村田基の逆転日記

親子関係から国際関係までを把握する統一理論がここに

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統一教会の活動の特徴のひとつは「正体を隠す」ことです。

自分は信者だと言わないし、所属する団体名も言わないで相手に接近し、セミナーに誘ったり集会に呼んだりして人間関係をつくってから、信者に勧誘します(こうしたやり方は「信教の自由」を侵害しているという判例もあります)。
いったん信者になると、マインドコントロールされてなかなか抜けられなくなり、多額の献金をしたり、詐欺的な活動に従事させられたりします。

統一教会が政治家に接近するときも「正体を隠す」ということをしているようです。
統一教会の人間がボランティアとして選挙運動の手伝いをしたいといって政治家の事務所に出入りし、さらには政治家の秘書になるという手口です。
もっとも、政治家事務所の人間が統一教会の人間を見抜けないわけがなく、「選挙活動に統一教会の人間が関わっていたかどうかわからない」などと言う政治家は信用できません。


それからもうひとつ、「教義を隠す」ということもあります。

統一教会は韓国人の文鮮明が創始したものなので、その教義はまったく韓国本位のものです。
教義によれば、韓国はアダム国で、日本はエバ国です。韓国がアダム国である理由は、神に選ばれた民族の国であり、メシア(文鮮明)の生まれた国であるからで、日本がエバ国である理由は、韓国を植民地にして人々を苦しめたからです。日本はまた、サタンの国でもあります。日本は罪をつぐなうために韓国と世界の統一教会に対してすべてを捧げなければならないとされます。
文鮮明は「エバ国家日本をアダム国家韓国の植民地にすること」「天皇を自分にひれ伏させること」などとも発言しています。

あからさまな反日教義です。布教のときにこれが隠されたのは当然です。
ただ、マスコミが報道してこなかったのは不思議です。霊感商法や合同結婚式がワイドショーで騒がれたときも、こうしたことは報道されませんでした。

ですから、反日教義のことを知らない政治家もいるでしょう。
そういう政治家が「統一教会が今も被害者を生むようなことをしているとは知らなかったので、統一教会と関係を持つのが悪いこととは思わなかった」と言い訳するのはわからないでもありません。

問題は、安倍晋三元首相や萩生田光一政調会長のように統一教会と深く関わってきた政治家が反日教義のことを知っていたのかどうかです。
反日教義を知りながら統一教会とつきあっていたとすれば、売国政治家と言われてもしかたありません。

ただ、いつ知ったのかという問題はあります。
最初は知らないでつきあって、ズブズブの関係になってから知って、そのときにはもう抜けられなくなっていた――とすれば、多少同情できなくもありません。


ところが、統一教会の反日教義は決して隠されていたわけではありませんでした。
1978年に共産党議員が国会で取り上げていました。

安倍元首相が賛意を示した旧統一教会の「仰天教義」保守系支持者らはなぜダンマリ?
「私たちの友好団体が主催する行事に安倍元首相がメッセージなどを送られたことはございます。(統一教会教祖の)ハン・ハクチャ総裁が主導されている世界平和運動に対して、賛意を表明してくださっていた」

 安倍晋三元首相の銃撃事件を受け、11日に都内で会見を開いた「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)・日本教会会長の田中富広氏。殺人容疑で送検された山上徹也容疑者(41)の母親が教会員だと明らかにした上で、安倍元首相と旧統一教会の間につながりがあったことも認めた。

 安倍氏が教祖に「賛意」まで表明していた統一教会の教義とは一体、どういうものなのか。

 1978年6月1日の衆院地方行政委員会で、共産党議員が教義である「原理講論」や関連書籍など読み上げている。内容はこうだ。

「韓国語の原本によりますと(略)こういうことが書いてあるのです。有史以来、全世界にわたって発達してきた宗教と科学、即ち、精神文明と物質文明とは韓国を中心として、みな一つの真理のもとに吸収融合され、神が望まれる理想世界のものとして結実しなければならないのである(略)人類の父母となられたイエスが韓国に再臨されることが事実であるならば、その方は間違いなく韓国語を使われるであろうから、韓国語はまさに祖国語となるであろう。したがってすべての民族はこの祖国語を使用せざるをえなくなるであろう。こう言っているのです」
「男性韓国が、真理の国ということができるとすれば、女性日本は産業の国といえるのではなかろうか。深遠な真理をもって語りかけてくる男性に、女性は何をもって返答をするであろうか。婚姻の約束が成った後は、仲人を立て、調度品を将来の夫のもとに納める習いがあるではないか。日本は、二十年間の驚異的な産業の発展を有している。この産業・経済を男性韓国へ結納として収める歴史的必然性がある」
(後略)
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/308325

このように国会でも議論されていたのですから、安倍元首相らが知らないはずはありません。
ということは、自民党と統一教会は祖父の岸信介の代からズブズブの関係で、安倍元首相らはそれを引き継いだのでしょう。


では、統一教会を日本に呼び込んだ岸信介は、そのときから統一教会の教義を知っていたのでしょうか。
統一教会が日本で宗教法人として認定されたのが1964年で、国際勝共連合が設立されたのが1968年です。
岸信介は統一教会の反共主義を利用したのだと言われます。
日本の右翼勢力は、神道系はありますが、キリスト教系はほとんどなく、統一教会は未開地に広がることができました。
それに既成右翼は過激なので、大衆運動ができません。左翼に対抗できる大衆運動ができるのは勝共連合だけでした。
ちなみに新安保法制が国会で議論されているころ、左派系の学生団体SEALDsが注目されましたが、それに対抗して結成されたUNITEは勝共連合の学生がつくったものです。

岸信介は統一教会を日本に引き入れる以上、公安からも情報を得ていたでしょうから、反日教義についても知っていた可能性があります。

既成右翼は自民党の言う通りには動いてくれませんが、統一教会や勝共連合は自民党の言う通りに動いてくれて、選挙運動もしてくれます。自民党にとってこれほどありがたい存在はありません。
そして、統一教会としては行き過ぎた布教活動や霊感商法などをしても警察は見逃してくれるという利益を得ました。
お互いに利益のある関係が築けて、そこにおいては反日教義のことなどどうでもいいことになりました。


その結果、日本の政界の真ん中に反日教義を持つ韓国系のカルト教団が居座ってしまったのです。

政界だけではありません。右翼論壇の中にも統一教会や勝共連合は重きをなしました。
そのため、統一教会の反日教義が明らかになった今でも、右翼論壇やネトウヨから統一教会を批判する声はまったく上がりません。


ここでもう一度、岸信介の時代に戻ると、「反共」という大義名分はあったにしても、反日教義を持つ外国の宗教団体と手を結ぶというのは、右翼や愛国者としてはもちろん、日本の政治家としてあってはならないことでした。
その結果、霊感商法や合同結婚式や高額献金の問題が起こりました。これらはみな反日教義が具現化して、日本人が韓国人に収奪されたものです。
そして、反日教義を持つ宗教団体とつながっていたことを理由に安倍元首相が日本人に銃撃されました。

やはり外国勢力は日本の政界から排除しなければなりません。

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FBIは8月6日、トランプ前大統領の別荘をスパイ防止法違反の疑いで家宅捜索し、国家機密文書を押収しました。
普通はFBIから捜査されるだけでその人物はイメージダウンするものですが、トランプ氏は別です。トランプ信者たちは逆にFBIへの憎悪を高めているようです。

アメリカ大統領選挙では、候補者は納税記録を自発的に公表する慣例がありますが、トランプ氏は公表しませんでした(今にいたるも公表していません)。アメリカ人は税金の不正にはきびしいといわれますが、トランプ氏の場合は、このことがほとんどマイナスになりませんでした。
また、トランプ氏は明らかな嘘を数限りなくつきました。ワシントン・ポストによると、大統領在任中の4年間に3万573回の虚偽や誤解を与える主張をしていたそうです。
しかし、いくら嘘をついてもほとんど問題にされませんし、「選挙は盗まれた」という嘘は多くのトランプ支持者が信じました。

どうしてこのようなことが起こるのかというと、トランプ氏の特異なキャラクターに魅せられる人が多いからです。
特異なキャラクターというのは、一言でいえば「カリスマ性」です。
トランプ氏はカリスマ政治家です。

ところが、「トランプ氏はカリスマだ」ということはあまり言われません。
反トランプ派はトランプ氏を愚劣な人間と見なしているので、カリスマとは認めませんし、トランプ派は、自分は理性的な判断でトランプ氏を支持していると思いたいので、やはりカリスマとは認めないのです。
しかし、今やトランプ氏は共和党をほとんど支配し、次期大統領選に立候補するのが確実であり、超法規的存在となっていることを見れば、カリスマであることは明らかです。


トランプ氏のカリスマ性に魅了される人は日本にもいます。
日本で反ワクチンデモを行っている「神真都(やまと)Q」という団体は、トランプ氏を支持するアメリカの陰謀論集団「Qアノン」の日本支部を自称し、地方に土地や建物を購入して共同生活のコミューンをつくる「エデン計画」を進めていて、そこにトランプ氏の銅像を建てるプランもあったということです(『Qアノン支部を自称する「神真都Q」 ワクチン会場“襲撃”で13人逮捕後、離脱者が続出(藤倉善郎)』という記事による)。

「神真都Q」もカルトというべきでしょう。
トランプ氏というカリスマを勝手に崇拝するカルトです。

アメリカの「Qアノン」も、「アメリカは悪魔崇拝主義者と幼児性愛者の集団であるディープ・ステートに支配されており、トランプ氏はディープ・ステートと戦う英雄である」という基本認識なので、トランプ氏を崇拝するカルトといえます。

2020年末、トランプ氏が「選挙は盗まれた」と主張していたころ、日本でも同じ主張をする人たちがいて(ヤフコメに異常に多かった)、トランプ支持デモまでしていました。

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2021年1月17日の福岡のデモに登場した“トランプみこし”(「水木しげるZZ」のツイートより)

彼らは、ドイツで投票機のサーバー押収をめぐって米軍特殊部隊とCIAが銃撃戦を演じて5人死亡したとか、オバマ前大統領が逮捕されたといったデマを互いに言い合って盛り上がっていました。
彼らはどこからこうしたデマ情報を得ているのかと調べると、主に統一教会系「ワシントン・タイムズ」と法輪功系「大紀元(EPOC TIMES)」からであるようです。
法輪功は中国のカルトで、中国を追い出されてアメリカを活動拠点にしています。
また、日本のトランプ支持デモには幸福の科学の人たちも入っていたようです。

つまりトランプ氏のもとには、磁石に引きつけられるようにさまざまなカルトが集まっているのです。
また、カルトとはいいませんが、トランプ氏を支持する中心勢力はキリスト教福音派です。


安倍元首相もトランプ氏ほどではありませんが、カリスマ性がありました。長期にわたって人気を維持し、モリカケ桜のスキャンダルも嘘をつき通してごまかしました。首相辞任後にまた復活しそうなところも似ていました。
そして、安倍元首相のもとには統一教会、日本会議というカルトが集まっていました。


安倍氏の支持者はトランプ氏の支持者でもありました。
2019年5月、トランプ大統領が国賓として来日したとき、大相撲を観戦して退席する際、近くの升席にいた作家の門田隆将氏、評論家の金美齢氏、ジャーナリストの櫻井よしこ氏と握手するシーンがテレビに映し出され、安倍首相のお友だちだから優遇してもらったと批判されました。それに対して門田氏はブログで、升席は自費で確保したもので、お世話になっている金美齢氏と櫻井よしこ氏を招待しただけだ。トランプ氏が退席する際、思わず「Mr.President!」と声をかけたら、トランプ氏が近づいてきて握手してくれたのだと反論しました。
しかし、SPのついている大統領が一般人と握手するはずがなく、あらかじめ話がついていたに決まっています。
日本の保守派文化人はそこまでしてトランプ氏と握手したかったのです。まるでアイドルと握手したいファンみたいです。



さて、現在日本の政界は、統一教会と自民党との関係が大きな問題となっています。
統一教会は文鮮明・韓鶴子夫妻をカリスマとするカルトです(文鮮明は2012年死亡)。

カリスマとカルトというジグソーパズルのピースがかなりそろいました。これでどういう絵が描けるでしょうか。

トランプ氏や安倍氏やさまざまなカルトの政治思想は共通しています。
家父長制の家族制度を維持することを根幹として、人種差別、LGBTQ差別、移民排斥、タカ派の外交軍事政策、低福祉政策、環境問題軽視などです(アメリカの中絶禁止、日本の夫婦別姓反対など国による違いも少しあります)。
それに、カリスマ性というのは人間的なものなので、国境を超えて人を引きつけます。
ですから、日本の保守派がトランプ氏を崇拝するということも普通に起こります。

そのように考えると、自民党の統一教会に対する態度が理解できます。
自民党の安倍派などの保守派は、統一教会と思想が同じです。
さらに、長年のつきあいで韓鶴子総裁にカリスマ性を感じて、「真のお母さま」「マザームーン」という認識の議員もいるようです。
そうなると、統一教会との関係を清算しますと言わないのは当然です。

保守派の論客も同じです。
統一教会を擁護する人はさすがにいませんが、統一教会への批判をそらすために、「信教の自由」とか「カルトの定義」とか「山上容疑者の思うつぼ」とかさまざまな理屈を駆使しています。

日本の保守派が韓国の教団を擁護するのはおかしな感じがしますが、統一教会は日本でもアメリカでも、さらには国連でも運動をしているので、国際共産主義運動ならぬ「国際保守主義運動」みたいになっています。

それに対して統一教会を批判するのはリベラルな人が多いはずですが、「日本人の献金を吸い上げて韓国に持っていっているのはけしからん」とナショナリスティックな主張をしています。
保守派は韓国の教団を擁護し、リベラルはナショナリスティックな主張をすると、妙なねじれ現象が起きています。

とはいえ、保守派の本質は国家主義ですし、嫌韓が最大の主張ですから、統一教会に対する態度は明らかな矛盾です。
統一教会の問題は、追及すればするほど保守派の矛盾が露呈します。


保守派は統一教会との関係を切るしかありませんが、おそらくそう簡単には切れないでしょう。
統一教会との関係を切ったところで、日本会議に連なる宗教団体もありますし、とりわけ靖国神社もあります。自民党右派はこれらと思想でつながっているので、離れられません。
アメリカの共和党が福音派などの宗教右派と離れられないのと同じです。


そういうことを考えると、これからも政治と宗教の問題は続いていくでしょう。
そして、この問題の最終的解決は政治と宗教を切り離すことしかありません。
宗教は不合理で超現実的なものですが、政治は合理的で現実的なものでなければならないからです。

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統一教会と自民党のずぶずぶの関係に対して国民の怒りの声がわき上がっていますが、この問題を追及するメディアと追及しないメディアとがはっきり分かれています。

テレビでは、日本テレビとTBSが熱心に追及していますが、NHK、フジテレビ、テレビ朝日はまったくといっていいほど統一教会問題を取り上げません。
週刊誌はどこも熱心に追及していますが、新聞はどこも不熱心です。

どうしてこういう違いが出るのかというと、安倍長期政権の呪縛にいまだにとらわれたメディアがある一方、呪縛から逃れたメディアが出てきたからです。


第二次安倍政権は、長く続くうちに政権を安定させるシステムを構築しました。
早い話がマスコミと警察、検察をコントロールできる体制をつくったのです。

テレビ局は、放送法に「政治的に公平であること」という規定があるので、もともと政府がコントロールしやすく、菅義偉前首相や高市早苗自民党政調会長がテレビ局を脅すのを得意としていたので、ほぼ政権批判を封じ込めました。
新聞は、もとからたいした政権批判はしていませんでしたが、2019年10月の消費税増税のときに新聞業界は軽減税率適用の恩恵を受けたので、さらに政権批判ができなくなりました。政権はいつでも「軽減税率の適用をやめるぞ」と脅すことができるからです。
新聞は論説などで政権批判はしますが、政権の痛いところはつきません。
政権の痛いところをつけるのは、「週刊文春」と「しんぶん赤旗」ぐらいです。

そして、安倍政権は警察と検察もコントロールすることに成功しました。
伊藤詩織さんをレイプした山口敬之氏に逮捕状が発行されたとき、警視庁の中村格刑事部長が逮捕直前に逮捕をやめさせたのが典型的な例です。山口氏は『総理』という安倍ヨイショ本を書いて安倍首相とべったりでした。この経緯は週刊誌が書きましたが、中村刑事部長は出世して、現在は警察庁長官です。つまり安倍政権は政権の言いなりになる警察官僚を引き立ててきたのです。
モリカケ桜では警察も検察も動きませんでした(籠池夫妻だけが逮捕、起訴されました)。
ですから、安倍首相は野党からいくら追及されても、見え見えの嘘をつき続けることで逃げきれたのです(野党も世論を喚起するような追及ができなかったという問題があります)。

独裁政権は必ずマスコミ、警察、検察、裁判所をコントロールしています。プーチン政権や習近平政権を見ればわかります。
安倍政権も独裁政権と同じシステムを構築したわけです。
ほんとうの独裁政権は、政敵を逮捕、投獄しますが、安倍政権はそこまでやらないので、ソフト独裁システムというところです。

このソフト独裁システムはきわめて有効だったので、安倍政権はどこまでも続きそうでしたが、コロナウイルスと安倍首相の大腸には有効でなかったので、安倍政権は崩壊しました。


安倍政権から菅政権に代わっても、政権がマスコミ、警察、検察をコントロールするシステムはそのままでした。安倍政権下で菅官房長官と安倍首相は一心同体でしたから、当然です。

菅政権は日本学術会議の6人の会員を任命拒否し、問題となりましたが、この6人は政権批判をしていた人たちです。人事権を行使することで政権批判の学者を黙らせようとしたわけです。ただ、このやり方は官僚には有効ですが、学者にはあまり効かないので、こじれました。



問題は、岸田政権になってどう変わったかです。
岸田首相はリベラルですから、独裁政権みたいなことはしたくないかもしれません。
しかし、マスコミ、警察、検察をコントロールするシステムがあるなら、そのまま使いたいと思っても不思議ではありません。
今のところ岸田首相がどうするつものなのか、よくわからないという状況です。

それに、安倍政権がつくり上げた独裁システムは、安倍元首相が亡くなった今も機能するのかという問題があります。
安倍元首相は首相の座を去るとすぐに元気を取り戻し、その発言は影響力を持ちました。いずれ第三次安倍政権ができるかもしれないという空気もありました。そういう状況では独裁システムは機能していたでしょう。
しかし、安倍元首相が亡くなると、カリスマ性も求心力もなくなりました。
官僚に対しては慣例にない左遷人事を行って恐怖支配をし、マスコミに対しては報復をにおわせて恫喝をするということが独裁システムの基本ですが、それを行える非情な人間がいるのかという問題があります(菅前首相は行えますが、カリスマ性がありません)。

ですから、今は独裁システムが機能しているのか機能していないのかわからなくて、みんな手探りしている状況です。


日本テレビの「ミヤネ屋」は大阪の読売テレビが制作していて、TBSの「ゴゴスマ」は名古屋のCBCテレビが制作しています。政権の圧力がかかりにくいということがあるかもしれません。
「モーニングショー」はテレビ朝日の制作です。最初のころは積極的に統一教会問題を取り上げていましたが、あるときに政権から圧力がかかって、それからまったく取り上げなくなったと言われています。
日本テレビとTBSは、「ミヤネ屋」と「ゴゴスマ」を先頭に押し立てて、今ではニュース番組全般で統一教会問題を積極的に取り上げています。
独裁システムに確実にほころびが見えてきました。


この背景にはネットの論調の変化もあると思われます。
これまではネットではネトウヨがかなりの力を持っていました。
ところが、統一教会は「韓国はアダム国、日本はエバ国」などというとんでもない反日教義を有する韓国の宗教なのに、ネトウヨは統一教会をまったく批判しません。これによってネトウヨは愛国者でないことがバレバレになって、その主張にまったく力がなくなりました。
安倍元首相殺害以降、ネトウヨが存在感を示したのは、朝日新聞が国葬批判の川柳を多数掲載したことに抗議したときくらいです。
ネトウヨに限らず産経新聞や右翼雑誌に寄稿しているような保守論客も統一教会批判をほとんどしていないので、信用を失っています。
日本テレビとTBSが統一教会問題を積極的に取り上げているのも、ネットの後押しがあるからでしょう。


今後、安倍政権時代に築かれた独裁システムがどうなるかが最重要問題です。
岸田首相がカギを握っていますが、今のところ態度がはっきりしません。おそらく統一教会問題が騒がれることで清和会(安倍派)が弱体化することを期待して、静観しているのでしょう。
中村格警察庁長官は、安倍元首相殺害事件を防げなかった責任をとって辞任する見通しと報じられています。
岸田首相が独裁システムを使う気がなければ、独裁システムは解体され、日本の政治は正常化されます。
岸田首相を動かすようなネットの世論が必要です。

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統一教会は1994年に名称を「世界平和統一家庭連合」に変えました。
この名称変更自体にも問題がありますが、それは置いておいて、「家庭」をたいせつにするという意味がこの名称には込められているでしょう。
ところが、統一教会は信者に多額の献金を強要して、そのため山上徹也容疑者の家庭は崩壊してしまったのですから、皮肉なものです。

自民党も家庭や家族をたいせつにする政党です。
夫婦別姓に反対する理由として、「家族の絆が弱まる」とか「家庭の一体感が失われる」ということを挙げるので、家族の絆や家庭の一体感をたいせつにしているはずです。
自民党の日本国憲法改正草案にも「家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される。家族は、互いに助け合わなければならない」とあります。
来年4月に新設される予定の「こども家庭庁」も、一時は「子ども庁」という名称になるはずでしたが、「家庭」の文字が加えられました。

「子ども庁」を「こども家庭庁」にするべきだということは統一教会も主張していました。そして、国際勝共連合ホームページで『心有る議員・有識者の尽力によって、子ども政策を一元化するために新しく作る組織の名称が「こども庁」から「こども家庭庁」になりました』と、自分たちのロビー活動の成果であるかのように書いています。

安倍晋三元首相は昨年9月に天宙平和連合(UPF)のイベントにビデオメッセージを送り、それを見た山上徹也容疑者が銃撃事件を起こすきっかけになったとされますが、そのビデオメッセージでは統一教会教祖の韓鶴子総裁に「敬意を表します」と述べただけではなく、「UPFの平和ビジョンにおいて家庭の価値を強調する点を高く評価いたします」とも述べています。

つまり統一教会も自民党も「家庭・家族をたいせつに」と主張して、そこが共通点となっています。
昔は「反共」という点で統一教会と自民党は結びついていたのですが、今は「反共」ということはあまり意味がなくなりました(もっとも、勝共連合のホームページでは今でも大々的に反共を主張しています。国民民主党や維新の会が共産党との共闘を拒否したことと関係あるでしょうか)。


「家庭・家族をたいせつに」と言われて反対する人はあまりいません。
しかし、家庭にも「よい家庭」と「悪い家庭」があります。それを区別しないと混乱します。

統一教会が理想とする家庭はどんなものでしょうか。
統一教会といえば合同結婚式が有名です。
最近の若い人は合同結婚式のことを知らないかもしれないので説明すると、単に合同で結婚式をするということではありません。教祖が結婚相手を決めて、結婚式参加者は教祖の決めた、一度も会ったことのない相手と結婚するのです。教祖はすべてを見抜いて、最善の相手を選ぶのだとされます。

自分が決めたのでない相手と結婚するということに驚く人もいるかもしれませんが、昔はむしろ普通のことでした。親が息子娘の結婚相手を決めて、息子娘は一度も会ったことのない相手と結婚することがよくありました。
統一教会では教祖が親に当たるのでしょう。

帝国憲法下では、結婚には戸主の同意が必要で、さらに男は30歳、女は25歳になるまでは親の同意も必要でした。ですから、好き合った相手と結婚できるのは、理解のある戸主や親に恵まれた場合だけです。そのため駆け落ちがしばしば行われ、心中という悲劇もありました。
妻は法的には無能力者の扱いで、財産権もなく、重要な法律行為をするときはつねに夫の同意が必要でした。

戦後憲法になってなにが変わったかというと、国民主権や戦争放棄や象徴天皇制もそうですが、国民生活にとっていちばん大きかったのは家族制度の変化でしょう。親の許可なしに「両性の合意」のみで結婚できるようになり、「駆け落ち」は死語となりましたし、妻も夫と同等の権利を有するようになりました。

しかし、家族についての認識というのは、憲法や法律が変わったからといって急に変わるものではありません。そのため、現在にいたっても、親が子どもの結婚を妨害したり、親の望む相手と結婚させようとしたりすることはよくあります。
夫婦の関係もまだまだ対等とはいえません。
ですから、古い家族観と新しい家族観が葛藤しているのが今の状況です。

帝国憲法の古い家族制度を「家父長制」といいます。
自民党や統一教会が理想としているのも家父長制です。
自民党は「家族の絆を守る」という言葉で家父長制を守ろうとしています。


古い家族観は家父長制ですが、では、新しい家族観はなんというかというと、名前がありません。
大家族、核家族、三世代家族、単身家族、同性カップルなどという言葉はすべて家族の(外見の)形態をいったものです。
家父長制というのは、外見ではなく、目に見えない権力関係のことです。

これまで家父長制を論理的に批判してきたのはフェミニズムです。フェミニズムは男性が女性を支配する家族として家父長制を批判してきました。
しかし、家父長制は男性が女性を支配しているだけではありません。親が子を支配している面もあります。
親は子どもを一方的にしつけ・教育をし、進学、就職、結婚にまで口を出すということが行われています。

民法第822条には、親権者は子どもを懲戒することができるという「懲戒権」の規定があり、これが幼児虐待の原因になっていると批判されてきましたが、自民党はずっと懲戒権の削除に反対してきました(ようやく今年秋以降に削除される見込み)。
親殺しを特別に重罪とする刑法第200条の「尊属殺人」の規定は、1973年に最高裁によって違憲とされましたが、自民党は規定を削除することを拒み続け、ようやく1995年の刑法大改正のときに削除されました。
つまり自民党は家父長制が夫が妻を支配するだけでなく、親が子を支配する制度であることを理解して、それを守ろうとしてきたのです。

したがって、家父長制を批判するときは、女性の人権と子どもの人権の両面から批判する必要がありますが、これまでは女性の人権からの批判しかなく、そのため批判があまり有効に機能していませんでした。
たとえば自民党の家族政策の理論的ささえになっているのが「親学」ですが、親学を批判するにも子どもの人権という視点が欠かせません。


統一教会は「子どもの人権」がキーワードになることを理解していて、あらかじめ防御線も引いています。
国際勝共連合のホームページの「【こども家庭庁】家庭再建を軸にした子供政策を」という記事は、「子ども庁」という名称を批判して、このように書いています。

象徴的なのが「子ども庁」という名称それ自体だ。当初は「子ども家庭庁」という名称だったが、被虐待児にとって家庭は安全な場所ではないという理由で「家庭」の文字が削除されてしまった。

この論法は明らかにおかしい。

 被虐待児にとって忌避されるべきは、虐待を生み出した歪な家庭環境であって、「家庭」そのものではない。

 むしろ、彼らにとって必要なのは、親代わりとなって自らを愛情で包んでくれる新しい「家庭」だ。

子供の成育における父母や家庭の役割を軽視する左翼系の活動家が、武器として用いるのが「子どもの権利条約」だ。活動家らは同条約によって子供が「保護される対象」から「権利の主体」に変わったと主張する。

実は、この条約には当初から拡大解釈を懸念する声が上がっていた。西独(当時)は批准議定書に「子どもを成人と同等の地位に置こうというものではない」と明記し、米国に至っては「自然法上の家族の権利を侵害するもの」として批准しなかった。

日本では、増え続ける虐待や子供の貧困をひきあいに「子どもの権利」を法律に書き込んでいないことが問題だと短絡的に考えられている。

しかし、虐待が起こるのは子供の権利が法律に書き込まれていないからではない。夫婦や三世代が一体となって子供を愛情で包み込む家庭や共同体が壊れているからだ。

 子供政策は、家庭再建とセットで考えるべきである。

 当然、憲法改正においても、家族保護条項の追加は欠かせない。
 
(「世界思想」1月号より )

家父長制の復活が幼児虐待を防ぐようなことを言っていますが、実際は逆で、家父長制のもとで幼児虐待が生じます。
そもそも教祖の命じる通りに結婚しろと教え、多くの家庭を崩壊させている教団の言うことがまともであるはずがありません。

なお、「自然法上の家族の権利」という言葉が出てきますが、未開社会の家族には上下関係がありません。
家父長制は家庭内に上下の序列がある制度で、文明的なものです。こうした中でDVや幼児虐待が起きます。


「こども家庭庁」という名称になったときには、俳優の高知東生氏が「すでに家庭が崩壊していたり、機能する見込みもなく、安全性が確保できない家庭の『こども』を『家庭』という檻から助けて欲しいだけ」とツイートして共感を呼びました。


統一教会や自民党が理想とする家庭は家父長制の家庭です。
家父長制では、すべての家族に上下の序列がつけられ、支配・被支配の関係となります。
すべての家族が対等になり、愛情で結ばれるのが本来の家庭です。

家父長制の家庭か、愛情で結ばれた家庭かということが、今の政治の最大の争点です。

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安倍晋三元首相暗殺事件の衝撃が意外な形で日本を揺るがしています。

当初は、安倍元首相を撃った山上徹也容疑者の「統一教会のトップを狙いたかったがむりなので、代わりに安倍元首相を狙った」という犯行動機がいかにも無理筋に思えました。
しかし、統一教会と自民党との癒着は日本の大きな病巣ですから、山上容疑者はまぐれでも意外と急所を撃ったのです(安倍元首相を撃ったことを肯定しているわけではないので、誤解しないように)。


政治家は票を得るためにいろいろな宗教団体とつながりを持つのは当然だという意見がありますが、統一教会(世界平和統一家庭連合)は、かつては霊感商法や合同結婚式で世間を騒がせ、今も信者に多額の献金を強要して自己破産させる危険なカルト教団ですから、ほかの宗教団体とは違います。

統一教会の創始者文鮮明は1950年代から岸信介とつながりがあり、統一教会の政治組織である国際勝共連合を自民党は利用してきたので、統一教会と自民党はずっと密接な関係にありました。自民党議員は統一教会から選挙運動員を派遣してもらうことが多く、さらには秘書を派遣してもらうケースもあるといいます。
しかし、統一教会の霊感商法や合同結婚式が問題にされたときも、なぜかこうした統一教会と自民党のつながりはほとんど追及されませんでした。
それが今回の銃撃事件でようやくマスコミも統一教会と自民党の関係について報道するようになったわけです。


もっとも、カルト教団と癒着したからといって犯罪になるわけではないので、それほど大きな問題ではないと考える人もいるでしょう。
確かに一般の人にとってはそうかもしれません。
しかし、安倍元首相や自民党を支持してきた保守派にとってはそうではないはずです。
というのは、統一教会は韓国人の教祖をいただく、韓国に本部のある、韓国系の宗教だからです。

韓国系の宗教だからいけないという理屈はありませんが、保守派はみな韓国が嫌いです。
安倍元首相も慰安婦問題、徴用工問題、自衛隊機レーダー照射問題などでつねに韓国にきびしい態度をとってきて、それで保守派の人気を博していました。
その安倍元首相が韓国系の宗教とつながっていたというのは、保守派にとっては許せないことのはずです。
それに、自民党議員の秘書に統一教会の信者が潜り込んでいるとなると、日本の政界の秘密が韓国に流出することになりかねず、こうしたことは保守派がいちばん神経を尖らせるところです。

さらにいうと、統一教会の教義も保守派は絶対認められないはずです。
ウィキペディアの「世界平和統一家庭連合」の項目には次のように書かれています。



エバ国家日本はアダム国家韓国に貢ぐことを義務づけられている[40]。韓国がアダム国家である理由は、神に選ばれた民族の国であり、世界に真理を発信したメシアの国であるから[40]。日本がエバ国家である理由は、朝鮮を植民地にして多くの人民を苦しめてきた事実などによる[40]。戦後、日本が経済大国になったのはメシア(文鮮明)が神に日本の罪をとりなし、エバ国家として神に認めさせたからだ[40]。

金と人物の両面で韓国と全世界の統一協会を支えることがエバ国家である日本の責任である[40]。日本人に多く伝道して信者として、その信者を全世界に送り出していくこと、日本で莫大な資金を調達してそれを全世界に供給していくこと、それがエバ国家日本の使命だ[40]。

   ※


韓国と日本では史観が違っており、アダム国家韓国では献金などのノルマなどは厳しくなく、「サタン(悪魔)の国[31]」であるエバ国家日本は「金のなる木」の場所として、アダム国である韓国と国内外の統一教会に全てを捧げる教義が教えられている[32][33]。また、エバ国家日本のLGBTや同性婚、夫婦別姓は「生活共産主義」とされ、認めさせてはならないと説いている[34][35]。

連合ではイエス・キリストの「再臨論」も説いており、天照大神を崇拝してきた全体主義国家であり、韓国のキリスト教を過酷に迫害した日本と、共産化した中華人民共和国は「サタンの国」である為、イエスが再臨する『東の国』とは韓国であるとしている[36]。また、「メシアを迎え得る国となるために我々は第三イスラエル選民となければならない」としている[36]。

文鮮明の教え(教義)の一つとして、文教祖の恨(ハン)を晴らすのは「エバ国家日本をアダム国家韓国の植民地にすること」「天皇を自分(文教祖)にひれ伏させること」としている[37][38][39][40]。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%96%E7%95%8C%E5%B9%B3%E5%92%8C%E7%B5%B1%E4%B8%80%E5%AE%B6%E5%BA%AD%E9%80%A3%E5%90%88

ウィキペディアだけでは信憑性がないかもしれないので、『旧統一教会の「“エバ国”日本が資金調達し“アダム国”韓国に捧げる」システム…それでも続いた自民党“保守政治家”との関係』という記事で、『統一教会 日本宣教の戦略と韓日祝福』の著書もある北海道大学大学院の櫻井義秀教授(宗教社会学)の語ったことも引用しておきます。

「霊感商法、そして訴訟関係は日本を中心として起きていて、アメリカや韓国では起きていない。これは日本の旧統一教会だけが、いわば違法な形で資金調達をし、それを韓国の本部に送り届けるというミッションがあるからだ。旧約聖書にアダムとエバが禁断の木の実を食べたという話が出てくるが、エバが先に食べ、そしてアダムに渡したとされている。これが旧統一教会の教義では、アダム=韓国で、エバ=日本だということになっている。つまり“エバ国”である日本の支部が資金調達をし、“アダム国”である韓国の本部に捧げる。そして韓国がアメリカなど各国の支部に配分し、世界的な布教戦略を展開してきたということだ。

「日本を韓国の植民地にする」とか「天皇を自分(文教祖)にひれ伏させる」とか、普通の日本人でもびっくりしますが、保守派やネトウヨが聞いたら卒倒しそうなことです。
要するに反日教義です。
こんな宗教が日本にはびこっていたのです。
ネトウヨは在日を差別しているどころではなく、今すぐ統一教会の排除をしなければならないはずです。

ところが、保守派やネトウヨは自民党と統一教会がズブズブの関係にあることを横目で見ながらスルーしてきました。
ネトウヨの若い人なら知らないということもありえますが、保守派の論客といわれるような人なら統一教会の教義も自民党と統一教会の関係も知らないはずがありません。
というか、保守派の論客には統一教会のメディアでインタビューされたり、イベントで講演をしたりして、統一教会と関係を持っている人も少なからずいます。
ですから、保守派やネトウヨは統一教会に関しては沈黙したままです。

例外は高須クリニックの高須幹弥氏ぐらいです。
高須氏は自身のYouTubeチャンネルで「統一教会について話します。(この動画は削除するかもしれません)」と題する動画をアップして、統一教会の教義についても語っているので、これを見るのがわかりやすいかもしれません(ただし、統一教会と自民党や安倍元首相の関係についてはなにも話していません)。




統一教会と安倍元首相の関係はかなり深いものがあります。
トランプ氏が大統領に当選したとき、日本の外務省はまったく予想しておらず、トランプ氏となんの接点もありませんでした。
そんなとき、就任前のトランプ氏と安倍首相の会談をとりもったのが統一教会だといわれます(詳しくは『「統一教会が安倍・トランプ会談を仕掛けた」説にこれだけの状況証拠! 勝共連合機関誌も2人のタッグを絶賛』を参照)。

安倍元首相が昨年9月にビデオメッセージを送った統一教会系の「天宙平和連合(UPF)」のイベントにはトランプ元大統領も同じ形でメッセージを送っていました。
さらに今年2月に行われたUPF主催の「ワールドサミット2022・韓半島平和サミット」では、トランプ元大統領がビデオ映像において基調演説を行い、息子ブッシュ大統領のときの副大統領だったディック・チェイニー氏も演説をしました(安倍元首相は書面によるメッセージ)。
つまり統一教会はアメリカ政界にも深く食い込んでいるのです。
安倍元首相が統一教会とのつながり続けたのには、そうした背景もありそうです。


いずれにしても、統一教会は反日教義を有するとんでもないカルト教団です。
自民党や保守派が統一教会を批判できないとなれば、自民党や保守派もまた反日勢力と言われてもしかたありません。

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7月10日に参院選の投開票があり、自民党が勝利しました。
投票日の2日前に安倍晋三元首相が暗殺されたことは、この結果にどう影響したのでしょうか。

今私は「暗殺」と書きました。
外国のマスコミも普通に「暗殺」という言葉を使っています。ただ、日本のマスコミはほぼ「暗殺」という言葉を使っていません。
「テロ」という言葉もほとんど使いません。

最初の警察発表によると、山上徹也容疑者は「母親が特定の宗教団体にのめり込んで破産した。安倍元首相が団体を国内で広めたと思って恨んでいた」と動機を説明し、「安倍元首相の政治信条とは関係ない」と言ったそうです。

「安倍元首相の政治信条とは関係ない」ということで、個人的な恨みによる犯行と見なされたようです。
確かに犯行声明のようなものもありません。
政治的な意図がないということで、「テロ」や「暗殺」という言葉を使わないようです。

しかし、安倍元首相が特定の宗教団体とつながるのは政治的な行動です。
とすると、山上容疑者が安倍元首相と特定の宗教団体のつながりに反対するのも政治的な行動ですから、この犯行は「テロ」や「暗殺」と呼んで当然です。


「特定の宗教団体」というのは統一教会(現在は世界平和統一家庭連合に名称変更)のことです。
もともと統一教会と自民党は密接な関係にありました。統一教会は「国際勝共連合」という反共政治団体を持っていて、学生などの動員力もあり、社会党、共産党、新左翼などが強い時代に自民党は統一教会を利用しました。
ただ、統一教会は高価な壺を売りつけるなどの霊感商法や合同結婚式などが社会的な問題を引き起こして、テレビのワイドショーでもよく取り上げられました。オウム真理教と統一教会は二大カルトという感じでした。
ですから、統一教会と自民党とのつながりも問題にされていました。

しかし、いつの間にか統一教会の霊感商法はワイドショーで取り上げられなくなりました。といって、霊感商法の被害がなくなったわけではありません。
どうやら統一教会と自民党との結びつきがいっそう強くなって、マスコミは統一教会と自民党に忖度して取り上げなくなったようです。
そのため今の若い人は統一教会が問題のあるカルトだということをろくに知らないかもしれません。


安倍元首相は自民党の中でもとりわけ統一教会とのつながりが強いようで、昨年9月に統一教会の関連団体にビデオメッセージを送りました。
「全国霊感商法対策弁護士連絡会」は安倍元首相に対して強い調子の「公開抗議文」を送ったので、その一部を抜粋します。

公開抗議文(抜粋)

衆議院議員 安倍晋三 先生へ

4.ところが、本年9月12日、韓国の統一教会施設から全世界に配信された統一教会のフロント組織である天宙平和連合(UPF)主催の「神統一韓国のためのTHINK TANK2022希望前進大会」と称するWEB集会において、安倍晋三前内閣総理大臣の基調演説が発信される事態が生じました。これを統一教会が広く宣伝に使うことは必至です。上記要望書の要望を全く無視したものというほかなく、当連絡会としては深く失望し、今後の被害の拡大に強く憂慮しております。
 安倍先生が、日本国内で多くの市民に深刻な被害をもたらし、家庭崩壊、人生破壊を生じさせてきた統一教会の現教祖である韓鶴子総裁(文鮮明前教祖の未亡人)を始めとしてUPFつまり統一教会の幹部・関係者に対し、「敬意を表します」と述べたことが、今後日本社会に深刻な悪影響をもたらすことを是非ご認識いただきたいと存じます。

5.安倍先生が今後も政治家として活動される上で、統一教会やそのフロント組織と連携し、このようなイベントに協力、賛助することは決して得策ではありません。是非とも今回のような行動を繰り返されることのないよう、安倍先生の名誉のためにも慎重にお考えいただきますよう強く申し入れます。また、事の重大性に鑑み、公開抗議文として送付するとともに抗議文を公開させていただく次第です。
 あわせて、今回のUPFのWEB集会の基調演説のビデオメッセージを提供された経緯について明確なご説明をいただきますようお願いします。
https://www.stopreikan.com/kogi_moshiire/shiryo_20210917.htm

山上容疑者は安倍元首相のメッセージビデオを見て、安倍元首相をターゲットにすると決めたそうです。
安倍元首相のような有力な政治家が統一教会を賛美するメッセージを送ると、その影響は甚大ですから、この考えはそれほど不思議ではありません。

ただ、この場合は「統一教会にメッセージを送る安倍はけしからん」というように、公憤とか正義感になるはずです。個人的な恨みにはなりません。
山上容疑者がもし「安倍はけしからん」という正義感を持てば、ネットの書き込みなどで発散できて、犯行には及ばなかったかもしれません。

また、彼の最後の職歴は、派遣社員としてフォークリフトの運転などをしていたそうです。
給料が安くて、結婚もできそうになく、将来になんの希望もなくて、それも犯行動機のひとつだったでしょう。
こうした境遇について、「安倍政治が悪いからだ」「自民党政治が悪いからだ」と考えれば、社会改革の方向にも意識が向いて、やはり安倍元首相個人を殺そうという考えにはならなかったかもしれません。

それにマスコミの責任もあります。安倍元首相のビデオメッセージについても、報道したのは「しんぶん赤旗」ぐらいです。一般のマスコミがこのときに「安倍元首相はけしからん」と言っていれば、山上容疑者はマスコミに任せて自分は手を出さなかったかもしれません。


もとはフェミニズムから出てきた言葉で、「個人的なことは政治的である」という言葉があります。
男女のことや家族などの問題も、国家などの政治的なこととつながっているという意味です。
山上容疑者は、自分の家庭が崩壊したことを個人的な不幸と思っているようですが、「個人的なことは政治的である」という言葉を知っていれば、またとらえ方が違っていたはずです。
また、マスコミも「暗殺」や「テロ」という言葉を使わず山上容疑者の個人的な犯行ということにしていますが、マスコミも「個人的なことは政治的である」という言葉をかみしめるべきでしょう。



ここで簡単に安倍元首相の足跡を振り返っておきたいと思います。

第二次政権のときの安倍氏は、首相の権力を自由自在に使いこなしていたという印象があります。
一般論として国家は巨大なのに個人は小さいので、個人が首相の権力を使いこなすのは容易なことではありません。しかし、安倍氏は第一次政権の挫折で人間が一回りも二回りも大きくなったのでしょう。第二次政権のときは余裕の政権運営でした。
閣僚も官僚も思い通りに動かし、それだけでなく閣僚や官僚は安倍氏の意向を忖度して先回りして動きました。そうした中で森友学園問題、加計学園問題、桜を見る会問題が起きました。
当時の財務省の佐川宣寿理財局長は、森友学園問題で公文書改ざんを指示し、みずからも虚偽答弁をしましたが、これは安倍氏が命じたのか佐川氏がみずから動いたのか、現在にいたるもわかりません。それぐらい安倍氏と官僚は一体化していたということです。

それだけ権力を使いこなして安倍氏はなにをしたかというと、評価が分かれるところです。
私は否定的な評価をこのブログにずっと書いてきましたから、ここではなにも言わないことにします。

ともかく、安倍氏は「強いリーダー」となりました。
国民は強いリーダーを好むものなので、ずっと高支持率でした。

しかし、実際のところは、強いリーダーはろくなものではありません。
プーチン大統領、習近平主席、トランプ前大統領を想像すればわかります。ここにヒトラー総統をつけ加えることもできます。

ともかく、日本国民は強いリーダーとして安倍元首相を記憶にとどめるでしょう。
そして、その記憶が薄れるとともに、改憲問題も慰安婦問題も靖国参拝問題もフェードアウトしていくでしょう。

安倍元首相の冥福を祈ります。

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