村田基の逆転日記

親子関係から国際関係までを把握する統一理論がここに

2018年04月

4月27日、南北首脳会談が行われ、友好ムードが演出されました。テレビを見ていた韓国人には涙を流す人もいました。
果たしてこれから北朝鮮の核放棄などがうまくいくのかわかりませんが、友好ムードがあれば戦争は起こりにくくなるので、とりあえず歓迎したいと思います。
 
世界の首脳も歓迎しているはずですが、その中でいちばん歓迎していないのは安倍首相でしょう。
「圧力」一辺倒を唱えてきて、今は蚊帳の外です。
安倍首相は朝鮮半島の危機を利用することばかり考えてきて、そのツケが回ってきた格好です。
というか、そもそも安倍首相には平和を愛する気持ちがあったのでしょうか。
 
 
トランプ大統領も平和を愛する気持ちがあるのか疑わしい人間です。
この平和への流れを壊す人間がいるとすれば、それはトランプ大統領でしょう。
トランプ大統領は南北首脳会談の結果を歓迎していますが、予定される米朝首脳会談が決裂した場合、武力行使に踏み切るしかないという意向を日本側に伝えてきたという報道があります。
今、世界は平和か戦争かという分水嶺にあるのかもしれません。
 
とにかくトランプ大統領はなにをやるかわからない人間です。
米朝首脳会談を決めたのも唐突で、側近はみな驚いたと言われます。
しかし、自分を第一に考えている人間であることは間違いありません。
ですから、自分が世界から喝采を受けるとわかれば、大胆に平和のほうに動く可能性もあるはずです。
 
米朝会談を成功させればトランプ大統領にノーベル平和賞の可能性があるという声が出ています。
会談は成功しても、そのあとのプロセスにさまざまな困難がありますから、ノーベル平和賞は早すぎる気がしますが、トランプ大統領にとってノーベル平和賞は大きな魅力でしょう。
「ブタもおだてりゃ木に登る」という言葉がありますが、「トランプもおだてりゃ世界を平和にする」ということもあるはずです。
 
トランプ大統領はもともとプーチンと仲良くなりたがっていました。
それがロシアのアメリカ大統領選介入疑惑などで思うようにいっていません。
トランプ大統領が米ロ友好を実現させたら、それこそノーベル平和賞は確実です。
 
 
トランプ氏が米大統領になって1年余り、今ではその思考パターンがかなり読めるようになってきました。
フランスのマクロン大統領も読んだようです。
 
 
米のシリア撤退方針転換 仏大統領「自分が説得」
【パリ=竹田佳彦】化学兵器使用疑惑があるシリアに米英と軍事介入したフランスのマクロン大統領は十五日、攻撃後初めて仏メディアのインタビューに応じ、シリアから撤退方針を示していたトランプ米大統領が今月四日に撤回したことについて「自分が説得した」と主張した。 
 マクロン氏は仏BFMテレビのインタビューで「トランプ氏は『米国はシリアから撤退を考えている』と言った」と指摘。「われわれが駐留継続と、攻撃目標は化学兵器関連施設に限定すべきことも説得した」と述べた。
(後略)
 
 
朝鮮半島問題でも誰かがトランプ大統領を説得すればいいのです。
誰が説得すればいいのかと考えたとき、安倍首相が適任ではないかと思いつきました。
 
安倍首相は今、外交面ではどん底にあります。挽回するにはなにか思い切ったことをやらねばなりません。
トランプ大統領も安倍首相も、世界平和よりも自分第一という人間です。マイナスとマイナスをかければプラスになるように、二人が力を合わせて世界平和を実現する――というのはほとんど妄想でした。
実際には、安倍首相にそんな発想も実行力もあるわけありません。
 
ともかく、世界平和にとってもっとも危険なのはトランプ大統領です(金正恩氏は自国の安全保障を第一に考えているので、たいして危険ではありません)
トランプ大統領をこれからどう制御していくかが世界にとって最大の課題ですが、ノーベル平和賞を餌にすると案外うまくいくのではないでしょうか。

セクハラ疑惑の福田淳一財務次官の辞任が4月24日の閣議で了承されましたが、処分が後回しになったことについて麻生財務相は、「はめられて訴えられているんじゃないかとか、いろいろなご意見が世の中いっぱいある」と述べました。
 
セクハラ被害にあった女性記者の訴えは週刊新潮の記事で明白ですし、テレ朝も同調したことで客観性もあります。
一方、福田前次官の主張はあいまいです。最初は公開された音源の声が自分のものでないようなことを言っていましたし、のちには自分の声と認めたようですが(それもあいまいです)、「全体を見てほしい。全体を見ればセクハラに該当しないことがわかるはず」と言うだけです。その「全体」を自分で説明することはしないわけです。
 
両者の主張を比べれば、どちらが真実を言っているかは明白です。
麻生財務相がそれでも福田氏をかばうのは、身内意識もあるでしょうが、やはり性差別意識があるからです。「女が男を告発してやりこめる」ということが許せないのです。
 
 
テレ朝の対応にもいろいろ批判があります。
女性記者がセクハラ被害を訴えているのに配置転換などの対応をしなかったのは、テレ朝もまたセクハラ問題を軽視していたと批判されて当然です。
ただ、録音データなどを新潮社に渡さず、テレ朝が自社で報道するべきだったという批判は当たりません。
 
テレ朝が自社の社員がセクハラ被害にあったという報道をすれば、その報道の客観性が疑われます。「うちの社員はこう言っている」ということを根拠に福田次官や財務省を攻撃するわけですから、「攻撃するために社員に言わせているのだろう」という反応になって当然です。
 
週刊新潮が「うちの取材記者がセクハラ被害にあった」という記事を書いても同じです。報道の客観性が担保されません。
 
それに、これはもともと女性記者対官僚という個人と個人の問題ですから、テレビ局や大手新聞社は扱いにくいでしょう。週刊誌向きのネタです。
週刊誌が火をつけて、燃え上がったところで大手メディアが対応するというのは、妥当な展開だったのではないでしょうか。
 
 
なお、この問題がこれほど大ごとになったのは、福田氏の初動が間違っていたからです。
福田氏は週刊新潮の記事が出たらすぐに女性記者に対して「君がそんなに傷ついていたとは知らなかった。許してくれ」と泣いて謝罪し、世間に対してもそう述べればよかったのです。
しかし、性差別主義者というのは「女に謝ると死ぬ病」にかかっている人なので、謝れませんでした。
そして、麻生財務相も矢野康治官房長も同じ病にかかっていたので、ここまで大ごとになりました。
 
なお、慰安婦問題が大ごとになっているのも同じ構図です。
「女に謝ると死ぬ病」にかかっている人は慰安婦問題でも謝れません。
 
性差別主義者が国家の中枢にいると国益を損ないます。
 

音声を公開されてもセクハラを認めない福田淳一事務次官もあきれた人ですが、次の事務次官ともいわれる矢野康治官房長も「弁護士に名乗り出ることがそんなに苦痛なのか」と被害女性を傷つける発言をしています。
麻生太郎財務相も「週刊誌で報道されている内容が事実か定かではない」「相手側の声が入っていない。名乗り出ているんだから、本人の声を入れてもおかしくないんじゃないか」と、被害女性を引っ張り出そうとしています。
財務省ぐるみでセカンドレイプをしている格好です。
 
新潮社はセクハラの音源を公開しましたが、女性記者の声は消されて文字起こしになっていますし、いろんな場面をつなげている感じもあります。
 
 
【週刊新潮】“胸触っていい?”「財務省トップ」のセクハラ音声


 
福田次官「今日ね、今日ね……抱きしめていい?」
記者(だめです)
 
福田次官「じゃあ(旦那は)浮気しないタイプなの?」
 
福田次官「予算通ったら浮気するか」
 
福田次官「いやいや手を縛ってあげる」
 
福田次官「手を縛って良い?」
記者(そういうこと本当やめてください)
福田次官「手を縛ってあげる。胸触って良い?」
記者(だめですよ)
福田次官「手縛られて良い?」
 
 
いろんな場面からセクハラ発言の部分だけをピックアップして、つなぎ合わせた感じはします。
しかし、公開された音声はこれだけですが、週刊新潮の記事にはもっとたくさんの福田次官の言葉が載っています(「これからがうんこだから」とか)
それに、テレ朝の報道局長も記者への聞き取りと録音などを調べた結果、セクハラはあったと断言しました。
 
財務省としては、確かな証拠は公開された音源だけであり、その音源も編集されており、女性記者の声が消されているので、信用できないと主張したいようです。
 
しかし、どう編集されていようと、女性記者がなにを言っていようと、「抱きしめていい?」「浮気するか」「手を縛って良い?」「胸触って良い?」という言葉だけで十分にセクハラは成立しています。
この声が福田次官のものであれば、アウトです。
 
いや、そうでない可能性もないではありません。
それは女性記者が罠を仕掛けた場合です。
 
 
記者「福田さんは浮気とかしないんですか」
福田次官「しないよ」
記者「でも、願望はあるでしょう」
福田次官「まあねえ」
記者「今は忙しいからむりでしょうけど」
福田次官「予算通ったら浮気するか」
 
 
記者「私ね、縛られるのが好きなんです」
福田次官「えっ、そうなの」
記者「福田さんなら私のどこを縛りたいですか」
福田次官「俺はそんな趣味はないから」
記者「どうしても私が縛られたいって言ったら」
福田次官「いやいや手を縛ってあげる」
 
 
こういうやりとりをして、たくみに編集したという可能性はなくはありません。
しかし、実際にこのようなやりとりがあれば、福田次官は覚えているはずです。
それに、実際の録音を調べれば簡単にわかることです。
 
なお、福田次官は“言葉遊び”ということにこだわっていましたが、「手を縛って良い?」とか「胸触って良い?」とかの言葉が導かれるような“言葉遊び”は想像できませんでした。
 
公開された音源は編集されており、女性記者の言葉も消されているので、多少の疑いを容れる余地はあります。
しかし、具体的に考えてみれば、セクハラを否定するようなことはないのがわかります。
 
 矢野官房長や麻生財務相が女性記者に名乗り出ろといっているのは、セカンドレイプ以外のなにものでもありません。

4月18日、財務省の福田淳一事務次官が辞任を表明しましたが、自身のセクハラ行為についてはなお否定していますし、裁判をするとも言っています。
それでいて、公開された録音の声が自分のものかどうかという肝心のことについては、「よくわからない」ということです。
被害女性に名乗り出るように求めたり、報道各社に調査への協力を求めたりしたことについても、反省や謝罪の言葉はありません。
 
しかし、18日深夜にテレ朝が記者会見し、セクハラ被害にあっていたのはテレ朝社員であることを公表しましたから、福田次官が裁判に訴えることはもうむりでしょう。
 
どうやら福田次官は倫理観が根本的に壊れた人であるようです。
決裁文書の改ざんや佐川局長の虚偽答弁など、最近の財務省がむちゃくちゃになったのは、福田次官が主導していたからかとも思えます。
 
 
福田次官が辞任表明に追い込まれたのは、やはり世論の盛り上がりがあったからです。
森友や加計の問題でも世論が盛り上がれば、展開は変わってくるはずです。
 
たとえば佐川宣寿氏は証人喚問において、「刑事訴追のおそれがあるため答えは差し控えさせていただきます」を連発して証言拒否をしました。
憲法でも議院証言法でも黙秘権が認められているからと、これについてはほとんど批判されませんでした。
しかし、黙秘権があるからといって行使する必要はなく、あの状況で黙秘権を行使するのは道徳的に批判されるべきです。
 
「法律は最低限の道徳」という言葉があります。「法に触れなければなにをやってもいいのか」ともよく言われます。
早い話が、法律と道徳は別です。
 
佐川氏の証言拒否は、森友問題の解決を長引かせ、さらなる国政の停滞を招きます。自分個人が刑事訴追を免れるために国益を大きく損なっていいのかというと、だめに決まっています。
 
取調官は容疑者に黙秘権があることを告げますが、そのあとは「洗いざらい吐いちまえ」など容疑者を責め立てて自白に追い込もうとします。
国民も、佐川氏の黙秘権は認めつつ、証言拒否をする佐川氏を「嘘つき」「自分さえよければいいのか」「いさぎよく罪を認めろ」などと責め立てればいいのです。
 
佐川氏の証人喚問はすんだことですが、次は柳瀬唯夫元首相秘書官の参考人招致ないし証人喚問があるはずです。
佐川氏を批判することは、柳瀬氏への圧力になります。
 
愛媛県の職員は柳瀬氏に会ったと言っているのに、柳瀬氏が認めないのはおかしなことです。今の時点で、柳瀬氏に「嘘つき」という批判が殺到してもいいはずです。
安倍首相も「嘘つき」と言われることを異様にいやがっていますが、嘘を連発しているのですから、明らかに「嘘つき」です。
 
大阪地検特捜部は佐川氏に対する虚偽公文書作成罪での立件を見送ったという報道がありました。
法律で裁けないなら、道徳で裁くしかありません。

4月13日、米英仏はアサド政権の化学兵器使用を理由にシリアに対する攻撃を行いました。
トランプ大統領はホワイトハウスの演説で、「3カ国は残忍な蛮行に対する正義の力を行使した」と述べ、イギリスのメイ首相は首相官邸の記者会見で、「攻撃は、化学兵器が繰り返し使用される事態を食い止めるためで、法にも正義にもかなっていることだ」と述べました。
「正義の戦争」だというわけです。
 
もともと戦争は、領土、財宝、奴隷、植民地などを獲得する「利益」のために行われていましたが、二次大戦後は共産主義対反共主義という「イデオロギー」のために行われるようになり、冷戦後は「正義」のために行われるようになっています。
 
「正義」というのは悪と戦うことですから、相手を「悪」と規定すれば、それと戦う者は自動的に「正義」ということになります。
「テロ」や「人道への罪」などの悪がこれまで利用されてきましたが、今回は「化学兵器使用」でした。
しかし、これがひじょうにあやしくて、謀略のにおいがふんぷんです。
 
毒ガスの被害にあった人たちの映像がいくつも流されましたが、特派員などが入り込めない地域からの映像ですから、信用できません。
オランダのハーグに本部があるOPCW(化学兵器禁止機関)は調査チームの派遣を表明し、シリア政府も歓迎を表明していましたが、調査チームが派遣される前に英米仏は攻撃に踏み切りました。
 
それに、アメリカは最初塩素ガスが使われたと主張していましたが、14日になってサリンも使われたと主張するようになりました。
塩素ガスは、化学物質としてありふれたもので、致死性もそれほど高くありません。塩素ガスの使用だけで攻撃するのはバランスが取れないということで、サリンを持ち出したのではないでしょうか。
いずれにしても化学兵器使用の証拠が示されないのに攻撃が行われました。
 
攻撃といっても化学兵器関連施設などに限定されたもので、戦局を転換させるようなものではありません。
では、なんのための攻撃かということになります。
 
 
トランプ大統領は3月30日、オハイオ州の工場労働者を前にした演説で、「シリアから米軍を早急に撤退させる」と表明しました。
4月3日には国家安全保障会議(NSC)において米軍幹部にシリアからの米軍撤退を準備するよう指示し、単なる思いつきでないことが明らかになりました。
しかし、側近は撤退にこぞって反対し、当惑が広がっていると報道されました。
 
また、トランプ大統領は前からプーチン大統領に会いたがっていましたが、3月20日に周囲の反対を押し切ってプーチン大統領に再選を祝う電話をかけ、そのときの電話会談について「きわめて有意義だった。近く会談が実現するだろう」と述べました。
トランプ大統領は米朝会談も唐突に決断しましたから、プーチン大統領との会談もいつ決めてもおかしくありません。
 
そして4月7日の空爆で塩素ガスが使われたという報道があり、トランプ大統領は9日、シリアを「残忍で凶悪」と非難し、「48時間以内に重大な決断をする」と言いました。
そして、実際にシリア攻撃が行われ、当然シリア撤退は吹き飛んでしまいましたし、ロシアとの関係も悪化しました。
 
こうした流れを見れば、「アサド政権の化学兵器使用」はトランプ大統領を翻意させるための謀略だったとしか考えられません。
いや、化学兵器使用は実際にあったかもしれませんが、それを利用してトランプ大統領にシリア攻撃を決断させ、シリア撤退も米ロ首脳会談もつぶすという策略はあったでしょう。
ちなみに昨年4月にも、トランプ大統領は化学兵器使用を理由にシリアに59発のトマホークを撃ち込みました。トランプ大統領の反応は読めています。
 
トランプ大統領とプーチン大統領が会談してにこやかに握手したら、アメリカの戦略のもっとも根底的な部分が崩壊してしまいますから、アメリカのエスタブリッシュメントもここだけは譲れません。
 
いずれにしても、アメリカやイギリスが「正義」のために行動することはないので、その真の目的を考察すれば、こういう結論しかないと思われます。
 

4月11日の衆院集中審議における安倍首相は、引き延ばし、ごまかし、嘘のオンパレードでした。
往生際が悪いとはこのことでしょう。
報道によると、希望の党代表の玉木雄一郎議員に「嘘つき」と言われたとしてキレた場面もあったということです。
 
玉木議員が「嘘つき」という言葉を使うかなと疑問を感じて、YouTubeでその場面を確かめてみたら、やはり「嘘つき」とは言っていませんでした。

 
【モリカケ日報】安倍総理vs玉木0 玉木「安倍は嘘つきだ」安倍「証拠を出せ」

 
 
玉木議員が次の質問に移っているのに、安倍首相は玉木議員のその前の言葉を槍玉にあげて、こうまくしたてます。

 
答弁する前にですね、私に対して嘘つきということを明確におっしゃった。嘘つきと言う以上は、明確に私が嘘をついているという証拠を示していただかなければいけないと、こう思うわけでありまして。
私もですね、若い議員のときにいろんなことを言いましたが、嘘つき呼ばわりということは滅多にしませんでしたから、そのへんはわきまえていただきたい。
 
 
しかし、確かめてみると、玉木議員は「嘘つき」とは言っていません。
このように言っています。
 
 
愛媛県では知事がちゃんと会見をして、ここにあることは本物だと言っているんですよ。こういうことを事細かく、詳細に書かれている。つまり安倍総理の言っている答弁は嘘だということを示唆しているんですよ、これは。
(中略)
総理、こんなことをしてるとですね、内閣総理大臣自身を証人喚問に呼ばざるをえなくなりますよ。だって私ね、残念ですよ。こうやっているときに、私の目の前に座っている内閣総理大臣が、日本国の、嘘をついているかもしれないと思って質問するのは残念ですよ。
 
 
玉木議員が「嘘」という言葉を使ったのは、「答弁は嘘だということを示唆している」と「嘘をついているかもしれないと思って質問する」という部分だけです。
「嘘」と断定することは避けていますし、ましてや「嘘つき」という言葉は使っていません。
 
ちなみに「嘘をついた」と言って批判するのと、「嘘つきだ」と言って批判するのは全然違います。前者は行為を批判していますが、後者は人格攻撃です。
 
安倍首相は、頭の中で「嘘つき」という言葉を捏造して、人格攻撃をされたということで玉木議員を攻撃したのです。
 
さらに、「私が嘘をついているという証拠を示せ」と言っていますが、玉木議員は「首相案件」という言葉の書かれた愛媛県の文書(備忘録)をパネルとして示しており、まさに証拠を示しています。
 
もっとも安倍首相は、愛媛県職員などとは「記憶の限りでは会っていない」という柳瀬唯夫元首相秘書官を信頼して、愛媛県の文書は証拠とは認めません。
 
しかし、愛媛県の文書は農水省でも見つかったということです。農水省に受け入れられていたということは、内容がでたらめではないということです。
また、読売新聞によると、柳瀬首相秘書官との面会に出席した職員が読売新聞の取材に応じ、柳瀬氏が「首相案件」と発言したことを認めたということです。
こういう状況で柳瀬氏は「会っていない」という態度を貫くことができるでしょうか。
 
安倍首相が自分自身を「嘘つき」であると認める日は近いはずです。

森友学園に国有地が8億円近く値引きして売却された問題で、財務省の職員が学園側に対し「トラックを何千台も使ってごみを撤去したと言ってほしい」と口裏合わせを求めていたことをNHKがスクープしました。
財務省の太田充理財局長も4月9日の参院決算委員会でこのことを認めました。
いよいよ森友問題も最終段階に入ってきたようです。
 
ところで、太田理財局長が認めたとき、質問に立っていたのは西田昌司参議院議員です。西田議員が太田理財局長を「バカか!」と怒鳴るシーンがニュースで何度も流されました。
西田議員は自民党の議員です。自民党の議員が森友問題を追及しているのはおかしいなと思って調べてみたら、やはりそういうことではなく、逆に真相をごまかそうとしているのでした。
 
YouTubeで確認して、太田局長が謝罪したあとのやりとりを書き起こしてみました。
 
 
   西田昌司「バカかっ!」太田理財局長を叱責!201849

 
西田昌司参議院議員
バカか! ほんとに。なにを考えているんですか。
というかね、この問題の本質をますますわからなくするんですよ。
要するに今の問題はですよ、ゴミが新たに出てきて、そのゴミの処分をする代わりに値引きしてるわけですよ。処分するかどうかは森友学園側の判断でいいんですよ。だから、わざわざね、これだけの新しいゴミを処分しましたなんて論法を立てること自体ね、私はありえない話だと思うんですよ。
なんでそういうふうにやるかというのはね、要するに国会で言われて、なにかオタオタしてですね、さもほんとにたくさんのゴミが出たんですよと印象づけたいがためにですよ、そういう答弁をしたとしか考えられないじゃない。
(中略)
なんでそんなことが出てきたの。答えてください。
 
太田充理財局長
基本的に委員のご指摘の通りでございます。
要するに初動の時点において、今委員のおっしゃった通り、8億2000万というのは、要するに土地の適正な価値を評価して算出をする、あるいは提示をするということですが、要するに撤去をしたのかというふうな最初のころの議論があって、さも適切に撤去をしたというような、事実関係を十分に確認しないまま、そういうような答弁をしてしまって、適切にというのはいろんな意味を込めていたんだろうと思いますが、少なくとも間違って受け止められてもぜんぜんおかしくないような答弁をしてしまっているので、それをその、理財局の職員が、ある意味で整合性をとろうとして、そういうことをしてしまった。
財務局はついてきてないし、先方もついてきてないんですが、たいへん、たいへん恥ずかしく、たいへん申し訳ない。委員になにを言われても、そこはおっしゃる通りと、申し訳ありませんとしか申し上げようがないようなことでございます。
 
西田昌司参議院議員
いや、ほんとにあきれました。私もここまで国家公務員のモラルが落ちてるのかと思うとぞっとしますよ。
総理、この問題の本質はですね、もともとは総理またはご夫人がですね、口利きのような形で下げられたんじゃないかという話になってきて、大騒ぎになってましたよね。で、この前の佐川さんの証人喚問も含めてですね、そういう事実はないということははっきりしてきてるわけですよ。
 
 
西田議員はここまできても、払下げ価格は適正だったとして、安倍夫妻無実論を主張しています。
そのために「ありえない話」がありえたとしていますが、その理由は「国会で言われて、なにかオタオタして」ということですから、まるで説得力がありません。
 
太田理財局長も、「間違って受け止められてもおかしくないような答弁をしてしまっているので、理財局の職員が整合性をとろうとして、そういうことをしてしまった」と西田議員の主張に合わせていますが、整合性をとるなら誤解されるような答弁のほうを訂正すればいいので、これも説得力がありません。
 
しかも、「理財局の職員が整合性をとろうとして、そういうことをしてしまった」というわけですから、理財局の職員を悪者にしています。すでに理財局の職員が自殺しているのになんの反省もないようです。
 
西田議員と太田局長のこのやりとりは、あまりにもバカバカしいので、ニュース番組ではほとんど取り上げられていません。
しかし、このやりとりを見れば、安倍首相がまだ延命をはかろうとしていることがわかります。
 
NHKのスクープは大阪地検特捜部のリークによるものと思われます。ですから、口裏合わせ自体はごまかせないと思って認め、それが安倍首相に及ばないようにしようという作戦でしょう。
たとえば、理財局の職員が逮捕されても、安倍首相は関係ないという論法で逃げ切るつもりではないかと思われます。
大阪地検特捜部にも、安倍首相に影響が及ばないようにしろと圧力をかけているかもしれません。
 
しかし、西田議員は「ここまで国家公務員のモラルが落ちてるのかと思うとぞっとします」と言っています。検察官は国家公務員ですから、検察官の神経を逆なでしています。
どう考えても、安倍首相を守る論理は破たんしています。
 

ないとされていたイラク派遣自衛隊の日報が発見され、南スーダン日報問題に続いて、国民に嘘をついていたのかと批判されています。
しかし、シビリアンコントロールができていないという批判は的外れです。むしろシビリアンコントロールが利きすぎているというべきです。
 
イラクも南スーダンも、政権が危険な地域を危険でないと偽って派遣したので、日報に「戦闘」などと書いてあると政権の立場が悪くなります。自衛隊の一部か全部かわかりませんが、政権の意向を忖度して隠蔽したと思われます。
イラクや南スーダンへの自衛隊派遣は、自衛隊にとっても特別なことですから、その日報がどこかにまぎれてしまうなんていうことがあるはずありません。
そういう意味では、森友問題で交渉記録を全部廃棄したというのと同じです。
もしかすると、出てきた日報も改ざんされているかもしれません。
 
このように官僚が過剰に忖度するようになったのは、2014年に内閣人事局が設立され、官僚の幹部人事を政権が完全に支配するようになったためだといわれます。
 
もっとも、それに対して官僚主導よりも政治主導のほうがいいという反論もあります。
確かに官僚主導か政治主導かという二者択一なら政治主導のほうがいいはずです。政治家は選挙の洗礼を受けるからです。
 
しかし、いずれにしても、人事をする者は「公平」という原則を持たなければなりません。
ところが、自民党という政党は「公平」の原則からもっとも遠いところにある政党です。
地元への利益誘導、特定業種への補助金や税金控除、財界のための労働政策というのが自民党の政治です。先の名護市長選挙では与党寄りの候補が当選すると、とたんに米軍再編交付金の再開が表明されました。
「公平」とは真逆の「情実」の政治で、コネのある者、付け届けをした者のために政治が行われます。
 
自民党は昔から派閥の力が強い政党でした。派閥の論理も「公平」ではなく「情実」です。親分に忠誠を尽くす子分が出世します。派閥の親分が「カラスは白い」と言ったら、子分も「カラスは白い」と言わなければなりません。
これは封建時代に君主に臣下が忠誠を尽くしたのと同じです(社会党や共産党はまだ近代的なところがありました)
 
小選挙区制になって、自民党も党執行部の力が強くなり、派閥は衰退したといわれますが、派閥の論理はそのまま生き残って、自民党全体が巨大なひとつの派閥となったというのが実情です。
「安倍一強」とは、安倍総裁が「カラスは白い」と言ったら党の全員が「カラスは白い」という体制のことです。
 
そして、その政党が内閣人事局をつくって官僚を支配するようになったのです。

自民党式人事評価では、政権に批判的な者は干されます。
たとえば昨年6月、韓国・釜山の森本康敬総領事が更迭されましたが、その理由は、私的な会食の際に政府批判をしたからだということです。
 
そのため官僚は政権に過剰な忖度をするようになり、たとえばイラクや南スーダンの日報をそのまま公開したら自分は左遷されるのではないかと恐れた者がいたのでしょう。
 
 
たとえ上司と意見が違っていても実力のある部下を公平に評価する上司がいると、その組織は風通しがよくなり、みんなのびのびと働けるようになります。
しかし、自民党式人事評価では、官僚は国民のために働くのではなく、安倍政権に忠誠を示すために働くようになります。
いつのまにか日本は近代国家の仮面をかぶった封建主義国家になっていたのです。
これが安倍一強体制のいちばんの害悪ではないでしょうか。

公文書改ざん、公文書隠匿、虚偽答弁、データねつ造と、嘘とごまかしにまみれながら、安倍首相はなぜ今も首相を続けているのでしょうか。
自分や妻が森友の土地取引に関係していれば総理も議員も辞めると言ったはずです。
その発言を念のために確認しておきます。昨年2月17日の国会答弁です。
 
「私や妻がこの認可あるいは国有地払い下げに、もちろん事務所も含めて、一切関わってないということは明確にさせていただきたいと思います。もし関わっていたんであればですね、これはもう、私は総理大臣を辞めるということでありますから、これははっきりと申し上げたいと、このように思います」
「繰り返しになりますが、私や妻が関係していたということになれば、まさにこれはもう私は、それはもう間違いなく総理大臣も国会議員もやめるということははっきりと申し上げておきたい。全く関係ないということは申し上げておきたいと思います」
 
「私や妻が国有地払下げに関係していれば総理大臣も国会議員も辞める」と言っています。
 
しかし、改ざん前の決裁文書に安倍首相の名前が1回、昭恵夫人の名前が5回出ていたことがわかりました。
安倍首相は「書き換え前の文書を見ても、関わっていないのは明らか」と言っていますが、名前が出ているだけで関係しているのは明らかです。関係ないことは文書に書かないからです。
 
安倍首相の名前が出てくるのは、日本会議国会議員懇談会の副会長に安倍晋三総理が就任と書かれている部分です。籠池理事長が日本会議大阪に関与しているとして、この団体の説明として書かれています。そういう意味では、安倍首相の関係は間接的だということもできます。
しかし、昭恵夫人の場合は、名前が5回も出てくるのですから、関係していることは明らかです。
 
となれば、安倍首相は辞めなければなりません。
 
 
似たようなことは、昭恵夫人付きの政府職員、谷査恵子氏が土地取引条件の変更について財務省本省に問い合わせた結果をファックスで籠池氏に送り、その文面が表面化したときにも起こりました。
菅官房長官はこれは「ゼロ回答」だから問題ないと主張しました。
しかし、「ゼロ回答」でも「関係」していることは明らかです。
労働組合の賃上げ要求に経営側が「ゼロ回答」したからといって「団体交渉」はなかったと主張できないのと同じです。
しかも、結果的にほぼ「満額回答」になっているのです。
 
妻が「関係」したことは明らかなので、安倍首相は辞めなければなりません。
今も辞めないのは、野党など反安倍勢力の追及が甘すぎるからです。

 
もっとも、妻の行為の責任を夫がとるというのはおかしなものです。そのため追及が甘くなっているきらいはあります。
妻の行為を理由に首相が辞任すれば、悪い前例になります。
 
そもそもは、安倍首相が「妻が関係していれば私は辞める」と言ったのが間違いです。安倍首相は妻と夫は別人格であるという認識に欠けて、妻を所有物のように思っているのです。
 
ですから、野党は安倍首相に「昭恵夫人が関係していたからといって自分が首相を辞める必要はないのではないか。ほんとうに昭恵夫人が関係していただけで辞めるのか」と問いただすべきです。
それで「妻が関係しただけも自分は辞める」と言ったら、野党や反安倍勢力は遠慮せずに昭恵夫人の関与を理由に安倍首相に辞任を迫ることができます。

「夫と妻は別人格だから、妻の行為を理由に辞任するのはやめる」と言ったら、安倍首相を追及すればいいのです。
もともと安倍首相が“主犯”に違いないので、ターゲットが明白になります。

イギリスが始めたロシアの外交官追放は、報復の連鎖を呼んで、米欧側とロシアがそれぞれ150人以上の外交官を追放する見通しとなりました。これは冷戦終結後最悪の事態だということです。
外交官追放になんの意味があるのかよくわかりません。国際政治の古典芸能を見ている気分です。
 
そもそもの始まりは、イギリスのスパイであったロシア人のセルゲイ・スクリパリ氏がロシアで逮捕され、アメリカとのスパイ交換でアメリカに渡り、さらにイギリスに亡命したのですが、3月4日、娘さんとともに意識不明の重体となって倒れているのが発見されたことです。
重体となった原因がロシアで開発されたノヴィチョクという神経剤であったとしてイギリス政府はロシアの犯行と断定し、ロシアの外交官追放に踏み切ったわけです。
イギリスはアメリカやEUの国にも同調を呼びかけ、大ごとになりました。
 
ノヴィチョクが検出されたからといってロシア政府の犯行と決められるかという問題があります。ノヴィチョクは冷戦崩壊後外国に流出したともいわれますし、アメリカやイギリスはその化学組成がわかっているので、自分でつくることもできるはずです。
 
それに、被害にあったのはロシア人でイギリス人ではありません。
イギリス政府もスパイ活動においては暗殺もしているはずです(フィクションとはいえ007は殺しのライセンスを持っています)
また、被害にあった2人は今でも意識不明の重体です。ですから、暗殺事件ではなく暗殺未遂事件です。
 
どう考えても、この事件はそんな大ごとになることではありません。
では、なぜイギリス政府はこの事件を大ごとにしているかというと、やはり冷戦構造を維持するためでしょう。
 
ロシアは今では資本主義国で、国際共産主義運動をしているわけではないので、放っておくと冷戦構造はなくなって、NATOの存在理由もなくなってしまいます。
そうならないようにNATO諸国はいろいろな理由をつけてロシアを敵視するように努めてきました。
平昌五輪のときは、国ぐるみのドーピングを理由にロシアに国としての参加を認めませんでした。
 
鳩山由紀夫元首相は、6月にロシアでサッカーのワールドカップが開催されるので、それに合わせてやったのだという説をツイッターで述べています。
 
 
私自身は、トランプ大統領とプーチン大統領の会談を阻止するためだと思っています。
 
トランプ大統領は3月9日に突然米朝首脳会談を行うと発表し、世界を驚かせました。
トランプ大統領は前からプーチン大統領と会談したがっていましたから、米ロ首脳会談もやりかねません。
現に20日にはトランプ大統領はプーチン大統領に大統領選勝利の祝辞を送り、その際に会談の可能性についても協議したと発表しています。
 
アメリカとロシアが手を組めば、冷戦構造は崩壊してしまいます。これにはアメリカの共和党も民主党も反対で、そのために大統領選へのロシアの干渉を大ごとにしてきました。
イギリスも、冷戦構造があるからこそアメリカといちばん親しい国としてヨーロッパ諸国に対して優位に立てるので、米ロ首脳会談はなんとしても阻止したいはずです。
 
イギリスの要請に応えてロシア外交官の追放を表明した国は25か国になったそうです。
 
トランプ大統領は史上最低の米大統領ですが、プーチン大統領と仲良くやれそうなのは唯一いいところです。しかし、そのよさも封じられています。
 
日本もイギリスから外交官追放合戦に参加するように要請されているはずですが、そんな茶番劇に乗る必要はまったくありません。

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