村田基の逆転日記

親子関係から国際関係までを把握する統一理論がここに

2016年04月

熊本地震が起こってから、ネット民の「悪意」が暴走しまくっています。
 
いちばん最初の被害者は長澤まさみさんだったでしょうか。
長澤さんは、地震発生から約80分後に、そのニュースを知らずに普段通りに女優の友だちとの写真をインスタグラムに投稿したところ、不謹慎だという批判で炎上し、その投稿を削除しました。
このようにやたら不謹慎だと攻撃する人たちのことを「不謹慎厨」と呼び、そのやっていることを「不謹慎狩り」というのだそうです。
 
こういう場合、「被災者を傷つける」ということが大義名分になります。
しかし、長澤さんの場合、被災者は彼女のインスタグラムを見るどころではないのですから、「被災者を傷つける」という批判は当たりません。
「不謹慎だ」という批判は、批判のための批判です。
 
ダレノガレ明美さんは、ツイッターで被災者のための情報を発信していたところ、「指で操作するだけじゃなくてなんか行動すればいいのに」と批判され、炎上しました。
しかし、この時点では被災地には入れませんし、彼女のようにフォロワー数の多い人の情報発信には価値があるので、批判は的外れです。
 
紗栄子さんは被災地に5002000円を寄付し(2000円は子どもの貯金から)、その振込受付書の写真を投稿したところ、「偽善だ」などの批判で炎上しました。
確かに誰にも知られずに寄付するのが純粋な行為かもしれませんが、芸能人がチャリティーとして慈善行為をアピールするのは誰もが行っていることです。寄付をしつつ、それを自身の芸能活動にも役立てることがそれほど批判されることとは思えませません。少なくとも寄付しないよりは百倍ましです。
 
慈善行為をする人を「偽善だ」と批判することは昔からありました。杉良太郎さんは昔から熱心に慈善活動をしてきましたが、ずっと「偽善だ」と批判され続けてきたそうです。
 
しかし、インターネットが普及してから、その傾向が急速に進んでいることは間違いありません。
普通、人を批判すると、「じゃあ、お前はどうなのだ」と言い返されますが、ネットで匿名の場合は一方的に批判できます。それに手間もかかりません。まさに「指で操作するだけ」です。
 
今回の震災では、女優の井上晴美さんは熊本県に住んでいて、自宅が全壊して、まさに被災者の1人になったわけですが、ブログで被災の状況を発信していたところ、「愚痴りたいのはお前だけじゃない」などと批判され、一時ブログを休止するはめになりました。
また、一般の被災者がネットで「千羽鶴はいらない」などと発信したところ、「傲慢だ」などと批判の声が上がったそうです。
こうなると「被災者のため」という大義名分すらなく、わけがわかりません。
 
こうした傾向は、放置しておくとどんどん進行していきます。
私が常日ごろ言っている「人間は道徳という棍棒を持ったサルである」とはまさにこのことです。

北朝鮮はこのところノドン、ムスダンを続けて発射し、4月23日には潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)とみられるものを発射しました。
まったく愚かな行為ですが、北朝鮮はなんのためにこれらの行為をしているのでしょうか。
 
マスコミは必ず「挑発」という言葉を使います。
各メディアの見出しを並べると、こんな具合です。
 
北朝鮮、更なる挑発の可能性 SLBMか?飛翔体発射:朝日新聞 …
 

社説:北朝鮮の挑発世界に背向ける独裁者 - 毎日新聞

 

北朝鮮相次ぐ軍事挑発の背景 | NHKニュース

 
正恩氏の挑発は続く 4週連続のミサイル発射、今月 ...- ZAKZA
 

挑発行為を続ける北朝鮮日韓首脳は?|日テレNEWS24

 
 
しかし、「挑発」という言葉はこういう意味です。
 
 

大辞林第三版の解説

ちょうはつ【挑発・挑撥】

(名 ) スル

①相手を刺激して向こうから事を起こすようにしむけること。 「敵を-する」 「 -に乗る」

②刺激を与えて色情をそそりたてること。 「遊客を-する」

 
 
北朝鮮はアメリカや国際社会を刺激して、向こうから事を起こすようにしむけているのでしょうか。
北朝鮮の国力からして、そんなはずはありません。事が起これば北朝鮮は破滅です。
北朝鮮は逆にアメリカと話し合いたいと思っているはずです。
 
一方、アメリカと韓国はこの春、韓国軍約30万人、米軍約1万7千人が参加して史上最大規模の合同演習を行っています。北朝鮮の鼻先で行われる大規模な演習こそ「挑発」というに値します。
 
この米韓合同演習は3月7日に始まり、その後まったく報道はありませんが、今もやっています(予定では4月末まで)
北朝鮮にすれば、「演習」のために集結した軍がいつ矛先を変えて攻めてくるかわからず、ビクビクものです。
北朝鮮の李洙ヨン(リ・スヨン)外相は423日、AP通信の取材に対して「アメリカが韓国との合同軍事演習をやめれば、核実験をやめる」と発言しています。
 
北朝鮮とアメリカ(と韓国)の力関係はこのようなものです。
ところが、マスコミの報道では北朝鮮が「挑発」しているとされるので、わけがわかりません。
 
北朝鮮がミサイルを発射したりする行為は、「挑発」ではなく、「虚勢」とか「こけおどし」と表現するべきです。
もちろん「虚勢」や「こけおどし」が軍事衝突に結びつくかもしれず、警戒しなければなりませんが、こう表現してこそ現実が見えてきます。
 
では、なぜ「挑発」という表現が使われるかというと、北朝鮮の「脅威」は戦争屋にとって利益になるからです。
 
戦争屋にとってそうだからといって、マスコミまでがその表現を使うことはありません。マスコミの見識が問われるところです。

熊本地震のために田母神俊雄容疑者逮捕のニュースがすっかりかすんでしまいました。
 
田母神氏はユニークなキャラクターの人物で、「私はいい人なんです」が口ぐせです。
 
私が田母神氏の口ぐせに気づいたのは、氏がへんてこな論文のために自衛隊を辞めて間もないころのことです。ある雑誌の座談会の場に仕事の関係で私も居合わせました。最初のうちこそ田母神氏は普通にしゃべっていましたが、だんだん調子に乗ってきたのか、後半になると「私はいい人なんです」という言葉を連発しました。
自分で「私はいい人なんです」と言う人はまずいません。
ですから、その言葉は冗談と受け止められ、その都度笑いが起きました。
 
田母神氏はいろんなところで「私はいい人なんです」という言葉を連発しています。
「田母神 私はいい人なんです」で検索すると、620万件ヒットし、タイトルに「私はいい人なんです」という言葉のあるサイトがざっと数えても20以上あります。
 
田母神氏が都知事選に立候補したときの街頭演説の第一声を書き起こしたサイトがありました。このときは冒頭から得意のセリフを言っています。
 
 
田母神俊雄氏街頭演説 渋谷駅ハチ公前 20140108
皆さんこんにちは。頑張れ日本!全国行動委員会会長の田母神でございます。昨日衆議院の第一議員会館で記者会見をして、このたびの東京都知事選に立候補することを正式に表明をいたしました。よろしくお願いします。私は黙っていれば非常に怖い顔をしてると言われるんですがね、ところがやさしいんです本当に。顔はこと生まれつきなんでどうしょうもないんですけどもですね、まあこの顔でも良いって人もいるんです。
ですから私とちょっと皆さん付き合っていただくとですね、本当にいい人だということがすぐに分かります。私は本当に心優しくて、いい男だということを自負してますし、私と付き合った人は大体私の悪口をいう人はいないんです。そのくらい私はほんといい人なんです。で、いい人ってのは通常決断力と実行力がないんですよね。でも私はいい人だけども決断力もあるし実行力もあります。これは、私の部下であった航空自衛官がみんな話を聞けば証明をしてくれます。
 
「いい人」という言葉を連発しています。
この人がほんとうに訴えたかったことは、政策なんかよりも「私はいい人なんです」ということではなかったかと思います。
 
人間は誰でもいい人と思われたいものです。その思いがあるから、いい人になるよう努力します。
ところが、田母神氏の場合は、「私はいい人なんです」とモロに主張してしまうわけです。
 
いや、それだけではありません。
アパグループ主催の懸賞論文に「日本は侵略国家であったのか」という論文を応募し、受賞します。これは要するに「軍国日本はいい国なんです」ということを述べたもので、「私」を「軍国日本」に置き換えたわけです。
 
これが自衛隊の高官にあるまじきトンデモ史観の論文だったため自衛隊を追われますが、一方で評価する人たちもいて、田母神氏は評論家として講演などをするようになります。私が会ったのはそのころです。
「軍国日本はいい国なんです」という主張に、冗談めかして「私はいい人なんです」という主張も盛り込み、それが受けているので、とてもごきげんでした。
 
もちろん自分で「私はいい人なんです」と主張する人間がいい人のわけがありません。
公職選挙法違反で逮捕されただけではなく、奥さんと離婚し、愛人がいるという報道もあります。盟友であったチャンネル桜の水島聡社長に政治資金を使い込んだと告発され、泥仕合を演じました。
 
しかし、田母神氏がこんなになってしまったのは、田母神氏を持ち上げた人間にも責任があります。
田母神氏は自衛隊時代には「私はいい人なんです」という主張は抑えていたはずです。
ところが、辞職してから右翼的な人に取り巻かれました。

右翼思想の本質は、自国中心主義と自分中心主義です。右翼的な人は田母神氏の「軍国日本はいい国なんです」だけではなく「私はいい人なんです」という主張まで喜んで聞くので、そのため田母神氏が暴走し、長年連れ添った奥さんとうまくいかなくなり、政治資金を私物化するなどしたのではないでしょうか。


田母神氏の講演や演説で「私はいい人なんです」という言葉を聞いて喜んでいた人も罪が重いといえます。

安倍政権は川内原発を稼働し続けています。気象庁は4月17日の発表でも「地震活動の今後の展開は現時点で予測できない」と言っているのですが。
地震により川内原発が重大な事故を起こす確率はかなり低いでしょう。しかし、もし事故が起こったときの被害の深刻さを考えれば、停止しておくに越したことはありません。
 
一方、安倍政権は米軍のオスプレイを支援物資輸送のために受け入れることを決定し、安倍首相は「米国の友情に心から感謝したい」と述べました。
自衛隊の輸送機とヘリコプターで足りないとは思えません。
震災までも安全保障政策のアピールに利用しようというのでしょう。
 
安倍政権は安全保障政策に力を入れているとされますが、“原発の安全保障”のほうはさっぱりです。
 
ということは、「安全保障」という言葉を使うのが間違っています。
安倍政権の場合は「先軍政治」というべきです。
 

 
産経新聞も震災に乗じて「先軍政治」ならぬ「先軍報道」を行っています。
  
東北の陸自部隊2300人現地入り 「感動」のツイート相次ぐ
 
 熊本地震の被災者救助・支援のため、陸上自衛隊東北方面隊の災害派遣部隊(隊長・掛川壽一第6師団長)約2300人が18日、九州に到着し、活動を開始した。救助や生活支援、道路の復旧などを急ぐ。
 
 派遣部隊は第20普通科連隊(山形県東根市)、第21普通科連隊(秋田市)、第44普通科連隊(福島市)など東北6県の部隊で構成。
 
 ほとんどが東名高速や中国道などを経由して陸路で現地に入った。ツイッター上には移動する部隊を見た人による「東北の自衛隊が熊本に向かっている。感動した」といった書き込みや写真投稿が相次いだ。
 
 ショベルカー7台や野外炊具18台、野外入浴セット4台も運搬。大分県の日出生台(ひじゅうだい)演習場や熊本県阿蘇市の一の宮運動公園に集結した後、それぞれの活動現場に向かった。
 
 航空自衛隊は16日夜に岩手、宮城、山形、福島の災害派遣医療チーム(DMAT)を松島基地(宮城県東松島市)から運んだほか、17日に輸送支援のため三沢基地(青森県三沢市)のCH47ヘリを派遣。18日には同基地から支援要員などを送り込んだ。
 
 海上自衛隊は同日、大湊基地(同県むつ市)に備蓄していた支援物資を八戸航空基地(同県八戸市)から空輸した。
 
 
要するに自衛隊の災害派遣部隊が移動しているというだけの記事です。それが「感動した」ということになりますが、この「感動した」という書き込みは被災地の人のものではなさそうです。
自衛隊を賛美する言葉ならどこからでも引っ張ってくるのでしょう。

被災地で活動する自衛隊を描く記事もあります。
 
 
「自衛隊頼りになる!2日ぶりの温かいご飯」 給水に炊き出し、医療チームの支援も始まる
(前略)
 ともに北熊本駐屯地(熊本市北区)に本拠を置く陸上自衛隊第8特科連隊と、第42普通科連隊第4中隊が17日、西原村に入った。650人が避難した西原中学校に到着すると、子供が「かっこいい車が来たよ」と歓声を上げた。
 
 「全力でお米をたきます。皆さん、待っていてください」
 
 支援長の坂本利彦曹長(49)が声をかけ、約20人の隊員は早速、おにぎり1600個分の大量の米を炊き始めた。
 
 45分ほどで炊きあがると、被災者30人が手分けして、おにぎりを握った。
 
 吉木亮子さん(63)は「2日ぶりの温かいご飯です。自衛隊さんが来てくれて本当にありがたい」とほおばった。
(後略)
 
このあと、自衛隊が給水活動をすると、被災者は「「水がないと何もできなかった。やっぱり、自衛隊は頼りになりますよね」と語ります。
 
自衛隊の活躍を伝える記事――と言いたいところですが、自衛隊はただお米を炊いて、給水活動をするだけです。
消防隊員などがまだ必死で救助活動をしているときに、こんな記事を書いていていいのかと言いたくなります。
 
中でも『西原中学校に到着すると、子供が「かっこいい車が来たよ」と歓声を上げた』というくだりは、自衛隊賛美に子どもを利用しているだけに悪質です。
私は「兵隊さんよありがとう」という軍国歌謡を思い出しました。
 
 
「兵隊さんよありがとう」
一、
   肩をならべて兄さんと
   今日も学校へ行けるのは
   兵隊さんのおかげです
   お国のために
   お国のために戦った
   兵隊さんのおかげです
 
 二、
   夕べ楽しいご飯どき
   家内そろって語るのも
   兵隊さんのおかげです
      :
      :
     () 
      :
      : 
  兵隊さんよ ありがとう
   兵隊さんよ ありがとう
 
 
産経新聞は戦争になると、きっといい翼賛記事が書けます。

4月14日、熊本県で震度7の地震がありました。被災者の皆様にお見舞い申し上げます。
 
地震があるととっさに思うのは、原発は大丈夫かということです。九州では川内原発が稼働中です。
ニュースでは原発に異常はないということです。そして、今も稼働しています。
しかし、私がこれを書いている15日深夜1時すぎにも、テレビは熊本で震度6強、続いて震度6弱の余震が起きたことを伝えています。
こんな中で稼働を続けるという判断はまともとは思えません。
 
ところで、原発賛成派の人たちはこういうときどういう心境なのでしょうか。
日本の原発は絶対安全だからなんの心配もない――なんていうことはないでしょう。
実際は心配なはずです。
 
しかし、心配するということは、原発稼働に賛成したことと矛盾します。
そういう矛盾に直面した人間はどうするのかというと、こんなことをしていたのでした。
 
 
地震直後、首相官邸へ「川内原発停止」と電話 「反原発派」の陳情がネットで「場違い」と物議に
 
 最大震度7を記録した地震から一夜明けた2016415日朝、益城町や熊本市で計9人の死亡が確認され、けが人も多数出ている。現地では自衛隊や警察、消防が救助活動に当たっている。
 
   一方、ネット上では「反原発」「脱原発」を主張する人々の「はしゃぎっぷり」が物議を醸している。
 
   「首都圏反原発連合」に所属しているとプロフィール欄に書くツイッターユーザーは、地震発生直後の1422時頃、こうツイートした。
 
“「今首相官邸に電話した。誰がでたか相手はわからないが、名前を名乗って川内原発を停めてくれと話したら『その件については改めて連絡ください』と言い残し一方的に電話をガチャっと切られた」
 
   また同じ頃、今夏の参院選に立候補予定の女性が
 
“「熊本、九州の皆様地震は大丈夫でしょうか。被害が最小限になるように祈っています。 原発はもういらない。地震のたびにこんな風に心配しなければならない原発はもう廃炉にしなければならない」
 
とツイッターに投稿。合わせて、九州電力に川内原発停止を陳情したと明かしている。
 
   16414日の22時前と言えば、今回の地震を受けて、九州電力が全国で唯一稼働する川内原発(鹿児島県薩摩川内市)や玄海原発(佐賀県東松浦郡玄海町)について、「異常なし」と発表された直後だ。安倍首相や菅官房長官、河野防災担当大臣が首相官邸に危機管理センターを設け、情報収集や被害状況の把握に努めていた頃だ。
 
   そうした事情もあったためか、時と場合を考慮しない「陳情」と映ったようで、これらのツイートには
 
“「いい加減にしろ」
 「黙って寝てろ」
 
などという批判が相次いだ。
 
   このため、首相官邸に電話した先のユーザーは深夜になって
 
“「運動のために便乗しているのではない」
 「事故が起こった時の近隣の人たちの被害を心配して言っている」
 
などと弁明したものの、さらに批判を浴びる結果になっている。
 
 
原発を停止してくれと官邸や九州電力に訴えることは普通のことです。それを「はしゃぎっぷり」と表現するこの記事が異常です。
原発停止を訴える人に対して「いい加減にしろ」「黙って寝てろ」と言う人のほうこそはしゃいでいるというべきです。
 
 
また、共産党の池内沙織衆院議員はツイッターで「川内原発今すぐ止めよ」と訴えたのち、その投稿を削除したということです。
 
共産・池内氏、地震直後に「川内原発止めよ。正気の沙汰か!」とツイッター投稿、後に削除?
 
また、民進党の公式ツイッターが「一部の自民党の有力議員が原発対応についてデマを流して政権の足を引っ張った」と書き込んで、これも削除する騒ぎになりました。
 
熊本震度7 民進党、「自民議員がデマ」ツイートを削除 枝野幹事長ぶら下がり詳報「個人の見解を職員が書き込んだ」
 
ツイートを削除したのは、よほど非難の声が多かったからでしょう。
まだ事態が収束していない中で反・反原発の活動に精を出す人たちの「はしゃぎっぷり」が想像できます。
 
そういう人は、要するに自分自身の矛盾を、他者を非難することでごまかそうとしているのです。
もちろんそれは間違った対応です。
この機会に自分の中にある不安心理に気づけば、“災い転じて福となす”ことができます。
もちろんそれは原発賛成派をやめて原発反対派になるということです。
日本のような地震国で原発を稼働していることが異常なのです。

2歳の長男をプラスチック製の衣装ケースに閉じ込めて殺害したとして、4月11日、父親の井上祐介容疑者が逮捕されました。
ケースは幅約80センチ、奥行き約40センチ、深さ約30センチで、そこに長男と3歳の長女を入れて蓋をし、約30分放置したということです。
井上容疑者は「しつけのためにやったが殺すつもりはなかった」と容疑を否認し、また閉じ込めについては「十数回やった」と供述しているということです。
 
幼児虐待をする人間の決まり文句が「しつけのためにやった」です。
 
で、これに対する反論を私は聞いたことがありません。
ワイドショーのコメンテーターなどは日ごろ、「親は子どもにちゃんとしつけをするべきだ」と主張しています。そういう主張と整合性が取れなくなるからでしょうか。
 
考えられる反論としては、「しつけするのはいいが、殺したりケガさせたりするのはやりすぎだ」というものでしょう。
しかし、こう主張すると、「じゃあケガさせない程度にやればいいのか」ということになって、虐待を正当化しているみたいです。
 
あるべき反論は、しつけと虐待の線引きをした上で、「それはしつけではなくて虐待だ」というものでしょう。
しかし、しつけと虐待、あるいはよいしつけと悪いしつけの線引きというのは誰にもできません。
というのは、もともと「よいしつけ」というのは存在しないからです。
 
しつけや教育をするのは人間だけです。
犬や猫やその他の動物の子育てを見ていると、親は子どもの安全と飢えさせないことだけに気をつかい、子どもは親の周りで自由に遊んでいます。親は子どもに指図したりしません。
それでいて子どもがわがままになるということはありません。
 
とすれば、人間の場合も、親がしつけをしなくても子どもがわがままになるということはないはずです。
人間がしつけをするのは、基本的に親のためです。家を汚されると困る、うるさいのは迷惑だ、親の言うことはなんでも聞いてほしい、などの理由でしつけをするわけです。
 
ただ、文明社会にはたとえば自動車があって、子どもを自由に遊ばせておくことができません。しかし、これはもともとおとなの都合で子どもの生活圏にまで自動車を入れてしまったことで生じた問題です。ですから、子どもの行動を制限するのは、やむをえずすることで、おとなとしてはむしろ後ろめたい行為です。「子どもが悪いことをするから罰する」というようなことではありません。
 
「自動車の通るところでは遊ばない」というのはもちろん子ども自身のためです。ということは、成長すればおのずとわかることです。むりやりわからせることではありません。
 
虐待を「しつけのためにやった」と主張する人は、しつけは子どものためだと思っているのです。そのため、やればやるほどいいと思って、歯止めがなくなります。
 
しつけはおとなのためだと思っていれば、必要最小限にとどめようとしますし、しつけのために暴力をふるうこともありません。
 
ですから、「しつけのためにやった」と主張する人に反論するとすれば、「しつけは子どものためではなく自分のための行為ですよ」ということになります。
みんながこのことを理解していれば、虐待もなくなるはずです。

タックスヘイブンについてのパナマ文書が流出し、世界中が大騒ぎになっています。
しかし、日本ではあまり騒ぎになっていません。
こういう情報もあるのですが。
 
 
日本の大企業・富裕層はタックスヘイブンで世界第2位の巨額な税逃れ、庶民には消費税増税と社会保障削減
日本のデータはあまり新聞報道されませんが、最近、『しんぶん赤旗』(2013825日付)が報道したところによると、日本の大企業も例外ではなく、東証に上場している時価総額の上位50社のうち45社――つまり上位50社のほとんどが子会社をタックスヘイブンに持っており、子会社数は354にのぼり、その資本金の総額は8.7兆円にもなるということです。これは具体的に有価証券報告書を調べた結果の数字で、そのベスト5を見ると、みずほフィイナンシャルグループのタックスヘイブン子会社が45社でトップ。続いてソニーが34社、三井住友フィナンシャルグループが27社、三井物産27社、三菱商事24社となっていて、銀行や商社が多くなっています。特に三井住友フィナンシャルグループはケイマン諸島だけで18の子会社を持っていて、その資本金は3兆円にものぼっています。国が出資しているNTTやJTも多額の資産をタックスヘイブンに投じているという事実が明らかになっています。
 
 
日本で騒がれないのは、タックスヘイブンを使って税金逃れをすることは違法行為ではないということもあるでしょう。
日本のマスコミは警察や検察が動かないとなにも報道しないという習性があります(外国においても違法行為ではありませんが、道義的に非難されて騒ぎになっています)
 
それにしても、パナマ文書というのは情報量が半端ではありません。データ容量にして2.6テラバイト、ファイル数は1150万件ということです。
この文書が流出したモサック・フォンセカという法律事務所は、これまでに24万件以上のタックスヘイブンの法人設立代行をしてきたということですが、タックスヘイブンの法人設立代行をする法律事務所としては世界で4番目の規模だそうです。ということは世界全体でタックスヘイブンの利用者はたいへんな数になると想像されます。
 
日本に限らず多くの国は財政赤字に苦しんでいますが、各企業や金持ちが本来税金を納めるべきところで納めれば、財政赤字はかなり軽減されるはずです。
そういう観点からも日本ではもっと問題にされていいはずです。
 
 
日本では生活保護の不正受給が騒がれています。
不正受給の金額は、2010年の数字ですが、生活保護費総額3兆3296億円のうちの0.38%、128億円です。
金額が具体的に出ていますし、不正の具体的な手口もよく報道されますし、やっている人間も身近にいそうな人間です。
一方、タックスヘイブンのほうは、税金逃れの金額がいったいいくらになるのかわかりませんし、やっている人間は庶民とは縁遠い人間です。
やはり人間は具体的で身近なことに食いついてしまうものです。
 
人間は貧乏人であれ金持ちであれ、利己的にふるまい、悪いことをしがちなものですが、貧乏人のする悪いことより金持ちのする悪いことのほうがスケールが大きいのは当然です(同様に、庶民のする悪いことよりも権力者のする悪いことのほうがスケールが大きいのも当然です)。
生活保護費の不正受給というのは、世の中でもっとも小さな問題です。
ほんとうに騒ぐべきはタックスヘイブンの問題です。
 
 
日本でも具体的な人名などが報道されると、タックスヘイブンのことがもっと騒がれるはずです。
ところが、今のところ出てきた名前はアグネス・チャンさんぐらいです(本人は別人であるとして否定)
アグネス・チャンさんの名前が出てくるというところに、日本人はこの問題をまともにとらえていないのではないかということが感じられます。
 
結局、これはメディアの問題です。
データ量が多いので、多数の人間を動員して調べなければなりませんが、それができるのは大手新聞社かテレビのキー局ぐらいです。外国でもイギリスのガーディアン紙やドイツのSuddeutsche Zeitung紙が調べて火をつけました。
日本の新聞社やテレビ局も、警察や検察の後追いばかりせずに、気概を見せてほしいものです。

古舘伊知郎氏は報道ステーションの最後の出演において、「人間は少なからず偏っています。だから情熱を持って番組を作れば多少は偏るんです」と語りました。
放送法に「政治的に公平」とあることを盾に番組に圧力をかけてくる人たちを念頭に置いた言葉と思われます。
 
これに対して産経新聞がやたらかみついています。
たとえば4月3日の記事です。
 
報道スタンスに疑義 古舘氏らキャスター降板 「偏ってるんです、私」
 
バカバカしいので引用はしませんが、偏っているのはけしからんと言っている記事です。
古舘氏は「人間は少なからず偏っています」と言ったのですから、反論するとすれば、「人間は偏っていない」とか「偏っていない人間もいる」と主張しなければなりませんが、そういうことはなにも言っていません。
この記事を書いているのは三品貴志という記者ですが、自分は偏っていないと思っているのでしょうか。産経新聞か夕刊フジの記者ですから、絶対偏っていると思うのですが。
 
 
4月6日には八木秀次麗澤大学教授の文章が掲載されています。
 
【突破する日本】「偏った」放送を繰り返すテレビ局に電波を独占させる必要はない
 
八木氏は安倍首相のブレーンとされる人物です。首相の私的諮問機関である教育再生実行会議の委員という肩書があります。かつては「新しい歴史教科書をつくる会」の会長を務めていて、今はその流れをくむ日本教育再生機構の理事長です。
つまり思いっきり偏った人物です。
 
その八木氏が古舘氏の「人間は少なからず偏っています」という発言についてどう言っているかというと、やはりなにも言っていません。ただ古舘氏が偏っているのはけしからんと言っているだけです。
偏った人間が他人を偏っていると批判してもなんの意味もありません。そんな文章を読まされる読者もいい迷惑です。
 
古舘氏は一応、自分は偏った人間であるという自己認識を持っています。
八木氏は自己認識についていっさい語りません。すっぽりと抜け落ちているようです。
 
自己認識の欠如は、右翼の共通欠陥でしょうか。
 
高市総務相も、放送局が政治的な公平性を欠く放送を繰り返したと判断した場合は電波停止を命じる可能性があると言いましたが、自分が公平性を判断できる人間であるか否かについてはなにも言っていません。
 

「放送法遵守を求める視聴者の会」というのもテレビの報道の公平性を求めていますが、この会の事務局長の小川榮太郎氏は、「リテラ」によると、『約束の日安倍晋三試論』(幻冬舎)という“安倍礼賛本”を出版して、同書を700万円分、安倍事務所に“爆買い”してもらったということです。そういう人間が報道の公平性を求めるとは、どういう精神構造をしているのでしょうか(安倍首相サイドの指示で動いているだけかもしれませんが)

 
右翼というのは、領土問題でも歴史認識でも、つねに「自国のことは棚に上げて他国を批判する」という態度です。
 
古舘氏の「人間は少なからず偏っています」という言葉は、「自己認識の欠如」という右翼の欠陥をみごとにあぶりだしたようです。
 

米大統領選候補者のトランプ氏は繰り返し「どこかの国が日本を攻撃したら我々は助けなければならない。だが、我々が攻撃されても日本は助ける必要がない。それがよい協定だと思えるか」と発言し、日本に対して駐留経費の増額を要求すると主張しています。それが有権者に受けているようです。
 
安倍首相は安保関連法が施行された329日、「日米同盟の絆は強化された」と言って胸を張りましたが、どうもトンチンカンです。
そういう対米依存の姿勢がトランプ氏に足元を見られることにつながっていると思えるのですが。
 
トランプ氏とアメリカ政府の主流とは考えが違いますが、アメリカ政府も日本に思いやり予算の増額を要求してきました。自立しない国はそういう扱いを受けてしまいます。
 
トランプ氏は日本が駐留経費の増額に応じない場合は米軍を日本から撤退させると言い、日本の核武装を容認するかのような発言もしました。
 
それに対して日本では、ネットの書き込みでこそ「だったら核武装しようじゃないか」という声がありましたが、自民党内部や保守論壇からそういう声はまったく出ていません。
日本の保守や右翼はすっかり対米依存派に制圧されてしまったようです。
 
トランプ氏も日本のそういうところを見越して核武装容認発言をしたのかと思っていましたが、最近そうではないような気がしてきました。
というのは、トランプ氏はNATOについても同じようなことを言っているからです。
 
 
トランプ氏はNATO見直しを主張

CNNとのインタビューでは、北大西洋条約機構(NATO)への関与を見直すべきだとの主張を展開。同盟国を守るために米国ばかりが多額の費用を負担していると主張し、「NATOの構想が生まれた当時の世界とは違う」と述べた。
 
ロシアとの対立が続くウクライナについても、米国が同国の「面倒を見ている」のに対し、欧州諸国は十分な援助を提供していないと力説した。
 
インタビューの後半では、米国が縮小するべきなのはNATOでの役割ではなく拠出する費用だと説明したものの、「見直し」発言は欧州で波紋を呼びそうだ。
 
 
トランプ氏にとってはNATOも日米安保もたいして価値のないもののようです。
 
東西冷戦が終わったとき、NATOや日米安保は存在意義があるのかと言われ、日本では「日米安保の再定義」ということが議論になりました。しかし、いつのまにかその議論はなくなり、ロシアと中国と北朝鮮を“敵”とすることでなんとなくNATOと日米安保は延命してきました。
冷戦思考も継続しています。
 
しかし、トランプ氏には冷戦思考がないようなのです。
 
トランプ氏はプーチン大統領を高く評価しています。お互い独裁者気質だからかと思いましたが、そういうことでもなさそうです。
 
 
今度はトランプ氏がプーチン大統領を称賛
 
1219 AFP】ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領が、2016年米大統領選、共和党指名争いの候補の一人、ドナルド・トランプ(Donald Trump)氏を「才能ある」「傑出した」人物だと称賛した翌日の18日、今度はトランプ氏がプーチン大統領を「力強く、人気がある」と称賛した。
 
 トランプ氏は米ニュース専門局MSNBCの番組で「彼は力強い指導者であり、パワフルな指導者だと思う。彼は彼の国を象徴している」とプーチン大統領を評した。
 
 トランプ氏は「世間から優秀だと言われることはいつだっていいことだ。それがロシアを率いる人物であればなおさらだ」と述べた。
 
 番組司会者の一人が、プーチン氏は「ジャーナリストや政敵を殺害し、他国に侵攻している」とコメントすると、トランプ氏はこれをはねつけ、「彼は国を動かしており、この国で私たちが擁している人物とは違い、少なくとも彼は指導者だ。わが国でも人はたくさん殺していると思う。世界でも今、愚行は横行している。多くの殺害が行われている」と述べた。
 
 トランプ氏は、ジャーナリストや政敵の殺害について非難するかどうかは、3度質問されてようやく、「ああ、もちろん(非難はする)」と主張を改めた。(c)AFP
 
 
この記事でおもしろいのは、番組司会者がむりやりトランプ氏とプーチン大統領を敵対させようとしているところです。これこそが冷戦思考です(アメリカは政敵を殺害するような政権といくらでも友好関係を結んでいるのに、この司会者はそのことを無視してロシアだけを問題にしています)
しかし、トランプ氏はプーチン大統領やロシアと敵対する理由はないと考えています。
 
トランプ氏はまた、中国は貿易戦争の相手国と思っているかもしれませんが、実際の戦争の相手とは思っていません。ですから、日米安保の価値も認めないのでしょう。
 
こうした発想は、トランプ氏が実業家でかつ政治の素人だからできることです。プロの政治家は軍産複合体の影響下にあるので、いまだに冷戦思考で固まっています。
 
トランプ氏は移民差別発言などでずいぶんと非難されましたが、アメリカのエスタブリッシュメントがほんとうに非難したいのは、トランプ氏が冷戦思考から脱却しているところかもしれません。
 
日本のエスタブリッシュメントも冷戦思考で固まっているのはアメリカ以上かもしれません。
トランプ氏が日本のエスタブリッシュメントを揺るがす事態になるとおもしろそうです。

埼玉県朝霞市の女子中学生が2年間にわたり監禁されていた事件で、どうして女子中学生は逃げ出さなかったのかという議論が起きています。

これについて尾木ママが自身のブログで「テレビの関心ズレているのではないでしょうか!?」「なぜ積極的に逃げなかったのか!? 検証するかのような報道間違いじゃないでしょうか!?」とマスコミを批判しています。

確かに「なぜ逃げなかったのか」という問いは、どうしても被害少女を非難する意味合いを帯びてしまいます。
 
被害者を非難するのはおかしなことです。これではセカンドレイプと同じです。
 
とはいえ、少女を監禁していたのは寺内樺風容疑者1人です。寺内容疑者は普通に大学に通い、就活もしていました。アパートは壁の薄い、普通のアパートだったといいます。引っ越しもしています。寺内容疑者と少女が手をつないで外出していたという報道もあります。
 
どうして逃げなかったのかという疑問を持つのは当然ですし、マスコミはその疑問に応える必要があります。
とはいえ、被害少女を非難する形になるのは好ましくありません。
ジレンマです。
 
なぜこんなことになるかというと、マスコミが重要な問題を放置しているからです。
それは被害少女の家庭環境はどうだったのかという問題です。
 
寺内容疑者は少女の自宅前でフルネームで名前を呼び、「両親が離婚することになった。弁護士のところに行こう」と話しかけたそうです。ということは、両親は離婚が秒読みの段階にあったのかもしれません。
もしそうなら、少女にとって家庭環境はよいものではなかったでしょう。
 
寺内容疑者は少女に「お前は捨てられた」と言って、少女も少しそれを信じてしまったようです。しかし、パソコンで両親が自分を探しているというニュースを見て、「逃げ出す決意をした。両親と会いたい気持ちが高まった」ということです。
 
親子に信頼の絆があれば、「お前は捨てられた」という言葉を信じるわけがありません。
 
それに、少女の手紙に「習い事とか勉強が大変だったので休みたい」と書かれていたので、そういうこともあったかもしれません(この手紙は寺内容疑者に書かされたものですが)
 
一方、寺内容疑者はそれなりに少女にやさしかったのでしょう。
 
ですから、少女としては、家庭と寺内容疑者の部屋を比べたとき、寺内容疑者の部屋を選ぶことは合理的な行動であったのです。
そのように考えると一応説明がつきます。
 
しかし、いつまでも寺内容疑者のところにいても人生の先が見えません。そういうこともあって、家に帰ることにしたのでしょう。
 
 
以上のことは、ほとんど私の推測です。
 
マスコミは少女の家庭がどうであったかとか、夫婦仲はどうであったかとかはまったく報道しません。少女の家庭環境はブラックボックスになっています。
ですから、少女の行動が不合理に見えてしまうのです。
 
少女はなぜ逃げなかったかという検証をやめろと尾木ママは主張しますが、反対に、少女の置かれていた環境をすべて検証するというやり方もあります。こっちのほうがいいはずです。

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