STAP細胞を巡る騒動を見ていると、日本がどんどん劣化して、韓国並みの国になりつつあることを改めて感じます。
理化学研究所の小保方晴子ユニットリーダーによるSTAP細胞の論文に疑義が噴出して、大きな騒ぎになっています。ただ、今の段階ではSTAP細胞がつくれたことまで否定されてはいないようですが。
考えてみれば、最初から騒ぎすぎでした。確かにSTAP細胞がつくれたとすれば画期的なことのようですし、権威ある雑誌「ネイチャー」に論文が掲載されたことで、その論文の信頼性はかなり高くなりましたが、まだ論文が正しいと確認されていない段階で大騒ぎになってしまいました。
なぜそうなったかについてはいろいろな理由が挙げられます。
まず小保方晴子さんが30歳の“リケジョ”で、あまり科学者らしくないイメージの人であったたことで、マスコミが飛びついたということがあります。
それから、理化学研究所がみずからの存在価値をアピールするための広報戦略として、割烹着や研究室のピンクの壁などを演出したということがあったようです。
しかし、最大の理由は、小保方さんが日本人だったことでしょう。
つまりオリンピックで日本人が金メダルを取るとマスコミが騒ぐのと同じです。
もしこの論文がどこかアメリカの大学のアメリカ人が書いたものだったら、新聞の一面に載るかどうかもあやしいですし、一報はあっても、そのあと論文提出者のキャラクターなどを報道するということは絶対にないでしょう。
そもそも科学の成果というのは人類共通の財産であって、たとえばコペルニクスがポーランド人であることなどほとんど意味がありません。日本人にこだわるのはおかしなことです。
2012年、森口尚史という人がiPS細胞 を使って世界初の心筋移植手術を実施したと主張し、それを信じたマスコミが大々的に報道して大騒ぎになったことがありましたが、これなどいかにもあやしいにも関わらずマスコミが信じてしまいました。これも森口尚史という日本人だったからです。また、iPS細胞の発見者が日本人の山中伸弥教授であることももちろん関係しているでしょう。
つまり、日本人が科学的発見をしたとなると、マスコミはとたんに審査が甘くなり、大騒ぎしてしまうのです。
なぜそうなるかというと、日本人はこのところ自信を失って、自信を回復させてくれる情報に飢えているからでしょう。
これは“日本人の韓国人化”ととらえることができると思います。
もちろんこの表現は、週刊誌の嫌韓記事を読んで喜んでいる日本人に対するイヤミでもあります。
韓国では、当時ソウル大学獣医学部長であった黄禹錫(ファン・ウソク)がヒトの胚性幹細胞(ES細胞)の研究を世界に先駆け成功させたということでノーベル賞の有力候補として国民的英雄となっていましたが、2005年、論文の捏造発覚によりその権威は地に落ちました。これは日本でも大々的に報道されましたから、多くの人が知っているはずです。
今回の小保方さんの論文の騒動とひじょうに似ています。
韓国人は韓国人の科学的業績を無批判に信じてしまい、日本人は日本人の科学的業績を無批判に信じてしまう。似た者同士です。
いや、韓国はまだノーベル賞受賞者を出していない国ですから、日本が似ているとすれば、よほど日本が劣化したことになります。
慰安婦問題で日韓がやり合っているのも、同じレベルの国になったからに違いありません。
右傾化する日本がどんどん韓国に似ていくのは皮肉なことです。


