
読売巨人軍の阿部慎之助監督が18歳の娘さんに暴力をふるい、警察に逮捕されたことで、監督を辞任しました。
警察の逮捕は行き過ぎではないかとか、阿部監督は辞任しなくてもいいのではないかという同情の声がけっこうあります。
阿部氏の監督復帰を求めるオンライン署名には10万を越える署名が集まったということです。
ところが、阿部監督の辞任会見を見ると、まったく反省した様子がありません。
反省しない人間を許すことができるでしょうか。
阿部監督は記者会見の冒頭でこのように語りました。
「私の家族のトラブルで多くのプロ野球ファンの方、プロ野球関係者の方、会社に多大なご心配とご迷惑をかけました。そして、伝統ある巨人軍の監督の名を汚してしまって、深く謝罪したい気持ちでいっぱいです」
いろいろな人へ謝罪していますが、娘さんに対しては謝罪していません。
阿部氏の行為のなにが悪いかといえば、娘さんに暴力をふるって、娘さんを傷つけたことです。
つまりこれは家庭内暴力、DVです。
ところが、阿部氏はそのことを「家族のトラブル」と表現しました。
DVと認めていないのです。
阿部氏は「謝罪」に続いて、このように語りました。
「あと、娘も高校三年生という年ごろな子ですので、どうか皆さま、暖かく見守っていただければ幸いです」
そして、代理人の弁護士が娘さんの手紙を読み上げました。
その手紙には「暴力に関しては、殴る蹴るなどといった事実はございませんでした」「父とはすでに仲直りしておりますゆえ、ご安心ください」という言葉がありました。
阿部氏は娘さんを盾に世の中の非難をかわそうとしたのです。
その作戦はうまくいって、世の中には「娘さんが許しているなら、これ以上追及するべきではない」という空気が生まれています。
このあと記者の質問がきっかけで、阿部氏が監督を辞任したということが明かされます。
そして、阿部氏は涙を流します。
この涙は自分が辞任することの悔しさからくる涙で、娘に対してすまなかったという涙ではありません。
それまでは「自分の娘に謝れるか」といった、DV男らしいふてぶてしい顔をしています。
阿部氏の表情については、実際の記者会見を見て判断してください。
阿部氏と娘さんの間になにがあったのでしょうか。
5月25日の夕方、阿部氏の自宅で姉妹が喧嘩し、阿部氏が「うるさい」などと言ったところ長女が言い返したために阿部氏はカッとなって、長女の襟をつかんで投げ倒した(胸を突いて押し倒したとも)というものです。
殴る蹴るでなくても、立派な暴力です。
長女の手紙には「ケガに対する心配などにつきましては、私の体が丈夫だったこともあり、心配はご無用ですので、ご安心ください」と書かれていて、もし体が丈夫でなかったらケガしていたかもしれない激しさだったことが暗示されています。
手紙には「父とのこのような大がかりな喧嘩というのは初めてのことであり、チャットGPTに相談した結果、匿名で相談できる児童相談所があるよという説明書きがなされ、それでお電話をさせていただきました」とあり、児童相談所が警察に通報し、駆けつけた警察に阿部氏が逮捕されたといういきさつです。
長女がチャットGPTに相談したことが問題視されています。
しかし、チャットGPTの対応は人間よりもまともです。もし長女が誰か人間に相談していたら、「あなたにも非があったんじゃないの」とか「お父さんは君のためを思ってやってくれたんだよ」などと言って、阿部氏の行為を正当化してしまうでしょう。
警察の逮捕は行き過ぎではないかという声もありますが、逮捕されたときの状況がわからないのですから、なんともいえないはずです。阿部氏の呼気からはアルコールが検出されました。警官に対する態度が悪かったのかもしれません。
長女の手紙は誰も批判しません。
混乱した状況で18歳の女子高生が書いたとは思えない冷静な文章です。これこそチャットGPTに相談して書いた文章ではないかと誰も指摘しないのは不思議です。
それはともかく、18歳の高校生は親の庇護がなくては生きていけない存在です。そんな人間が親を擁護したからといって、それを真に受けるわけにはいきません。
阿部氏や弁護士が長女に手紙を書かせて発表したのは大いに問題です。
単なる被害者だったのが、そのために世間からさまざまな非難を浴びる立場になったからです。
阿部氏は長女に暴力をふるったことをまったく反省していません。おそらく自分の行為が暴力とは思っていないのでしょう。
阿部氏は一応「謝罪」しましたが、「娘を傷つけた」とか「娘に申し訳ないことをした」という言葉はなく、なにについて謝罪したのかわかりません。
ところが、阿部氏がまったく反省していないということは誰も指摘していません。
巨人軍の監督がそれだけ権威だということもあるでしょうが、それよりも親によるDVを「体罰」や「しつけ」ととらえて正当化する考え方がまだまだ根強いのだと思われます。
「ただの親子喧嘩」ととらえる意見もありますが、阿部氏と娘さんではまったく体力が違うのですから、「喧嘩」と見なすことはできません。
ネットを見ていると、橋下徹氏、立川志らく氏、中畑清氏などが阿部氏を擁護する意見を述べています。
メディアも阿部氏の行為をDVと見なすことをためらっています。
DVをDVと認める世の中にならなければなりません。
なお、暴力的な子育てがなぜいけないのかについては、『てぃ先生 阿部監督騒動巡り“子育てのプロ”目線で新たな指摘 「これは響いた」「目から鱗」称賛の嵐』という記事が参考になります。



