11月21日、自民党は選挙公約を発表しました。そのタイトルが「日本を、取り戻す」です。このタイトルに違和感を覚える人は多いのではないでしょうか。
「日本を、取り戻す」ということは、今までは日本ではなかったのかということになります。自民党の認識としては、民主党政権下で日本はひどくなったということでしょうが、いくらひどくなっても日本は日本です。「日本を、取り戻す」という表現は、日本と日本人に対する侮辱です。
自民党としては、今度の選挙で「政権の座を取り戻す」という思いがあるのでしょうが、それを「日本を、取り戻す」と表現してしまうところに自民党の傲慢さが表れています。
民主党政権は素人っぽくて、つねにドタバタしていましたが、こういうのは向上していく余地がありますし、国民の声が届く可能性もあります。しかし、傲慢な者は権力の座にあぐらをかいて、国民の声を無視します。
自民党の公約については経済政策が注目されていますが、私は今の日本は官僚支配の国だと思っているので、自民党に政治主導をやるつもりがあるのかということに注目しました。しかし、ぜんぜんその気配はありません。
自民党の公約は、行政改革についてこう書いていますが、抽象的な表現でわけがわかりません。
305「真の行政改革」の推進
これからの時代にふさわしい行政の在り方を希求し、その実現に努めます。バラマキ政策の尻拭いのための財源の捻出や増税の言い訳の道具にしか過ぎない見せかけの「行政改革」は、むしろ行政をイビツにします。限られた人的・物的資源を最も効率的、機動的に活用し、行政機能や政策効果を向上させるという本来の目的に沿った行政改革を断行します。
また、政官の役割分担を明確にし、相互の信頼の上に立った本当の意味での政治主導を目指します。行政が民間の感覚や常識から遊離しないようにしっかり監督すると同時に、行政の能力を最大限に発揮させることも政治の責任です。
民主党政権は「事業仕分け」をやりましたが、あまり評判はよくありませんし、蓮舫さんなどが批判されています。やり方が中途半端だ、もっと徹底的にやれと批判するのはわかりますが、どうやら「事業仕分け」などするな、官僚様に任せておけという立場からの批判のほうが多いようです。
もちろんこうした世論はマスコミがつくりだしています。
ちなみに自民党の公約は、行政のむだについてこう書いています。
307ムダ撲滅の推進
政治や行政に対する国民の信頼を取り戻すため、政府の不要不急・無駄遣いを一掃すべく、あらゆる角度から制度や事業の意義や効果を不断に総点検し、歳出改革をゆるぎなく進めます。
ムダ撲滅などまったくやる気がなさそうですが、こうしたことを批判するマスコミは見かけません。
日本維新の会と太陽の党が合併しました。代表は石原慎太郎氏ですが、実態は日本維新の会が太陽の党を吸収合併したというべきでしょう。太陽の党は一時は減税日本との合流を決めましたが、維新の会の橋下徹氏に反対されて、すぐに合流は撤回されました。これを見ても維新の会主導であることがわかります。
ところが、維新の会と太陽の党の政策合意には、維新の会が主張してきた脱原発とTPP交渉参加が入っていません。もちろん合併する以上、ある程度は太陽の党に配慮する必要はあるでしょうが、脱原発は選挙の目玉政策にもなりうるものです。
どうして維新の会が脱原発とTPPで譲歩したかというと、もちろん両者がきわめて強い既得権益構造で固められているからです。
橋下氏は日本の強固な既得権益構造に、戦う前に敗北したようなものです。今年の夏、原発再稼働反対を主張したものの、結局再稼働を容認することになってしまった経験から、勝ち目がないと学んだのでしょう。
しかし、これでは日本維新の会の存在価値がありません。期待していた国民もがっかりでしょう。
3年余りの民主党政権を経て、元の木阿弥になってしまう。これが日本の政治であるようです。
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