
実質空母である護衛艦「いずも」
高市自民党が衆院で3分の2を越える議席を得て、なんでもやりたいことができる体制となりました。
しかし、うまくやっていけるでしょうか。
「責任ある積極財政」といっても、アベノミクスも積極財政でしたが、結局財政赤字が増大するだけでした。
日中関係の改善もできそうにありません(高市首相が「台湾有事は存立危機事態」発言を撤回すれば別ですが)。
日米関係は高市首相がトランプ大統領に迎合すればうまくいきますが、トランプ大統領は日本の防衛費をGDP比3.5%に引き上げることを求めてくるので、財政赤字がさらに増大します。
結局、スパイ防止法とか国旗損壊罪などの制定を目指し、反対派と戦うことで「やってる感」を出すことになるのではないでしょうか。
今、日本にとって必要なのは、失われた30年とか40年といわれる経済の停滞から抜け出すことです。
私はそのために教育改革が必要だということを「自民党教育が日本をだめにした」という記事で書きました。
しかし、教育改革がうまくいっても、結果が出るまでに少なくとも10年はかかります。
実はもっと即効性のある対策があります。
どこかの政党が公約に取り入れてくれないかと思いましたが、まったく実現しそうもないので、これまで書きませんでした。
しかし、今回の総選挙でリベラル勢力が壊滅状態になり、根本的な理念から考え直さなければならない状況になりました。
リベラルを立て直すのに私の説が参考になるかと思い、書くことにしました。
減税をするにしろ、給付金を支給するにしろ、成長分野に投資するにしろ、いつも財源が議論になります。
しかし、財源論議なしに決まる予算があります。防衛費です。
防衛費はGDP比1%以内にするということはほとんど国是のようにして長年守られてきましたが、2020年度に1%を突破し、2025年度には2%に達しました。あっという間に倍増したのです。
倍増させる必要があるのかという議論もありません。「わが国を取り巻く安全保障環境はきびしさを増している」という決まり文句があるだけです。
なぜ防衛費増額について議論がないかというと、増額はアメリカに要求されたからです。
冷戦終結後、日本はアメリカ依存をどんどん強めたので、アメリカの要求を断りにくくなっています。
今後、3.5%を要求されたときも、なかなか断れないでしょう。
防衛力は、日本が他国から侵略されたときのために用意されています。
侵略されなければまったくむだです(災害出動などもありますが)。
これは火災保険に似ています。万一のときの備えです。
日本は家計が苦しいのに、高額な地震保険に入っているみたいなものです。
家計を診断するファイナンシャルプランナーは「家計にむりのない範囲で保険料を設定しましょう」と言って、たいてい火災保険や生命保険の見直しを提言します。そこがいちばん削りやすいからです。
日本も財政が苦しいのですから、まず防衛費を削るべきです。
2020年度の防衛費は約5兆3133億円、文教及び科学振興費は約5兆5055億円と、ほぼ同額でした。
そこから日本は防衛費を倍増させたわけです。
財政難で経済が停滞する日本としてはありえないことです。
今からでも遅くないので、防衛費をもとに戻し、文教科学振興費を倍増させることです。
そうすれば経済成長に大きく貢献することは間違いありません。
いや、防衛費をもとに戻すだけではなく、そこからさらにへらすことも可能です。
国防の最大の目的は、日本が敵国に占領され、日本人が隷属させられるのを防ぐことです。
そのことと比べると、離島を防衛したり、海外の邦人を救出したりするのは小さいことです。
日本は島国であり、国土もけっこう広く、国土の7割が山地なので、占領するのは容易ではありません。
アフガニスタンも山地が多いので、タリバンは携行式ロケット砲と迫撃砲ぐらいの兵器しかありませんでしたが、ゲリラ戦によってアメリカを中心とする多国籍軍を撃退しました。
日本は地形が複雑で、木が茂って上空から発見しにくいので、ゲリラ戦をするには絶好の地形です。
ちなみに中国軍は台湾侵攻ができるかできないかという程度の戦力なので、日本を占領するなどとうていむりです。
相手国に「攻めてもむだだ」と思わせれば、それが抑止力になります。
今の防衛論議は、「敵基地攻撃能力を持てば抑止力になる」などとおかしなことを言っています。こちらが攻撃能力を持てば相手国は「攻められる前に攻めよう」と考える可能性があります。
グローバル・ファイヤーパワーによる世界の軍事力ランキングで日本は7位です。
島国の日本にとって、これはどう考えても“むだ戦力”です。
たとえば「いずも」と「かが」という護衛艦は実質的に空母です。空母はどこかに攻めていくときには有用ですが、国防にとってはあまり意味がありません。
戦車は、北海道以外の日本の地形に合わないのではないかと昔から言われています。
「日本版海兵隊」といわれる水陸機動団が2018年に編成され、現在は3000人規模になっていますが、これもどこかに攻めていくための部隊としか思えません。
湾岸戦争、アフガニスタン戦争、イラク戦争と、日本はつねにアメリカから自衛隊の参加を求められてきました。
安倍政権が2015年に安保法制を成立させたとき、安倍首相は朝鮮半島有事において避難する邦人が乗った米艦が攻撃されたとき自衛隊が助けるためにこの法制が必要だと説明しました。
高市首相は1月26日のテレビ朝日の番組で、台湾有事において邦人救出作戦を日米共同で実施した際に「米軍が攻撃を受けた時、日本が何もせずに逃げ帰れば日米同盟がつぶれる」と言いました。
どちらの場合も、自衛隊は国外で米軍とともに戦います。
これが自衛隊の主な目的になっています。
したがって、専守防衛に徹すればうんと安く上がります。
しかし、アメリカは日本が防衛費を削減することに反対します。日本が強行すると、日米関係は破綻し、安保条約廃棄、さらには日米が敵対する関係にもなるでしょう。
それを考えると、多くの日本人は思考停止に陥ります。心理的にアメリカに依存しているからです。
ですから、この案はまったく実現しそうにありません。
しかし、思考停止を乗り越えて考える必要があります。
日本がアメリカと対立したとき、日本には味方が必要です。
中国に接近して、米中の狭間で生きていくというのがひとつの方法です。
私は、世界はグローバルノース対グローバルサウスの対立になっているので、グローバルサウスに軸足を移すべきだということを「世界は東西ではなく南北に分かれている」という記事に書きました。
カナダのカーニー首相はダボス会議の演説において、大国の覇権主義的なふるまいに対して中堅国(ミドルパワー)は連携して対抗するべきだと述べました。
どのやり方にしても高度な外交力が必要です。
今後アメリカは日本に対して防衛費3.5%を要求してきます(5%という説もあります)。
高市首相はきっとみずから喜んでしたようにして要求を受け入れるでしょう。そのために「危機管理投資」という概念をつくって、防衛費を成長戦略の一環に組み入れています。
ここはリベラルの存在価値を示すチャンスです。
アメリカ依存からの脱却を準備しておかなければなりません。











