
統一教会の活動の特徴のひとつは「正体を隠す」ことです。
自分は信者だと言わないし、所属する団体名も言わないで相手に接近し、セミナーに誘ったり集会に呼んだりして人間関係をつくってから、信者に勧誘します(こうしたやり方は「信教の自由」を侵害しているという判例もあります)。
いったん信者になると、マインドコントロールされてなかなか抜けられなくなり、多額の献金をしたり、詐欺的な活動に従事させられたりします。
統一教会が政治家に接近するときも「正体を隠す」ということをしているようです。
統一教会の人間がボランティアとして選挙運動の手伝いをしたいといって政治家の事務所に出入りし、さらには政治家の秘書になるという手口です。
もっとも、政治家事務所の人間が統一教会の人間を見抜けないわけがなく、「選挙活動に統一教会の人間が関わっていたかどうかわからない」などと言う政治家は信用できません。
それからもうひとつ、「教義を隠す」ということもあります。
統一教会は韓国人の文鮮明が創始したものなので、その教義はまったく韓国本位のものです。
教義によれば、韓国はアダム国で、日本はエバ国です。韓国がアダム国である理由は、神に選ばれた民族の国であり、メシア(文鮮明)の生まれた国であるからで、日本がエバ国である理由は、韓国を植民地にして人々を苦しめたからです。日本はまた、サタンの国でもあります。日本は罪をつぐなうために韓国と世界の統一教会に対してすべてを捧げなければならないとされます。
文鮮明は「エバ国家日本をアダム国家韓国の植民地にすること」「天皇を自分にひれ伏させること」などとも発言しています。
あからさまな反日教義です。布教のときにこれが隠されたのは当然です。
ただ、マスコミが報道してこなかったのは不思議です。霊感商法や合同結婚式がワイドショーで騒がれたときも、こうしたことは報道されませんでした。
ですから、反日教義のことを知らない政治家もいるでしょう。
そういう政治家が「統一教会が今も被害者を生むようなことをしているとは知らなかったので、統一教会と関係を持つのが悪いこととは思わなかった」と言い訳するのはわからないでもありません。
問題は、安倍晋三元首相や萩生田光一政調会長のように統一教会と深く関わってきた政治家が反日教義のことを知っていたのかどうかです。
反日教義を知りながら統一教会とつきあっていたとすれば、売国政治家と言われてもしかたありません。
ただ、いつ知ったのかという問題はあります。
最初は知らないでつきあって、ズブズブの関係になってから知って、そのときにはもう抜けられなくなっていた――とすれば、多少同情できなくもありません。
ところが、統一教会の反日教義は決して隠されていたわけではありませんでした。
1978年に共産党議員が国会で取り上げていました。
安倍元首相が賛意を示した旧統一教会の「仰天教義」保守系支持者らはなぜダンマリ?「私たちの友好団体が主催する行事に安倍元首相がメッセージなどを送られたことはございます。(統一教会教祖の)ハン・ハクチャ総裁が主導されている世界平和運動に対して、賛意を表明してくださっていた」安倍晋三元首相の銃撃事件を受け、11日に都内で会見を開いた「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)・日本教会会長の田中富広氏。殺人容疑で送検された山上徹也容疑者(41)の母親が教会員だと明らかにした上で、安倍元首相と旧統一教会の間につながりがあったことも認めた。安倍氏が教祖に「賛意」まで表明していた統一教会の教義とは一体、どういうものなのか。1978年6月1日の衆院地方行政委員会で、共産党議員が教義である「原理講論」や関連書籍など読み上げている。内容はこうだ。「韓国語の原本によりますと(略)こういうことが書いてあるのです。有史以来、全世界にわたって発達してきた宗教と科学、即ち、精神文明と物質文明とは韓国を中心として、みな一つの真理のもとに吸収融合され、神が望まれる理想世界のものとして結実しなければならないのである(略)人類の父母となられたイエスが韓国に再臨されることが事実であるならば、その方は間違いなく韓国語を使われるであろうから、韓国語はまさに祖国語となるであろう。したがってすべての民族はこの祖国語を使用せざるをえなくなるであろう。こう言っているのです」「男性韓国が、真理の国ということができるとすれば、女性日本は産業の国といえるのではなかろうか。深遠な真理をもって語りかけてくる男性に、女性は何をもって返答をするであろうか。婚姻の約束が成った後は、仲人を立て、調度品を将来の夫のもとに納める習いがあるではないか。日本は、二十年間の驚異的な産業の発展を有している。この産業・経済を男性韓国へ結納として収める歴史的必然性がある」(後略)https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/308325
このように国会でも議論されていたのですから、安倍元首相らが知らないはずはありません。
ということは、自民党と統一教会は祖父の岸信介の代からズブズブの関係で、安倍元首相らはそれを引き継いだのでしょう。
では、統一教会を日本に呼び込んだ岸信介は、そのときから統一教会の教義を知っていたのでしょうか。
統一教会が日本で宗教法人として認定されたのが1964年で、国際勝共連合が設立されたのが1968年です。
岸信介は統一教会の反共主義を利用したのだと言われます。
日本の右翼勢力は、神道系はありますが、キリスト教系はほとんどなく、統一教会は未開地に広がることができました。
それに既成右翼は過激なので、大衆運動ができません。左翼に対抗できる大衆運動ができるのは勝共連合だけでした。
ちなみに新安保法制が国会で議論されているころ、左派系の学生団体SEALDsが注目されましたが、それに対抗して結成されたUNITEは勝共連合の学生がつくったものです。
岸信介は統一教会を日本に引き入れる以上、公安からも情報を得ていたでしょうから、反日教義についても知っていた可能性があります。
既成右翼は自民党の言う通りには動いてくれませんが、統一教会や勝共連合は自民党の言う通りに動いてくれて、選挙運動もしてくれます。自民党にとってこれほどありがたい存在はありません。
そして、統一教会としては行き過ぎた布教活動や霊感商法などをしても警察は見逃してくれるという利益を得ました。
お互いに利益のある関係が築けて、そこにおいては反日教義のことなどどうでもいいことになりました。
その結果、日本の政界の真ん中に反日教義を持つ韓国系のカルト教団が居座ってしまったのです。
政界だけではありません。右翼論壇の中にも統一教会や勝共連合は重きをなしました。
そのため、統一教会の反日教義が明らかになった今でも、右翼論壇やネトウヨから統一教会を批判する声はまったく上がりません。
ここでもう一度、岸信介の時代に戻ると、「反共」という大義名分はあったにしても、反日教義を持つ外国の宗教団体と手を結ぶというのは、右翼や愛国者としてはもちろん、日本の政治家としてあってはならないことでした。
その結果、霊感商法や合同結婚式や高額献金の問題が起こりました。これらはみな反日教義が具現化して、日本人が韓国人に収奪されたものです。
そして、反日教義を持つ宗教団体とつながっていたことを理由に安倍元首相が日本人に銃撃されました。
やはり外国勢力は日本の政界から排除しなければなりません。
