそれを全世界に供給していくこと、それがエバ国家日本の使命だ[40]。
※
韓国と日本では史観が違っており、アダム国家韓国では献金などのノルマなどは厳しくなく、「サタン(悪魔)の国[31]」であるエバ国家日本は「金のなる木」の場所として、アダム国である韓国と国内外の統一教会に全てを捧げる教義が教えられている[32][33]。また、エバ国家日本のLGBTや同性婚、夫婦別姓は「生活共産主義」とされ、認めさせてはならないと説いている[34][35]。
連合ではイエス・キリストの「再臨論」も説いており、天照大神を崇拝してきた全体主義国家であり、韓国のキリスト教を過酷に迫害した日本と、共産化した中華人民共和国は「サタンの国」である為、イエスが再臨する『東の国』とは韓国であるとしている[36]。また、「メシアを迎え得る国となるために我々は第三イスラエル選民となければならない」としている[36]。
文鮮明の教え(教義)の一つとして、文教祖の恨(ハン)を晴らすのは「エバ国家日本をアダム国家韓国の植民地にすること」「天皇を自分(文教祖)にひれ伏させること」としている[37][38][39][40]。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%96%E7%95%8C%E5%B9%B3%E5%92%8C%E7%B5%B1%E4%B8%80%E5%AE%B6%E5%BA%AD%E9%80%A3%E5%90%88
ウィキペディアだけでは信憑性がないかもしれないので、『旧統一教会の「“エバ国”日本が資金調達し“アダム国”韓国に捧げる」システム…それでも続いた自民党“保守政治家”との関係』という記事で、『統一教会 日本宣教の戦略と韓日祝福』の著書もある北海道大学大学院の櫻井義秀教授(宗教社会学)の語ったことも引用しておきます。
「霊感商法、そして訴訟関係は日本を中心として起きていて、アメリカや韓国では起きていない。これは日本の旧統一教会だけが、いわば違法な形で資金調達をし、それを韓国の本部に送り届けるというミッションがあるからだ。旧約聖書にアダムとエバが禁断の木の実を食べたという話が出てくるが、エバが先に食べ、そしてアダムに渡したとされている。これが旧統一教会の教義では、アダム=韓国で、エバ=日本だということになっている。つまり“エバ国”である日本の支部が資金調達をし、“アダム国”である韓国の本部に捧げる。そして韓国がアメリカなど各国の支部に配分し、世界的な布教戦略を展開してきたということだ。
「日本を韓国の植民地にする」とか「天皇を自分(文教祖)にひれ伏させる」とか、普通の日本人でもびっくりしますが、保守派やネトウヨが聞いたら卒倒しそうなことです。
要するに反日教義です。
こんな宗教が日本にはびこっていたのです。
ネトウヨは在日を差別しているどころではなく、今すぐ統一教会の排除をしなければならないはずです。
ところが、保守派やネトウヨは自民党と統一教会がズブズブの関係にあることを横目で見ながらスルーしてきました。
ネトウヨの若い人なら知らないということもありえますが、保守派の論客といわれるような人なら統一教会の教義も自民党と統一教会の関係も知らないはずがありません。
というか、保守派の論客には統一教会のメディアでインタビューされたり、イベントで講演をしたりして、統一教会と関係を持っている人も少なからずいます。
ですから、保守派やネトウヨは統一教会に関しては沈黙したままです。
例外は高須クリニックの高須幹弥氏ぐらいです。
高須氏は自身のYouTubeチャンネルで「統一教会について話します。(この動画は削除するかもしれません)」と題する動画をアップして、統一教会の教義についても語っているので、これを見るのがわかりやすいかもしれません(ただし、統一教会と自民党や安倍元首相の関係についてはなにも話していません)。
統一教会と安倍元首相の関係はかなり深いものがあります。
トランプ氏が大統領に当選したとき、日本の外務省はまったく予想しておらず、トランプ氏となんの接点もありませんでした。
そんなとき、就任前のトランプ氏と安倍首相の会談をとりもったのが統一教会だといわれます(詳しくは『「統一教会が安倍・トランプ会談を仕掛けた」説にこれだけの状況証拠! 勝共連合機関誌も2人のタッグを絶賛』を参照)。
安倍元首相が昨年9月にビデオメッセージを送った統一教会系の「天宙平和連合(UPF)」のイベントにはトランプ元大統領も同じ形でメッセージを送っていました。
さらに今年2月に行われたUPF主催の「ワールドサミット2022・韓半島平和サミット」では、トランプ元大統領がビデオ映像において基調演説を行い、息子ブッシュ大統領のときの副大統領だったディック・チェイニー氏も演説をしました(安倍元首相は書面によるメッセージ)。
つまり統一教会はアメリカ政界にも深く食い込んでいるのです。
安倍元首相が統一教会とのつながり続けたのには、そうした背景もありそうです。
いずれにしても、統一教会は反日教義を有するとんでもないカルト教団です。
自民党や保守派が統一教会を批判できないとなれば、自民党や保守派もまた反日勢力と言われてもしかたありません。

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