
高市早苗氏の公式Xより
高市早苗首相は10月27日から29日にかけて来日したトランプ大統領を「おもてなし」し、日米首脳会談をこなし、トランプ氏との親密さをアピールしました。
トランプ氏をもてなす高市首相の姿に日本の問題が集約されています。
日本はアメリカに対して防衛費増額の前倒しを表明し、80兆円の対米投資の具体策を示しました。
一方、日本がアメリカから得たものはなにもありません。
日米共同声明の発表もありませんでしたし、両首脳の共同記者会見もありません。
それでも少なからぬ日本人は、高市首相がトランプ氏との親密さを演出したことで“高市外交”は成功したと喜んでいます。
昔、中曾根康弘首相がレーガン大統領と“ロン・ヤス関係”を築いたということで日本人は大喜びしましたが、そのころとあまり変わっていません。
高市首相はトランプ氏とともに横須賀の米軍基地を訪問し、空母「ジョージ・ワシントン」においてスピーチをしました。
そのときトランプ氏の隣で飛びはねてはしゃぐ様子が賛否を呼びました。

高市首相はなぜ米軍基地へ行ったのでしょうか。トランプ氏が日本に来たのですから、トランプ氏とともに自衛隊基地に行くのが筋です。
空母に乘るにしても、日本にも「いずも」と「かが」という実質空母があるのですから、それに乘ればいいのです。
日本はこのところ急速に防衛力を増強したのですから、その成果をトランプ氏と世界に見せるいいチャンスでした。
日本の首相がアメリカ軍の空母に乘ってはいけないとはいいませんが、本来の姿ではありません。
改めて思ったのですが、日本人は保守派も含めて、自衛隊を「戦力」とは思っていないのではないでしょうか。
防衛費はGDP比1%だったのがもうすぐ2%になります。そうとう戦力は強化されているはずですが、そういうことはほとんど話題になりません。みんな関心がないようです。
戦争についてはアメリカにおんぶにだっこというのが日本人の意識です。
ともかく、高市首相のトランプ氏に対する態度は賛否を呼んでいます。
駐日ジョージア大使のティムラズ・レジャバ氏の説が『駐日ジョージア大使、高市首相めぐる「外交ではなく接待」の声にキッパリ「外交官の仕事は…」』という記事で紹介されていました。
作家の吉村萬壱氏が「高市氏のは外交ではなく接待だ」と高市首相を批判したのに対して、レジャバ氏は「私たち外交官の仕事は『接待』です」「机上でどんなに見栄えの良いオファーでも、限られた滞在時間において、来客の心を掴みそびれれば、全ては水の泡です」と述べて、高市首相を擁護しました。
この説は高市首相と欧州外交官を同列に見ています。高市首相を見下し、欧州外交官の優越感を示しています。
ところが、この説に賛同する日本人が多いというのに驚きます。
トランプ氏は自身のSNSに高市首相と腕組みして迎賓館内の階段を降りる写真を投稿しました。

トランプ氏の公式トゥルース·ソーシャルより
これがモノクロ写真であるのは、トランプ氏の投稿がそうなっているからです。
おそらくひと昔前の紳士淑女に見立てたものでしょう。
いずれにしてもトランプ氏の腕にすがるとは、独立国の首相の態度ではありません。
ところが、この高市首相の態度を擁護する人もいます。
テレビのコメンテーターでおなじみの中林美恵子早大教授の意見が『早大教授、高市早苗首相への評価めぐり「欧米メディアはネガティブなことは書いていない」と私見』という記事に紹介されていました。
中林教授はトランプ氏が投稿した写真について問われると、「日本人が見るあの(2人の)距離感と、欧米人が見る距離感は、全然違うと思う」と指摘。「しかも日本で初めての女性のトップということで、欧米メディアはけしてネガティブなことは書いていない。ポジティブ、ポジティブに、とにかく女性にはしっかりサポートしないといけない、というのがあちらの文化。そういう意味では、(欧米でも)いいリポートが当面は出ている」と解説し、高市首相の話題は、欧米でも好意的に報じられているとの見方を示したということです。
「女性にはしっかりサポートしないといけない」といいますが、国家のリーダー同士なのですから、そんなサポートは不要です。
それに、トランプ氏が高市首相をサポートしているのではなく、高市首相がトランプ氏にすがっているのです。
もしサポートが必要というなら、高市首相が79歳のトランプ氏をサポートするべきです。
中林教授の意見は、男性と女性、欧米人と日本人についての中林教授の偏見です。国家のリーダー同士についての正しい意見ではありません。
ひろゆき氏がXに投稿した意見は『ひろゆき氏、高市氏外交への一部批判の声うけ持論「学校で歴史の時間にやったはずなんだけどね」』という記事に紹介されました。
ひろゆき氏は「外交は、外交文化のマナーと様式を踏襲する事で、話してわかる文明国なのかを西洋が判断してきた歴史があります」と書き出し、「『日本人から見て違和感』だとしても、外交では『外国人から見て違和感』を減らすのが目的なのです」と述べ、「というのを、鹿鳴館を作った理由として学校で歴史の時間にやったはずなんだけどね」と続けました。
ひろゆき氏は鹿鳴館時代の価値観のままです。フランス在住という事情もあるのでしょうか。
確かに明治以降、日本は欧米を手本にしてきました。脱亜入欧論の福沢諭吉から進歩的知識人の丸山真男まで一貫しています。
とくに保守、右翼の欧米依存は深刻です。三島由紀夫あたりまでは右翼も欧米に対抗する意志がありましたが、今の保守、右翼は平均的日本人よりもさらに欧米依存です。
日本がG7で唯一非欧米の国であるのは、欧米に決して意見しない国と見なされたからですし、実際そうでした。中国やインドは日本以上の経済大国になってもG7には招かれません。
駐日ジョージア大使はもちろん、中林教授やひろゆき氏も欧米目線で日本を見ています。
しかし、最近はグローバルサウスの台頭で欧米中心の価値観が崩れようとしています。
日本は有利な立場にあるはずなのに、それを生かせていないのは残念です。
高市首相はトランプ氏に対して女性としてふるまいました。
まるでオペラ「蝶々夫人」の海軍士官ピンカートンに対する芸者の蝶々さんです。
これは欧米男性と日本人女性の関係のステレオタイプとして、世界的に理解しやすいものです。
しかし、日本の首相としてはあってはならないことです。
高市首相を支持したのは、鹿鳴館や「蝶々夫人」の時代の価値観、つまり性差別意識と欧米崇拝意識を持っている人たちです。
そういう人が日本の進歩を妨げています。












